防災
2020年11月6日更新
避難場所の選択肢|みんなの防災計画[19]
文・長堂政美
大規模災害が発生した時、どこに避難するか。学校や知人宅、ホテル、車、テントなど、さまざまな選択肢がある。長堂さんは「特徴や立地などを考慮しながら、自分の行きやすい所に避難を」と話す。
複数の場所を臨機応変に
学校・ホテル・テントなど自分の住んでいる地域に、地震・津波・高潮・大雨洪水・土砂災害などのリスクがあるかどうか、県や市町村が作成するハザードマップで確認しておくことは防災の基本です(猛烈な台風に耐えがたいと判断されるような建物も、災害リスクありと考えます)。
仮に、これらの地域において、避難を余儀なくされるような大規模災害の発生が迫っているとき、または発生したとき、災害時非常持ち出し袋に着替えや貴重品、薬手帳、非常食などを入れ、安全な場所に避難しなければなりません。
そのような場合に、避難先として、どのような選択肢があるでしょうか?
コロナのリスクも
小・中学校、知人宅、ホテルなどが挙げられますが、車やテント泊といったケースも考えられます。
それぞれ特徴が異なり、注意すべき点もあります。例えば行政指定避難所では、運営は避難者による自主運営が基本となります。その避難所の敷地内で車中泊・テント泊する人も、食事やトイレは利用するはずなので、積極的に運営に参加してください。
そのような特徴や立地などで判断しながら、状況において最良と思われる避難先・避難方法を選択するようにしましょう。複数の選択肢を考えておくことで、災害の種類や程度によって、臨機応変な対応が可能となります。
多数の被災者で混雑する避難所に避難したとき、現在は新型コロナウイルスに感染してしまうという二次災害のリスクも考えられます。密を避けることを重視するのも選択肢の一つですね。
各避難先の特徴
■市町村指定の避難所(小中学校等)
◆全く知らない、面識のない者同士による避難所生活となる。また、避難所には衣食住の備えが不十分、あるいは、全く何もない状態の可能性も高い。そのため、避難者全員で運営組織(清掃、炊き出し、保安など)をつくり、みんなで工夫しあって、少しでも生活しやすい環境をつくる。特に高齢者や障がい者など、手助けが必要な要配慮者のケアを優先する
◆体育館などの床面でそのまま就寝することになるが、発災当初はプライバシーの確保は困難。そのため、段ボールなどを集めて、パーティション(仕切り)や、箱ベッドなどを作る。原則、一人あたり一畳分のスペースが与えられる
◆マスクなど、新型コロナウイルス感染対策を自身で行ったうえで、避難所に向かう。熱があるときは避難所の受付に申し出る
■知人・親類宅
◆災害リスクのない知人・親類宅が一時避難先の対象となる。普段から災害時の避難先として考えてもよいか、確認しておく
◆別部屋を利用するなどコロナ感染防止対策に配慮する
■ビジネスホテル、観光ホテル等
◆宿泊費用が必要
◆食事や水があり、各部屋にトイレ・浴室もある
◆個室なのでプライバシーは確保され、コロナ感染リスクも低減される
◆大きな揺れなどで安全が確保できなければ、宿泊不可となる場合もある
■車中泊
◆同じ姿勢でいた時に血栓ができる「エコノミー症候群」になる可能性があるため、乗用車は不適。足を伸ばせるワンボックスカー、またはキャンピングカーが最適
◆行政が指定する避難所の運動場などを利用するが、トイレや食事はその避難所のものを利用するので、避難所運営に参加し協力する
◆密を防げるため、コロナ感染リスクは低減される
■テント泊
◆キャンプで使用する必需品がそろっていれば、テント泊に最適。必需品全部がなくてもテントと寝袋があれば可能
◆車中泊と同様で、行政指定の避難所なら避難者による自主運営が原則。避難所運営に参加・協力する
◆密を防げるため、コロナ感染リスクは低減される
ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長
電話=098-923-4442
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1818号・2020年11月6日紙面から掲載