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2022年8月26日更新

不思議な生き物 日常に迎える|アートを持ち帰ろう(17)

文/本村ひろみ

不思議な生き物
日常に迎える

朝の食卓で家族のように挨拶

『トカゲのともだち』で日本童画大賞絵本部門大賞を受賞(2018)した絵本作家・あさおようの初個展が開催されている。タイトルは「モノノケ ノケモノ ケモノノ家(ケ)」。案内状に描かれた猫は五つの目があり、ふてくされたような表情はまるですねた子どものようで憎めない。見た瞬間おもわず「なに、これ」と笑顔になった。

あさおの描くモノノケにはどこか愛嬌(あいきょう)があるのだ。絵本にとって魅力的なキャラクターの存在は重要だ。絵から飛び出して目の前に現れるのでは? いや、できれば友人のように話してみたい、そう思わせるキャラクターを生み出せたら長く愛される物語になる。


少数派だけど一人じゃない
なぜ異形のモノたちの世界を描くのか? と尋ねたら「僕の扱うテーマはマイノリティー(少数派)が主役。でも思ったより一人じゃないんだよって伝えたいんです」とあさおは答えた。今回の会場にも絵本の原画をはじめ、猫やトカゲ、擬人化された鳥や架空の動物など、不思議な生き物たちを描いた作品が25点展示されている。

そのなかの“フジムラさん”というユニークなキャラクターが気になった。おしゃれな紳士だけどどこかおちゃめな雰囲気のフジムラさん。絵の前で、彼の性格や人生を想像して楽しむ。既にフジムラさんと会話が始まっている。フジムラさんには眠れない夜があったり、食卓では猫と並んでご飯を食べたり、田園を散歩したりと生活を楽しんでいる。この絵を飾るなら、きっと食卓だ。家族の1人のように挨拶(あいさつ)をして朝食の時には1日の予定などを話す。空想と妄想が広がる。フジムラさんの絵本が待ち遠しい。




「フジムラさん~朝食」
同居している猫と一緒に朝食をとるフジムラさん。でも猫のご飯はまだ。
318×410mm(F6号)1万8000円




「おおきくなりますように」
ローマ建国の神話、オオカミに育てられた双子の王様からインスピレーションを受けて描いた作品。
220×273mm (F3号)5500円



「おおきなおおきなヒヨコ」
海水浴場に現れたおおきなヒヨコと遊ぶ子どもたち。
330×330mm 1万2000円

 

作家近況

あさお よう(麻生 遥)最新情報はSNSで発信

インスタグラム https://www.instagram.com/asaoyou/
Twitter https://mobile.twitter.com/asao0330

あさおよう個展『モノノケ ノケモノ ケモノノ家(ケ)』
港川レストランrat&sheepで8月31日まで開催中。日曜定休
https://www.instagram.com/rat.sheep/


もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1912号・2022年8月26日紙面から掲載


 

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本村ひろみ

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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