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2022年4月1日更新
【沖縄】見て食べて楽しむ野草①|今月は「ホウビカンジュ」
文・写真/比嘉正一(県営中城公園 所長)
今月は「ホウビカンジュ」
やわらかい新芽を食べる
採取したホウビカンジュの新芽。新芽の時期は1月~4月ごろ
【ホウビカンジュの特徴】
常緑性のシダ植物。沖縄各島や台湾、熱帯アジア、豪州などに分布。県内では低地や山地などで普通に見られる。崖面から垂れ下がって生育する
離島では食用販売も
ホウビカンジュは沖縄の山野に生える木の幹や岩、地上に育つ、やや大型のシダ植物です。樹木の幹から葉が緑の滝のように垂れ下がる様子は見応えがあるので、ときに庭園でも使用されます。また、観賞用に鉢植えで栽培されることもあります。沖縄本島ではあまり食べる習慣はないのですが、宮古・八重山では新芽の時期になるとパック詰めにされて市場で売られています。
野草料理の試食会でホウビカンジュのサラダや天ぷらなどを振る舞ったところ、評判が良く、採取時期などの質問がありました。
新芽の時期は1月~4月ごろで、葉先5~10㌢くらいを摘み取ります。採取した新芽は丁寧に水洗いしてください。固い葉は食べられません。
新芽はやわらかくて食感はホウレンソウのよう。味は淡白ですが、少し独特な風味が残ります。
◇ ◇
中城公園の管理人で有用植物研究会の理事でもある比嘉正一さんが、沖縄に生育する食べられる野草とそのレシピを紹介します。
葉入り沖縄そばペペロン
【材料】
ホウビカンジュの新芽、ニンニク、島トウガラシ、ベーコン、オリーブオイル、沖縄そば、塩・こしょう
【作り方】
1.ホウビカンジュは食べやすい大きさに切り、ニンニクはみじん切り、島トウガラシはタネを取って輪切りに、ベーコンは細切りにする。
2.フライパンにオイルをしき、ニンニクと島トウガラシを弱火で熱し、ニンニクの香りがたったらベーコンを炒める。そこにホウビカンジュを入れて炒め、ゆでた沖縄そばを入れて塩・こしょうで調味する
新芽のおひたし
【材料】
ホウビカンジュの新芽、塩、しょうゆ、顆粒(かりゅう)だし、砂糖、水、白ゴマ、削り節
【作り方】
1.塩を少々入れた熱湯にホウビカンジュを入れ、サッと塩ゆでする。
2.しょうゆ、顆粒だし、砂糖、水を混ぜあわせ1を入れてあえ、白ゴマと削り節を散らす。
ホウビカンジュのサラダ
【材料】
ホウビカンジュの新芽、塩、ツナ、好みのドレッシング
【作り方】
1.沸騰した湯に塩をひとつまみ入れ、ホウビカンジュの新芽を1~2分ゆでる。
2.1とツナ、好みのドレッシングを混ぜてできあがり。
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4月の公園情報
【中城公園】
「春のチョウ類自然観察会」
日時/4月2日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/中城公園「台グスク駐車場」
対象/大人 定員/10人
講師/比嘉正一(学芸員) 料金/1000円
※「台グスク」で見られるチョウ類や植物について、園内を散策しながら解説します。台グスクは高台に位置し太平洋、東シナ海を一望できます。自然を学びながら、絶景を見られる両得の観察会です。
【浦添大公園】
「春のチョウ類自然観察会」
日時/4月9日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/浦添大公園「遊び広場前駐車場」
対象/大人 定員/10人
講師/比嘉正一(学芸員) 料金/1000円
※浦添大公園は都会にある割にチョウの種類が多く、県指定天然記念物のフタオチョウも生息しています。そうしたチョウ類などを中心に、自然の楽しみ方を園内を散策しながら解説します。
【名護城公園】
「春のチョウ類自然観察会」
日時/4月16日(土)午前9時30分~同11時
集合場所/名護城公園「天上展望台駐車場」
対象/大人 定員/10人
講師/比嘉正一(学芸員) 料金/1000円
※名護城公園に生息するチョウ類を中心に、自然の楽しみ方について園内を散策しながら解説します。本島北部のみに生息するチョウも多く、県指定天然記念物のコノハチョウが見られることもあります。
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執筆者
ひが・まさかず、1956年
浦添市生まれ。月刊誌「緑と生活」、東南植物楽園勤務を経て浦添大公園、中城公園の管理人、沖縄昆虫同好会会長、NPO法人沖縄有用植物研究会理事
毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第1891号・2022年4月1日紙面から掲載