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2023年1月6日更新

もめないためには遺言書[失敗から学ぶ不動産相続⑩]

コロナ禍の緊張も緩み、今年のお正月は久しぶりに親族と対面できた! なんて方は、近況報告とともに相続に関する話題も出たのでは? 今年も本コラムを拝読いただき、親族の笑顔がずっと続くよう、もめない相続を実現していきましょう。

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自筆証書遺言と公正証書遺言

もめないためには遺言書

コロナ禍の緊張も緩み、今年のお正月は久しぶりに親族と対面できた! なんて方は、近況報告とともに相続に関する話題も出たのでは? 今年も本コラムを拝読いただき、親族の笑顔がずっと続くよう、もめない相続を実現していきましょう。



遺言書なければ法定相続割合に

被相続人である父が元気なうちは、その財産をどう分けるかについて相続人が口を出しにくいもの。相続人である子らは「父の言う通りに従う」と言うしかありません。

しかし、いざ相続が発生し、父の言っていたとおりに遺産分割協議書を作成すると、その分け方に不満をもつ相続人が署名・押印を拒否することは珍しくありません。兄弟姉妹とはいえ、それぞれが独立した世帯をもつ大人であり、家族構成や生活水準も違います。遺産相続でみすみす損をしたくはありません。

このように口頭で伝えていただけで遺言書のない相続は、法定相続割合に応じた分け方になることが、相続の基本的な知識として流布されており、その通りに分けてほしいと願うのは当然の流れとも言えます。

また、一度遺産分割でもめてしまうと、兄弟姉妹という近しい関係だからこそ感情的になってしまい、法事などで顔を合わせてもお互いが知らんぷりという状況になってしまった! なんていう話もあります。

そんな悲しい相続にならないためにも、やはり遺言書の作成を強くお勧めします。
 

 

【概要・経緯】
相談者は被相続人の次男。被相続人である父は自宅とアパート、現金預金数百万円を所有していた。長男には自宅を、長女には現金預金を、次男にはアパートを相続する予定だということを公言し、子らもそれぞれ納得していたので、遺言書などは不要だと思い準備しなかった。
 


【どうなった?】

相続が発生し、次男は生前父が話していた通りに遺産を相続する内容で遺産分割協議書を作成。しかし資産価値の高いアパートを次男が相続することに不満を感じた長男と長女が署名・押印を拒否し法定相続割合での分割を要求。アパートを共有名義にすることはできず、売却し現金化せざるを得なくなった。
 

【どうすべきだった?】

・専門家にもめない相続について相談する
・もめる相続の大半は遺言書がなかったことが原因だと知る
・大切な家族だからこそ遺言書を作成し、もめ事の種を取り除く

 

遺言書作成を今年の目標に

遺言書には実際利用されている方法で「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の2種類があります。

「自筆証書遺言」はご自身の直筆で書き上げる遺言書であり、書式や内容に不備がなければ法的に有効となります。紛失等を防ぐため、2020年7月から法務局で保管するサービスが開始されました=右用語説明。

「公正証書遺言」は、ご自身が相続する財産とその分け方を公証人に伝え、遺言書を作成してもらいます。法的に有効な公正証書として保管してもらえるので、紛失等の心配はありません。

遺言書があれば、その内容通りに財産が相続される(法定相続人の遺留分を侵害していないことが前提)ので、相続人同士でもめる可能性は圧倒的に低くなります。家族が集まる機会が多い年始はぜひ相続について話し、遺言書作成を今年の目標に設定してみてはいかがでしょうか。



用語説明

「自筆証書遺言書保管制度」
2020年に始まった法務局による制度。これにより、自宅等で保管していた遺言書の紛失や改ざんの可能性がなくなり、開封のための家庭裁判所の検認手続きが不要となった。しかし法務局では法的に有効な遺言書かどうかの精密な確認は行わないため、万全を期すには公正証書遺言がお勧め。




[執筆者]
友利真由美/(株)エレファントライフ・ともりまゆみ事務所代表。相続に特化した不動産専門ファイナンシャルプランナーとして各士業と連携し、もめない相続のためのカウンセリングを行う。☎098・988・8247

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1931号・2023年1月6日紙面から掲載

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