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2021年11月26日更新
大切な人忘れず身近に感じて|アートを持ち帰ろう(8)
文/本村ひろみ
大切な人忘れず身近に感じて
本棚に置き次元を超えて出逢える瞬間を卒業制作展で心に残る作品に出合うことがある。「作家のこれからをみてみたい」と思わせる作品。谷口明日香の作品「祈り」がまさにそうだった。
壁に白木で大小さまざまなふぞろいの四角がつくられ、そこに色も形もすべて違う小さな厨(ず)子(し)甕(がめ)が飾られていた。両手で包めるサイズ。精巧にそして愛らしく制作された厨子甕を眺めていると、タイトルどおり心静かになり「祈り」をするかのように穏やかな呼吸になった。それから1年とたたない10月に谷口の初個展がギャラリースペース「あおみどりの木」で開催された。
「厨子甕」高さ17cm×幅9cm 5万8000円(税込み)
表情豊か 厨子甕と友だち仏
「身近に大切な人を感じられるように、一緒に居ても怖くないように、忘れてしまわないように、あなたらしい形で居られるように」
個展のあいさつ文の中に作家の想(おも)いがあふれていた。会場には表情豊かな厨子甕がずらりと並び、似た作品がひとつとないのには驚いた。谷口はもともと陶器の器を制作していたとあって、その経験から土と釉薬(ゆうやく)を使いこなし個性豊かな厨子甕を誕生させていた。
そして厨子甕とあの世をつなげる役割の“友だち仏”も生み出した。その中でも目に留まった作品には、ふたの部分のつまみに1cmほどの友だち仏がいる。正面には目のように見える2本のハスの花。裏にはハスのつぼみ。“尊さ”を具現化している。
私はこの作品を本棚に置きたい。映画「インターステラー」のように次元を超えて出逢(であ)える瞬間を出現させてくれる気がする。日々大切な存在を感じていたいから、いつも眺められる場所に。=毎月第4週に掲載
「友だち仏」 高さ6cm5000円(税込み)
写真は全て/當銘すみれ
作家近況
詳しい情報はSNSで
https://www.instagram.com/asuka_dorodango/?hl=ja
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1873号・2021年11月26日紙面から掲載
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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。