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2020年12月11日更新

【布もの】大きさ・場所 幅広く楽しむ|アートと暮らす[3]

[アートと暮らす|文・写真 青木嘉一郎]このコーナーでは、アートショップを営む青木嘉一郎さんに工芸やアートを日常に取り入れる面白さを教えてもらいます。


もう何十年も前の話だが、舞台監督をしていた頃、日本の伝統舞踊を中東の国、バーレーンに紹介しようという文化事業に参加した。バーレーンの街にはまだ劇場はなく、ホテルの大広間に仮設舞台を作っての公演だった。 空いた時間に街へ出て商店街を歩くと、金細工やじゅうたんの店などがあった。とある小さなじゅうたんの店に入った途端、シルクじゅうたんの素晴らしさに魅了された。繊細な図柄がシルクの糸で織られ、その光沢感、高級感に感動した。大きなものは買えないので、玄関マットほどの大きさのものを数枚買って帰った。1枚を残して手放してしまったが、その1枚を今でも大事に使い、楽しんでいる。


バーレーンで購入したシルクのじゅうたん。部屋の出入り口に敷いている


モラ。黒い布を切り抜いてピンクの下地を見せたり、上からカラフルな布をかぶせたりして模様を描く ラリーキルトはテーブルクロスとして使っている。なみ縫いした糸でラインの模様を描く


日常に手仕事のぬくもり

静岡で企画ギャラリーをしていた時に、企画展でパキスタンラリーキルト展を開催した。ラリーキルトは、何枚かの布を重ねてチクチクと手縫いで縫ったもので、ベッドカバーからコースターまで大きさはさまざま。テーブルクロスとして使っていると、手仕事のぬくもりが感じられ、まるで彼らの暮らしがよみがえるようだ。 筑波で科学万博が開かれた時には、モラという布に出合った。中南米のサンブラス諸島(パナマ北東部のカリブ海沿岸にある島々)で女性が作る飾り布。洋服の前身頃に付けるもので、鳥や魚などの動物と幾何学模様を織り交ぜてデザインされている。黒い布をベースにして黄色や赤や緑の布を重ねていて、その模様や色鮮やかさは、とても印象に残った。額に入れて絵のように飾って楽しみたいものだ。 沖縄に移住して布作家の山内知子さんの作品と出合って、今住んでいるアパートの窓辺に掛けて楽しんでいる。窓を開けるとゆらゆらと風に揺れていて、絵のようである。 一口に「布もの」と言っても、じゅうたんからコースターまで幅広い。床やテーブルに敷く、壁に飾る、窓辺に掛ける…。その楽しみ方も幅広い。



ラリーキルトはテーブルクロスとして使っている。なみ縫いした糸でラインの模様を描く


布作家・山内知子さんの作品を窓辺に


山内さんは布のコースターから鍋つかみ、バッグからハンカチポーチなど日常使いで楽しめるものをたくさん作っている

 
あおき・よしいちろう/1947年、川崎市出身。舞台監督として、78年「沖縄歌舞団太陽の燃える島」にも携わる。静岡県で妻・容子と企画ギャラリーを運営し、2016年に移住。北中城村のレストラン沖縄物語内の「アートショップ蓉(よう)」で、作品の展示販売を行う
 
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1823号・2020年12月11日紙面から掲載

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