大自然を堪能するトレーラーハウス|HOTELに習う空間づくり[16]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2020年11月27日更新

大自然を堪能するトレーラーハウス|HOTELに習う空間づくり[16]

当連載では県内のホテルを例に、上質で心地良い空間をつくるヒントを紹介する。
今回は「グローリーアイランドオキナワ ヤブサチリゾート」の空間をクローズアップする。

グローリーアイランドオキナワ ヤブサチリゾート(南城市玉城百名)


海側「Ocean Window room」のリビングから眼下の森と目前の海を見る。短辺の壁に大きなはめ殺しのFIX窓、テラス側に掃き出し窓があることで、室内にいてもパノラマのように望める。テレビは壁に彫り込んで設置し、画面がほぼ壁の面とそろう。室内は白やグレーなど淡い色でスタイリッシュな印象。壁は腰より下までを床材とそろえ、上下で色の明暗が分かれることで、床から天井へ広がりを感じる空間に


1台分テラスで非日常体験

青い水平線と緑の木々の間に浮かぶような、白いトレーラーハウスの群れ。南城市玉城の高台にある「グローリーアイランドオキナワ ヤブサチリゾート」は、今年8月にオープンした。それぞれの客室が分かれたコテージタイプでプライベート性が高く、海や空、緑といった沖縄の大自然を存分に堪能できる。ホテルの企画デザイン・アートディレクションを担当した具志麻未さんは「御嶽(うたき)などの聖地が集まる“ヤブサツの浦原”の高台から、目の前の自然をまるで独り占めするような空間を目指した」と話す。

高台といえば海への眺望。そして斜面地。同ホテルが建つ土地も傾斜しているため、「建物を建てるより造成工事が抑えられ、設置も容易なトレーラーハウスで建て、自然を極力壊さないようにした」。1台ずつずらして置くことで、眺望を確保し、視線もぶつからないよう配慮。土地の高低差を生かして、海側は室内から、山側は屋上テラスから海のパノラマを望める客室にした。



メインアプローチに対して1台1台をずらして並べ、視線が入らないよう配慮。外壁の絵は那覇市に店舗兼ギャラリーを構えるSAKUさんと国内外で活躍するDENPAさんの合作


山側「SKY Rooftop room」では屋上テラスから海を望むことができる

「景色だけじゃない。潮の匂いや風も体感できる屋外スペースは、このホテルをつくる上で必須条件だった」と具志さん。トレーラーハウス2台をつなげて1室に仕立てているが、どの客室も丸々1台はアウトバス付きのテラスに。夕暮れ時、屋外の湯船につかってお酒を1杯。なんて、ぜいたくな時間を過ごしてみたくなる。小さな子どもたちのプールにもなり、宿泊者誰もが必ず使っているという。

「最近は日常を離れて心身を癒やすリトリートの一人旅をする女性宿泊者も多く、テラスで早朝ヨガを楽しんでいる方もいる」。各客室をつなぐメインアプローチ側の扉を閉めればプライバシーが保て、テラスでも朝日や風を浴びてゆったりとリフレッシュできそうだ。




テラスのアウトバス。海側「Ocean Window room」の部屋なら、目前に海が広がる。スタイリッシュな形状のバスタブや蛇口・シャワーもインポートだという。温水・冷水どちらも出る
 

インポート建材ずらり

居室は、水回りで分断された二つのベッドルームがあり、うち一つはリビングも兼ねる。手狭でワンルームになりがちなトレーラーハウスだが、「ベッドルームが二つあれば、寝る時間が違う子どもと大人、2組のカップルでも分けて使える。みんなで過ごす時間と私的な時間があるからリラックスできる」。淡いカラーコーディネートでまとめ、さらに色の明暗を使って上に広がるような印象があるからか、トレーラーハウス特有の手狭さをさほど感じなかった。


山側「SKY Rooftop room」のリビング兼ベッドルーム。トレーラーハウスの短辺はシングルサイズベッド2台がちょうど収まる 


ミニキッチンの青緑色のタイルもインポート建材


2重ガラスの間にブラインドが入った玄関ドア。昇降、傾きも操作できる。その奥にある黒い靴箱は、壁を彫り込んで設置して省スペース化


「海外で製造し輸入したトレーラーハウス」のため、見たことのないインポート建材設備が楽しめる。例えば、二重ガラスの間にブラインドが入った玄関ドア、アウトバスや室内浴室の設備はスタイリッシュで機能的。ミニキッチンのタイルはホテルのテーマカラーの緑を帯びた深い青色で、リビングのアクセントになっている。

「外観の壁画やロゴ、フロントの絵画のほか、ホテル主催の音楽ライブでは県内アーティストが活躍。自然を生かし、五感で沖縄の魅力を体感できるウエディングなどもプロデュースしていきたい」と具志さんは話した。




フロントには沖縄の若手アーティスト・namiさんがホテルのために描き下ろした絵が飾られる


フロントもトレーラーハウス。シェードに描かれたホテルのロゴマークもnamiさんがデザインした。ホテルに関する情報はこちらから
 


取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1821号・2020年11月27日紙面から掲載

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川本莉菜子

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編集者
好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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