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2022年6月3日更新
【沖縄】見て食べて楽しむ野草③|今月は「ツワブキ」
文・写真/比嘉正一(県営中城公園 所長)
今月は「ツワブキ」
「葉柄(ようへい)」の食感楽しむ
キク科で、常緑の多年草。日本や台湾などに生育。沖縄では幅広い地域に生育。
食べるのは主に葉柄の部分。シャキシャキとした歯ごたえ
【方言名】
方言名/チーパッパー、チチパパー、チパンプー
葉はつくだ煮などに
ツワブキは、県内では海岸から山野、公園、庭園などで普通に見ることのできる多年草です。丸い大きな葉が特徴で、晩秋から春先にかけて鮮やかな黄色の花を咲かせます。晩秋に咲く花は、渡りをするチョウ、アサギマダラの重要な蜜源です。アサギマダラは日本各地から何百キロ、何千キロと南下してくるので、体力回復にツワブキの花蜜が欠かせません。
花もさることながら、葉も大きくてツヤがあり見栄えが良いため、園芸植物として古くから栽培されてきました。薬用植物としても知られています。
名護城公園北口にある「ツワブキロード」は市民に親しまれ、11月~3月の開花時期には那覇市や南部からも見学客が来ます。また、中城城跡では群生させて花を咲かせており、12月には「ツワブキまつり」を開催しています。
食用に使うのは、春先に伸びる新葉の「葉柄」の部分です=左写真参照。少しアクがあるので、皮をむいて5~10分ほど酢水でゆでましょう。シャキシャキの食感で、独特の風味があります。
葉の部分は細かく刻んでフキ味噌(みそ)にしたり、つくだ煮などにしてもおいしいですよ。
名護城公園のツワブキロード。11月~3月は黄色い花でいっぱいになる
ツワブキの葉を刻んでつくだ煮などにしてもおいしい。少し苦みがあり、くせになる
ツワブキの煮物
【材料】
ツワブキの葉柄、ソーキや三枚肉などお好きな肉類、だし汁、しょうゆ、みりん、日本酒、砂糖
【作り方】
1.ツワブキの葉柄は皮をむき、食べやすい3~5センチほどの長さで切りそろえ、5~10分ほど酢水に漬ける。
2.沸騰した湯に塩を大さじ1加え、1のツワブキの葉柄を入れて5分ほどゆでてザルにあげる。
3.肉類は下ゆでしておく。
4.別の鍋にだし汁、しょうゆ、みりん、日本酒、砂糖を入れてひと煮立ちさせる。煮立ったら、2のツワブキの葉柄と3の肉類を入れて煮込み、味が染みたら出来上がり。
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6月の公園情報
【中城公園】
「帰化植物観察会~キク科編~」
日時/6月4日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/中城公園
対象/大人 定員/10人
講師/比嘉正一氏(学芸員)
料金/1000円(資料代込み)※中城公園内には多種多様の帰化植物が生育している。沖縄に入ってきた背景、自生種との関係など、帰化植物ならではの勢力拡大の秘密を探る。今回はキク科を中心に観察と解説をする。
中城公園/電話=098・935・2666
【浦添大公園】
「帰化植物観察会~キク科編~」
日時/6月11日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/浦添大公園「大展望台」
対象/大人 定員/10人
講師/比嘉正一氏(学芸員)
料金/1000円(資料代込み)※左記中城公園の内容と同様
浦添大公園/電話=098・873・0700
【名護城公園】
園芸教室「ハイビスカスの栽培と咲かせ方」
日時/6月18日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/名護城公園「天上展望台駐車場」
対象/大人 定員/10人
講師/比嘉正一氏(学芸員)
料金/1000円(資料、材料代込み)
※ハイビスカスなどの鉢植えや地植えでの育て方、せん定時期、大きな花を咲かせるこつや接ぎ木、挿し木での増やし方を説明。体験した挿し木、接ぎ木は持ち帰りできる。
名護城公園/電話=0980・52・7434
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執筆者
ひが・まさかず、1956年
浦添市生まれ。月刊誌「緑と生活」、東南植物楽園勤務を経て浦添大公園、中城公園の管理人、沖縄昆虫同好会会長、NPO法人沖縄有用植物研究会理事
毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第1900号・2022年6月3日紙面から掲載