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2020年7月17日更新

地域に関わる定住しない人|多くの拠り所がある暮らし[4]

2019年の秋に約1カ月間、日本各地で多拠点生活してみた。その体験などを通して、定住にとらわれずにいくつかの生活の拠点を持つような新しい暮らし方について、連載で紹介する。(文・久高友嗣)

「関係人口」。移住でも観光でもなく、特定の地域と継続的かつ多様な形で関わる人々のことをいう言葉だ。連載のテーマである多拠点生活をする人々は、たびたび地域を訪れ、仕事や余暇として滞在し、現地の人と交流するなど、地域にとって観光以上移住未満の関係人口といえる人々だ。最近の国の動きでは、人口減少や高齢化が進む地方における地域づくりの担い手などとして注目されている。今回はその一例として、多拠点生活体験の中で出会い、今でも交流が続く人との小話をつづる。


多拠点生活者向け住居サービスADDressの北鎌倉の家の外観。4LDKの一戸建て。1階のリビングは25㎡ほどの広さで、LDKと浴室などの水回りは共有スペース。2階の4部屋は個室とドミトリータイプの寝室になっている

北鎌倉の家で意気投合

前回の千葉から東京を経て向かった先は、神奈川県鎌倉市の北側にある北鎌倉の家。観光でも有名な鶴岡八幡宮から徒歩で約30分の距離にあり、東京から近いこともあって予約が埋まりやすい人気の家だ。この家には1度目は2泊、数日空けてまた1泊した。その家には、沖縄にいとこがいる会員Yさん、アウトドアが好きな家守(管理人)のKさんがいて、互いの共通点から打ち解けた。2度目の滞在の夜には、彼らが仕事などから帰って来ると、「おかえり」「ただいま」の言葉を交わした。ついこのあいだ初対面だった人ともなんだか顔なじみになり、寝る部屋は1度目の部屋とは違ったが、リビングや庭で時間を共有したことで「家に帰ってきた」感覚があり、居心地良いものだった。


家の裏側にある庭も共有スペース。同日に滞在していた会員さんが所有していた、写真右手にある、まきストーブを使ったテント式サウナを家守のKさんと一緒に体験。同じアウトドア好きで共通の楽しみを持てた貴重な経験となった


2階個室の内観。ベッドマットレスは他のADDressの家でも同じものを使っていることが多く、どの家でも親しみ慣れた寝心地が得られた

沖縄にも多拠点生活者の家を

彼らとはSNSでもつながっていて、今年1月、2月には休暇でそれぞれ沖縄へ訪れる際に連絡をもらい再会した。数年に1回沖縄に来るというYさんは、これまでやんばるに足を運んだことがなかった。そこでやんばるで開かれていたアートフェスや、私の友人たちとのキャンプのほか、ローカルな場所でごはんが食べたいというYさんの希望もあって、那覇市栄町を案内した。「これまでとは違った沖縄の一面を知ることができた。また来たい。沖縄にも多拠点生活者向けのADDressのような家をぜひ作ってほしい」とYさんは話した。一方、Kさんからは、沖縄在住の彼の旧友たちも交えた飲みの場に誘われて、そこで出会った人と仕事の話につながる縁もできた。


今年1月に沖縄へ訪れたYさんとキャンプした時の様子。私の友人とも交流する機会となり、次回の約束もした

関係人口は、観光のリピーターや地域活動などに携わる人まで、地域との関わり方は広範だ。多拠点生活者は今後も定期的に地域に訪れて生活や仕事を営み、地域と継続的に関わっていく将来性があると考える。観光立県の沖縄において関係人口の受け入れは、新たな県経済活性に向けた選択肢となるのではないだろうか。沖縄県はじめ、全国的にも多拠点生活者を受け入れる環境はまだ十分ではないことから、今後充実していくことに期待したい。
 
 久高友嗣/くだか・ともつぐ/1990年、那覇市生まれ。琉球大学卒業後、健康×ITの領域で起業。2018年からキャンプ団体「CAMPO(きゃんぽ)」の活動を開始。レジャーの枠を超えたキャンプをテーマに、用品の提供や遊休地などを利活用した場づくりなどを手掛ける

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1802号・2020年7月17日紙面から掲載

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