DIY
2019年4月12日更新
ようこそ♪DIYの世界へ「イメージ固め材料確認」
#13 木材の下準備 これまで1年かけて、道具の使い方や塗装方法など、さまざまなDIYの基礎を紹介してきました。これからは実践編という形で、それらの知識や技術を生かしながら、実際に家具を作っていきたいと思います。今回はその前段階として、木材をどのような手順で準備していくかを説明します。
文・島袋清成
角スツールを作りたい場合
家にあるものも参考に
木材を使って何か作る際、まず必要なのが下準備。ここを丁寧にするかどうかが、出来上がりに大きく影響します。しかし、ホームセンターで売っている木材が、自分がほしい寸法とピッタリ合うことは滅多にありません。本を見ても、たいていは既にカットされた状態から始まり、買ってきた木材をどのようにカットしていくかについてはほとんど触れられません。
そこで今回は木材の下準備の方法について説明します。
まず、どんな木材がどれだけ必要かを知るためにも、作りたいものを細かくイメージすることが大切です。既存のテーブルに加えるイスなら、そのテーブルや他のイスと高さを合わせることが必要。写真などを基にする場合、イスの脚の太さなどサイズが分からなければ、家にあるものを参考にするといいでしょう。
次にイラストを描いて、どんな材料が必要か書き出していきます。事前に、店頭にある材料を調べておくと、イメージ固めも設計図作成も、1本の木材からどれだけの材料が取れるかを確認する「木取り図」作成もスムーズになります。
購入時、長い木材を分割していく方が無駄は少ないですが、3000ミリなど長過ぎると一般的な乗用車に載らないので注意。そんな時は車に載るサイズになるよう、カットサービスを利用するのも手です。
そして、木材に印をつけて切っていきます。その際、1本から複数の材料が取れるからといって、最初に複数の印をつけるのはNGです。かつては自分もやっていたのですが、ノコギリなどの刃の厚み分が含まれておらず、サイズが合わなくなってしまうからです。横着せず、「一つカットしたら、一つ印をつける」ようにして、一つ一つの作業を丁寧にすることが、いいものを作る第一歩です。
①イメージを固める
どんなものを作りたいのか、具体的にイメージする。完成後の大きさはもちろん、どんな厚みの木材を、どんな長さで、どこに使うのか、細かく考える。イラストにすると考えやすくなる。立体図だけでなく、正面や側面、真上から見た図面なども準備しておくと、必要な材料を確認する際や組み立てる際に役立つ。
②必要な木材の分量を確認する
設計図を基に、必要な材料を確認する。このとき作っておきたいのが1本の木材から取れる材料を確認できる「木取り図」=下。木取り図を作っておくと、必要な木材の分量が一目で分かるので購入する際やカットの際に役立つ。作成する際は、切る道具の刃の厚み(右各図の5ミリ)も考慮するように。
同じサイズの木材(この場合はAとB)であれば、実際にカットするときは長い材料(A)から切る。そうすれば、失敗しても短い材料(B)に転用できる。
※単位はミリ。いずれも厚さ38ミリの木材を 使用。アルファベットは「①イメージを固 める」の図に対応する
③木材を購入する
④切る位置に印をつける
木材の端にメジャーの金具を引っ掛けてピンと張った状態で、切りたい長さの位置に印をつける。鉛筆だと間違えても消せるのでオススメ
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垂直に線を引けるスコヤを使って、印の位置に真っすぐ線を引く
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線を引いた状態。これに沿ってカットする。切り終わったら次の印をつける。この一連の作業を繰り返して下準備を進める
カットの方法あれこれ
①ノコギリ
◇メリット:作業時の音が小さい、自分のペースでできて安全 ◇デメリット:精度が悪い、時間がかかる、体力が必要 ◇精度を出すには:ソーガイド(切り口を真っすぐにするための補助道具)を使用する
②ジグソー
◇メリット:作業が早い、電動工具の中では比較的安全、曲線カットができる ◇デメリット:直線カットの精度が悪い、作業音が大きい ◇精度を出すには:板を貼り合わせたものなど、自作のガイドを使う
③丸ノコ
◇メリット:作業が早い、長い直線カットが可能◇デメリット:作業時の音が大きい、刃が大きく扱いに注意が必要 ◇精度を出すには:自作のガイドを使用する
④スライド丸ノコ
◇メリット:スライドガイドが付いており、作業が早くて正確 ◇デメリット:作業時の音が大きい、機種により異なるがカットできる長さに限度がある◇精度を出すには:ガイドと一体になっているので、準備するものはない
⑤ホームセンターのカットサービス
◇メリット:大型機械を使うので精度が良い、音を気にしなくていい ◇デメリット:あらかじめカットサイズを決めなければならない
木材の長さなぜ半端?
ホームセンターなどに売っている木材は、長さや幅が1830ミリ、910ミリなど中途半端なものが多い。これは輸送中のキズやヘコミなどを考慮したもの。プロは精度をより高めるため、キズなどがあるかもしれない端をカットして1800ミリや900ミリの材料にする=下。
島袋清成(しまぶくろ・きよなり)
/INTERIAN代表、DIYコンシェルジュ。カルチャースクールなどで、初心者向けのDIY講座を担当する。2008年、沖展木工芸部門入選。沖縄アートフェスティバル宮島達男賞受賞。
050-1240-4059
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編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1736号・2019年4月12日紙面から掲載
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- 出嶋佳祐
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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。