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2021年10月22日更新

再建への想いカタチに 若い世代と取り組む|私たちの首里城[13]

首里城復興に向けて関係各位が尽力をしている。

再建への想いカタチに
若い世代と取り組む

県建築士会・首里城女官居室木材活用委員会
幸喜 敦さん



沖縄職業能力開発大学校と琉球大学の学生が、解体された首里城「女官居室」の木材を使って、正殿軸組模型製作をはじめた。写真の模型はまだ練習段階。くぎを使わず木を組んで、複雑な正殿を作るのは大変な作業。技の習熟度を上げる必要がある


2019年10月31日、私は自宅のある建物の屋上から、大梁が焼け崩れ火の粉が上がる首里城をあぜんと見ていました。

焼失後、心のよりどころとして大きな存在になっていた首里城の再建を願い、世界中の人々から寄付が集まりました。その想いが首里城の柱となり赤瓦となることで、真の意味での“わたしたち、わたしの首里城”として甦るのではないでしょうか。

女官居室の木材を活用

さて、私の所属する県建築士会では、焼失を免れた女官居室=下図参照=(首里城に勤めていた女官たちの居室)の一部が改修工事に伴い解体されるということで、そこに使われていた貴重な木材を活用する取り組み「首里城女官居室木材活用事業」を行っています。

木材は首里城の復旧・復興に寄与することを目的に、県から県建築士会へ託されました。その木材を活用して、県民をはじめ多くの方々の首里城復興・再建への想いをカタチにし、持続的な復興とまちづくり、さらには建築技術の継承に寄与したいと考え、同事業への参加者と提案を公募しました。するとさまざまなアイデアが寄せられました。

手を挙げてくださった参加者と一緒に、二つの取り組みを行う予定です。10分の1サイズの「首里城正殿軸組模型製作」と、「工芸品の製作・頒布」です。

現在、「模型製作」は、沖縄職業能力開発大学校と琉球大学の学生を中心とした若い世代と、建築士会員で製作の準備に取り掛かっています。必要な経費はクラウドファンディングでの調達を計画しています。

この模型は、2022年10月に開催される「世界のウチナーンチュ大会」で、世界の人々や県民・国民の皆さまに披露し、その後は空港や首里城公園などに展示。若いウチナーンチュの情熱を多くの方々に感じていただきたいと考えています。

また、「工芸品の製作・頒布事業」として、希少・限定品である女官居室の木材を用いた再建祈願プレート、お箸、しおり、ペン皿、サンシンの胴などの製作を木工職人の方々を中心に行う予定です。その他の活用方法についても、11月のワークショップで協議する予定です。

女官居室とは、首里城に勤めた女官たちの居室。正殿の裏側にある

首里城の再建を願う多くの人々とつながり、そして多くの人々と共感できる活用事業になるように取り組んでいきたいと思います。活動については県建築士会のホームページなどで進行状況を発信します。

県外の城下町は江戸時代(265年間)の形成であるが、沖縄では按司の集居策が進められた1500年頃から1879年の首里城明け渡しまでで370年と100年以上長く平和な治世が続き、琉球王朝文化や首里城下町が形成された。その平和に裏付けられた大きな特徴が、城郭外の世子殿の建設だ。城郭外に世継ぎが居を構えることは珍しい事例である。

城郭外での王族の居住は、城下町全体の品格を向上させ、結果として中山門から守礼門までは、香粉道というおそらく世界最古の道路舗装がなされていた=上写真。中山門を抜けると、そこには土ぼこりの立たない白く輝く舗装された道があったことは、訪れた人の目に、城下の領域性を実感させるに十分なしつらえであっただろう。現在は「首里高裏門通り」と呼ばれている道が、である。

しかし、王族、冊封使や薩摩藩の役人が通ったこの道は、1908年に中山門が失われて以降、正面性やゲート性が失われたようだ。1980年刊行の首里高百周年記念誌の記載によると、大正時代に当時皇太子だった昭和天皇がご来島した時(1921年)には、歴史ある綾門大道を通ることなく、皇太子は龍潭通り側を通り入城したと記されている。龍潭通りは、現在は県道として拡幅され、景観形成地域として沿道景観が整えられているが、元々は登城のための正式な道ではない。

こうき・あつし/公益社団法人沖縄県建築士会「首里城女官居室木材活用委員会」に所属。県建築士会のホームページはhttp://shikai.or.jp


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1868号・2021年10月22日紙面から掲載

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