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2023年8月4日更新

相続登記が忘れられた土地|名義人の確認 対応早めに[失敗から学ぶ不動産相続⑰]

今月末の旧盆は、久しぶりに家族や親類が集まれそうですね。ご先祖さまに思いをはせながら、これまで起こった相続の話題や、今後の相続について話し合ってみてはいかがでしょうか。

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相続登記が忘れられた土地

名義人の確認 対応早めに

今月末の旧盆は、久しぶりに家族や親類が集まれそうですね。ご先祖さまに思いをはせながら、これまで起こった相続の話題や、今後の相続について話し合ってみてはいかがでしょうか。


先祖のままになっている名義

「祖父の代からここに住んでいるし固定資産税も払っているから、この土地は祖父の名義だはずよー」。そう思い込んでいたものの、いざ調べてみたら何十年も前に亡くなったご先祖さまの名義のままだった、という事例は本当にたくさんあります。

相続登記とは相続が発生した時、被相続人が所有する不動産の名義を変える手続きのこと。しかし不動産を誰の名義にするか決められなかったり、そもそも手続きが必要なことを知らずに放置していることも多いようです。

相続登記には大きく分けて三つあります。一つは遺言書による相続登記。被相続人が遺言書を残している場合はその内容に沿って相続登記が実行され、不動産が名義変更されます。

二つ目は遺産分割による相続登記。誰がどの遺産を相続するなど具体的に書かれた遺産分割協議書に法定相続人全員が署名・押印し、その内容にそって相続登記が実行され、不動産が名義変更されます。

三つ目は法定相続分による相続登記。遺言書もなく遺産分割協議もまとまらない場合は、民法で定められた法定相続分(法定相続人が配偶者と子2人の場合は、配偶者が2分の1、子それぞれが4分の1ずつなど)に応じて相続登記でき、不動産は法定相続人全員の共有名義となります。

来春から相続登記が義務化

今回の相談者の場合、祖父の代は法定相続分による相続登記がされていましたが、その後、祖父以外の名義人に発生した相続による相続登記はされていませんでした。ひとりの名義人に相続が発生すると、配偶者や子が法定相続人となるため、不動産の名義人がさらに増えていくことになります。時間の経過とともに名義人間の関係性も希薄となり、また居住地も広がることから、名義の整理や不動産の活用などの意向確認の作業がかなり難しくなります。

また、来年4月からは相続登記が義務化されます。過去の相続にも適用されますので、不動産資産を所有する方は名義がどうなっているか登記簿等を取得して確認し、もし相続登記がされてない場合は速やかに専門家に相談し解決していきましょう。

 
【概要と経緯】
相談者は孫A。祖父が所有している土地を有効活用しようと調べると、祖父の兄弟との共有名義になっていた。親類とはいえやりとりはほぼ無くなっており、一部の名義人はすでに亡くなっていることが分かった。
 


【どうなったか?】
共有名義のままでは祖父の一存で融資を受けることも売却することもできないので、司法書士に依頼して名義人全員の行方を確認。登記簿に記載されている名義人の相続もあり、実際の名義人は20人以上になっていた。土地の活用どころか相続登記するだけで多大な費用がかかってしまった。
 
【今回のポイント】
・不動産が共有名義だと全員の合意がないと売却も活用もできない
・まずは登記簿で不動産の名義を確認
・登記簿は法務局で誰でも入手可能
・相続登記がされていない場合は、専門家の力を借りて相続登記を進める


用語説明
「相続登記の義務化」
2024年4月1日から相続登記が義務化され、正当な理由なしに相続登記しない場合は10万円以下の過料が課される。過去の相続も対象となるので、相続登記せず放置している不動産がある場合は、早めに遺産分割協議などをおこない、相続登記を進めた方がいい。


友利真由美/(株)エレファントライフ
[執筆者]
ともりまゆみ/(株)エレファントライフ・ともりまゆみ事務所代表。相続に特化した不動産専門ファイナンシャルプランナーとして各士業と連携し、もめない相続のためのカウンセリングを行う。
電話=098・988・8247

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1961号・2023年 8月4日紙面から掲載

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