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2021年12月24日更新
ザラリと粗削り味わい深い木器|アートを持ち帰ろう(9)
文/本村ひろみ
ザラリと粗削り味わい深い木器
日の当たる窓辺で 新年の朝の光入れて個展のハガキが届いた時から気になっていた西石垣友里子の木の器。
表面の樹皮が粗削りに剥がれているようにも見えるこの写真の作品は、制作の途中なのかそれとも完成形なのか、早く実物を見てみたいと思っていたのにうっかり。訪ねたのは会期の終わる前日だった。
彼女の器は待っている方が多く、展示も残り少なくなっていてお目当ての花器は既になかった。そのかわりにと、西石垣が「失敗したので非売品ですが気に入っているんです」と笑いながら見せてくれた器も個性的で心奪われた。ザラッとした印象を残し花が開いたように広がりのある花器。目が離せないくらいのインパクト。もう一つは樹皮を1度剥がして貼り付ける“象嵌(ぞうがん)”の技法で味わいのある表面に仕上げている器。愛情を込めて「かまじさー(無愛想)ボトル」と呼んでいた。
「タブノキの器」約140ミリ 6600円(税込み)
生活に生かす彫刻
西石垣はあえて割れたり朽ちたりした木を選ぶ。ときには思い入れのある庭木を頂くこともあるという。タブノキで作られた皿は、蕾(つぼみ)から開花してしおれるまでの一連の流れを数枚の皿で表現していた。そのフォルムの美しさ。どの器も生活の中で生かされる彫刻のたたずまいだ。
器のある風景から私が手にしたのは、木喰上人(もくじきしょうにん)の仏像の光背(こうはい)に衝撃を受けて誕生したという“光背カットボウル”。相思樹で作られ木目も美しく手にのせると何とも心穏やかになる器だ。ありがたい気分になる。新年はこの器にすがすがしい朝の光を入れたい。日の当たる窓辺に置いて。
「花器とかまじさーボトル」(非売品)
「光背カットボウル」 約130ミリ 5940円(税込み)
作家近況
詳細はホームページで。
https://www.instagram.com/yuriko_nishiishigaki/?hl=ja
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1877号・2021年12月24日紙面から掲載
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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。