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2022年7月1日更新
【沖縄】見て食べて楽しむ野草④|今月は「シマグワ」
文・写真/比嘉正一(県営中城公園 所長)
今月は「シマグワ」
葉・実・樹木 広く活用
キク科で、常緑の多年草。日本や台湾などに生育。沖縄では幅広い地域に生育。
【方言名】
方言名/クワーギ、クワギ、ナンデーシ、ナネーズ
クワ科で、台湾や日本、沖縄各島に分布する。
てんぷらやスープに
半落葉の樹木で林縁、道端、荒れ地、原野などで普通に見ることができます。葉の形は変異が多く、幼木の時には深く切れ込み、成長すると徐々に卵型の葉が多くなります。花は不定期に咲き、果実も不定期に実ります。シマグワの有用価値は高いことで知られています。葉は養蚕やヤギなどの家畜の飼料、爬虫(はちゅう)類飼育のエサとしても利用されています。
やわらかい新芽や新葉はサラダ、てんぷらなどにしてもおいしいです。少しクセがあるためみそあえにしたり、他のハーブと一緒にトムヤムクン風のスープにしても楽しめます。
葉は乾燥させてお茶にもできます。果実は多量に付きます。熟した実はとても甘く、生食として人気です。ジャムやジュース、ケーキの具材などでも活用されています。
さらに木材はキクラゲの原木になり、樹皮からは繊維をとり、黄色の染色にも使われます。
葉・実・樹木と幅広く活用できるシマグワですが鳥が実を食べて種を散布し、鉢、庭や公園など、どこでもよく育つので除去するのに難儀することもあります。
シマグワの新芽。やわらかいのでサラダなどにしてもおいしい
シマグワの新芽の天ぷら(手前)左はタニワタリ新芽の天ぷら
新芽の時期よりも少し成長した葉は、細かく刻んでクワの葉みそでいただく
シマグワ入りトムヤム風スープ
【材料】
シマグワの葉、エビ、市販のトムヤム風スープのもと、コブミカン、ナンキョウ
【作り方】
1.シマグワ、コブミカン、ナンキョウは適宜切る。
2.トムヤム風スープのもとを鍋に入れ、沸騰したらエビ、コブミカン、ナンキョウを入れてひと煮立ちさせる。
3.食べる直前にシマグワを入れてさっと火を通す
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7月の公園情報
【中城公園】
夏のチョウ類自然観察会
日時/7月2日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/中城公園「台グスク」駐車場
定員/10人 料金/1000円
講師/比嘉正一氏(学芸員)
※中城公園「台グスク」のエリアでは、多くのチョウ類が観察されている。エリアに生息するチョウ類は、本島中部を代表するものばかりで、ツマムラサキマダラなどのきれいなチョウや県指定天然記念物のフタオチョウも見られる。
中城公園/電話=098・935・2666
【名護城公園】
帰化植物観察会
日時/7月9日(土)午前9時30分~11時
集合場所/名護城公園「せせらぎ広場駐車場」
定員/10人 料金/1000円(資料込み)
講師:比嘉正一氏(学芸員)
※名護城公園内には多種多様の帰化植物が生育しています。今回はキク科植物を中心に観察。入ってきた背景、自生種との関係など、帰化植物ならではの勢力拡大の秘密を探る。
名護城公園/電話=0980・52・7434
【浦添大公園】
夏のチョウ類自然観察会
日時/7月16日(土)午前9時30分~同11時
場所/浦添大公園「大展望台」駐車場
定員/10人 料金/1000円
講師/比嘉正一氏(学芸員)
※浦添大公園の自然の楽しみ方について園内を散策しながら解説。公園に生息するチョウ類は、本島南部を代表するものばかり。きれいなチョウが多く、フタオチョウも見られる。
浦添大公園/電話=098・873・0700
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執筆者
ひが・まさかず、1956年
浦添市生まれ。月刊誌「緑と生活」、東南植物楽園勤務を経て浦添大公園、中城公園の管理人、沖縄昆虫同好会会長、NPO法人沖縄有用植物研究会理事
毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第1904号・2022年7月1日紙面から掲載