建築
2022年9月16日更新
[沖縄]同条件で設計力競う|Okinawa Idea Design Contest 2022
「沖縄アイデアデザインコンテスト2022」(主催・総合資格学院)が8月9日、総合資格学院沖縄校(那覇市)で開かれた。県内で建築を学ぶ学生が設計のアイデアを競い、インターナショナルデザインアカデミーのグループが1位となった。
技術者育成が目的
審査員の前でプレゼンする学生ら
同コンテストは、県内で建築を学ぶ学生が設計の発想力などを競うもので、昨年からスタートした。建築業界の若い技術者を育成することなどが目的。インターナショナルデザインアカデミー、サイ・テク・カレッジ美浜、パシフィックテクノカレッジの3校から7グループ、総勢32人が挑んだ。
総合資格学院沖縄校の江崎功学校長は「県内では他校との交流や、学びを発表する機会が少ない。ここで互いに刺激を受け、設計の楽しさや自信につなげるとともに、学生生活の思い出にしてほしい」と話す。
今回の課題は「Villa(ヴィラ)」。1日1組限定の宿泊施設で、寝室3部屋や屋外プールを備えつつ、海を望む眺望、沖縄らしさを取り入れることなどが設計条件として示された。
学生らには審査日の1週間前に課題が通知された。それから各グループで計画を練り、審査前日に図面や模型などを作成。審査当日にはプレゼンを行った。同条件ながら多種多様なアイデアが発表され、それを県内で活躍する建築士4人が審査した。
1位となったのは、インターナショナルデザインアカデミーのインテリア・建築デザイン科の1年生グループによる「アカガイ」。同グループの石原昌輝さんは「自分のできないことを他の人に補ってもらうなど、グループで協力してつかんだ1位。とてもうれしいです」と喜んだ。
審査前日の作業の様子
第1位 アカガイ~昼夜とわず光が絶えないVilla~
インターナショナルデザインアカデミー(インテリア・建築デザイン科)
/比嘉迅、チェシー・コーディー、豊里一晟、宮平雄豪、玉城智成、石原昌輝(全員1年)
設計概要と評価ポイント
アカガイとは沖縄の方言で光という意味。電照菊の畑で使われる電球を天井からつり下げ、沖縄らしさを表現した。全体を大屋根でつなげた分棟型で、半屋外になった中央のダイニングを囲むように寝室やリビングなどが配置されている。審査では「外の景色がプールを通って半屋外空間に入ってくる感じが非日常的」「オリジナリティーがある」「どの空間も中央を向いていて一体的に使えるし、子ども連れにもいい」などと評価された。
第2位 アイダデ ~沖縄の自然をとりこんだ暮らしを現代に~
インターナショナルデザインアカデミー(インテリア・建築デザイン科)
/仲村理子、宮城正平(3年)、翁長るみか、石原愛華(1年)
設計概要と評価ポイント
古民家の周りにある防風林を建築に置き換え、半屋外の1階リビングを中心に、寝室や浴室などがある。審査員からは「海に向かって開いているが、反対側も各棟の間から景色が切り取られて見える。いろいろな空間があっておもしろい」「分棟ながら集まれる場所があり、立体構成も考えられている。提案としてまとまっている」などの声があった。
第3位 海が見えるヴィラ
インターナショナルデザインアカデミー(インテリア・建築デザイン科)
/仲宗根祐太、大城鈴音、名城楓、宮里侑、宮里ゆうみ、吉永深愛(全員2年)
設計概要と評価ポイント
すべての部屋から海が見えるほか、庭やアプローチに沖縄の木や花を植えて自然を感じられる。「敷地全体を上手に使い、ヴィラの顔として演出する上でも重要なアプローチをしっかりデザインしている」「プールの一部に屋根をかけた日焼け対策など機能的」と評価された。
金城司審査委員長による総評
金城司審査委員長 (有)門一級建築士事務所
総合資格学院主催による、専門学校生を中心とした設計コンペが昨年に続き開催された。テ-マは「Villa」。チ-ム制で3校から7チ-ムが参加。2日間で図面と模型を作成しプレゼンする。県内にはなかった画期的な人材育成企画である。
意見をまとめ、押し問答を繰り返す。判断と決断の連続。まさに建築的行為を学生は体現する。建築は常にチ-ムであり1人では生まれない。この経験が種となり沖縄の未来に花を咲かせる。未来の建築家を育てる土壌が新たに生まれたのである。また来年、斬新なアイデアと出合えることを楽しみにしている。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1915号・2022年9月16日紙面から掲載