特集・企画
2022年3月11日更新
住まいと暮らしとSDGs ⑥
本コーナーは、住まいと暮らしの中で取り組めるSDGs(持続可能な開発目標)について、読者と共に考えていきます。
家庭でできる「段ボールコンポスト」
生ごみで堆肥作り
ごみ削減
もやせるごみの約4割を占めるといわれる生ごみ。それを堆肥に変えるのが、段ボールコンポストだ。浦添市リサイクルプラザで講師を務める平賀ミネ子さんに作り方を聞いた。
「段ボールコンポスト」の作り方
用意するもの
①二重箱の段ボール箱(ミカン箱程度の大きさで防水加工されていないもの)
②底に敷く段ボール
③コンポスト基材
④紙テープ
⑤へらまたはスコップ
⑥網状の台(瓶ケースなど)
⑦虫よけネット
※浦添市リサイクルプラザでは、①~③をセットで販売。コンポスト基材はヤシ殻、もみ殻の炭を配合したものを使用
堆肥作りの保管中は瓶ケースで段ボール箱の底の通気性を確保。虫よけネットは着古した木綿Tシャツで代用可能
堆肥の作り方
生ごみ投入期間(約3カ月)1~3を繰り返す
1.全体を混ぜてから生ごみ0.5~1㌔を投入。多過ぎると分解が追い付かず腐敗するので注意。
2.生ごみを基材全体に混ぜる。時々、廃食油や発酵食品を入れると分解促進に。
3.生ごみが見えないように基材で覆う。ふたをして虫よけネットをかける。
熟成期間(約5週間)
生ごみを完全に分解させるため、週1~2回、水を0.5~1リットル入れて混ぜる
熟成させた堆肥。2年保存しても臭いは全くなく、サラっとした感触。「白カビも生えず良質な堆肥になる」と平賀さん
投入できるもの⭕️
野菜や肉の切れ端、卵の殻、食べ残しなど。細かくしておくと分解が早い
投入できないもの❌
貝殻や骨といった硬いもの
半年で生ごみ65㌔削減
段ボールコンポストで堆肥を作り続けて約12年の平賀さんは「半年間測ってみたら、約65㌔ほどの生ごみを堆肥に。家庭ごみが減り、焼却炉から出るCO2の削減につながり、自然環境を守る」と話す。段ボールコンポストは、段ボール箱を使った生ごみ処理器で、使うもののほとんどが土に返ることが特徴。コンポスト基材という堆肥のもとになる材料に、微生物が付着した生ごみを混ぜ込んで堆肥を作る。「家庭で比較的簡単にでき、特に家庭菜園をする人は『できた堆肥を使うと土がフカフカになり、おいしい野菜ができる』と長く続けてくれています」と話す。用意するものは上の青囲みにある①~⑦。生ごみは水分が多いので、段ボール箱は層が重なった二重箱のものを使い、さらに段ボールを1枚敷いて箱が壊れるのを防ぐ。微生物は空気を好むので、瓶ケースやすのこなどで底の通気性を良くするのが大事。ハエなどの侵入を防ぐため虫よけネットをかぶせ、雨に当たらない、風通しのいい場所に設置しよう。
生ごみ投入3カ月、熟成5週間
始めの約3カ月間は生ごみをコンポスト基材に入れ混ぜ込む。1回に入れる目安量は0.5~1㌔。「私は台所にふた付きの保存容器を用意して、1~2日分の生ごみをためています。底に水切り網がある容器は適度に水気が切れ、臭い対策になります」。食材のほとんどが入れられるが、貝殻や硬い魚の骨は分解できないため入れないように。米やパン、麵類の食べ残しは硬くなった状態だと分解されにくいため、ふやかして水気を切ってから入れよう。
分解を促すため、時々、納豆やヨーグルトのパックをすすいだ水、てんぷらに使った廃食油を200㍉㍑ほど混ぜる。生ごみが順調に分解されると発熱して40度近くまで上がり、段ボールから湯気が立つという。「30度以上を保つのがベスト。箱が温かいので、猫が乗ってくつろいでいることもありますが、荒らされたことはありません」。3カ月混ぜ込んだら次は熟成。週1~2回、水を0.5~1㍑混ぜる。これを5週間ほど続けて完成。「2年保存しても白カビが生えない堆肥になります」
生ごみを使うため、臭い、虫がよらないかなどが気になるところ。「肉などのタンパク質類を入れた後は臭いが気になるかもしれないけど、時間がたつにつれ消えていきます。虫を完全によけるのは難しい。ウジがわいても失敗ではないけど、箱の目張りや虫よけキャップで対策を」。独学でやってみたら腐敗臭がしたなどで段ボールコンポストを諦める人を見てきた平賀さん。「最初はぜひ浦添市リサイクルプラザの講座でコツを学んでほしい」と話した。
浦添市リサイクルプラザ
(☎098・861・3196、午前10時~午後5時、月曜祝祭日定休)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1888号・2022年3月11日紙面から掲載