防災
2021年7月9日更新
[沖縄]防災・防犯特集①|住まいの台風対策
7月~10月は台風発生数、接近数ともに多くなる。台風が来る前に知っておきたい停電対策について紹介する。
2020年8月23日、沖縄地方に接近した台風8号。気象衛星ひまわりの画像を利用したトゥルーカラー再現画像(気象庁・NOAA National Environmental Satellite, Data, and Information Service・Colorado State University-CIRA)
襲来前に台風対策
停電の主な要因 樹木や飛来物の接触夏本番とともに台風シーズンがやってくる。台風時、特に困るのが停電だ。事前対策と停電の疑問について、沖縄電力の担当者に聞いた。
ビニールシートなどが絡まることで電線や電柱にかかる風圧が増し、断線や電柱倒壊につながる恐れもある
飛びそうな物は固定
台風時の停電の主な要因は二つ。風で折れたり倒れたりした樹木の電線への接触や、飛来物による破損だ。
「特にトタンやブルーシート、ビニールシートなどは面積が大きい分、飛来すると断線や電柱倒壊につながる恐れが大きい」と沖縄電力・防災室の安形(あがた)陽一郎さんは話す。
主たる要因が分かっていれば対策もできる。「台風が接近する前に庭木の剪定をしたり、ビニールハウスやトタン屋根・壁はしっかり固定しておいてほしい」。ほかにもアンテナ、看板、日よけ用のサンシェード、傘など、思わぬ物が暴風で飛ばされて停電の要因になることもある。
台風前にもう一度、自宅や所有する店舗、畑などをチェック。飛ばされる恐れがあるものは固定や補強、室内にしまえるものはしまう。それが停電リスクの低減につながる。
懐中電灯や電池備える
停電への備えとして、懐中電灯や電池、スマホなどの電池式充電器、ラジオ、カセットコンロなどの準備は必須。
そして実際に停電したとき、一番気になるのは「いつ復旧するか」だ。冷蔵庫の中身やスマホなどの充電をいつまで持たせればいいのか、目安が分かれば助かる。「沖縄電力のホームページから復旧見込みをチェックすることができます。昨年7月からは字・丁目単位で表示しています」と広報グループの崎浜秀太さんは説明する。
電話の自動応答サービスでも同内容を確認できる。「とはいえ、台風時に停電すると不安も大きいと思う。停電リスクを減らすため事前対策にご協力ください」と話した。
Q 停電した。対応状況や復旧の目安を知りたい。
A 沖電のHPなどで確認できます。
沖縄電力は停電が発生すると、停電している地域、戸数、復旧見込みなどをホームページで公表しています。自分の住んでいる字丁目単位で表示され、おおよその復旧見込みも確認できます。
電話での自動応答サービスもあります。音声を認識し、該当エリアの停電状況や復旧見込みなどを自動応答で案内。24時間受付。電話番号は0800・700・1030
Q 道向かいの地域は復旧したのに、うちの地域は停電したまま。なぜ?
A 事故区間以外は配電回路を変更し、送電します。
私たちが暮らす街には配電線が張り巡らされています。図①のように、隣の家でも配電回路が違う場合もあります。
電線や電柱が破損すると、その回路の建物すべてが停電します=②。しかし数分後には、事故区間以外は別の配電回路から電気を供給=③。なるべく停電戸数を少なくするようにしています。
事故区間は、暴風が収まった後、作業員が現場での復旧作業を行います。そのため事故区間内のお客さまは、復旧に時間がかかる場合があります。復旧の目安については、沖縄電力のHPをご確認ください。
わが家だけ停電している場合
周りの家はついているのにわが家だけ停電している場合は、ブレーカーがOFFになっていないかチェックしてください。ブレーカーがONになっているのに停電している場合は電柱から各家庭へつながる「引込線」が断線していることも考えられます。引込線が原因の停電についてはお客さまからの申し出が必要です。沖縄電力のコールセンターに連絡、もしくは沖縄電力HP上の「チャット受付」からお問い合わせください(沖縄電力以外の電力会社と契約している場合も、電線の管理は沖電が行っています)。
Q 暴風時に復電。作業している?
A 暴風時、屋外作業はできません。遠隔操作で復旧可能な場合もあります。
事務所での復旧対応の様子。台風の襲来が予想されると災害対策本部を設置。昼夜問わず作業できる体制を整えている
台風の暴風域内にある間は、作業員の二次被害を回避するため工事や巡視などの作業は行えませんが、上記のように配電回路の変更など事務所内から遠隔操作で復旧可能な場合もあります。
風雨が収まったら、当社、関係会社、電気工事会社(協力会社)など総動員で復旧作業に取り掛かります。
Q 昔より停電しづらくなったみたい
A 電線や電柱を強化したり、台風前には樹木を伐採して停電対策をしています。
電線に接触する恐れのある樹木を伐採。こうした停電対策は定期的に行なっているが、台風前はより強化している
表面に溝のある低風圧電線を採用するなど、電線や電柱の強化策も行っている
電柱の倒壊防止のため補助柱を設置したり、風圧荷重を減らすために表面に溝のある電線を採用するなどの対策を行っています。
また定期的に電柱や電線を巡視して、設備の補修や樹木接触の恐れがあるところは伐採しており、台風前はより強化して行っています。なるべく停電しないようさまざまな取り組みをしています。
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第1853号・2021年7月9日紙面から掲載