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2020年7月24日更新

case16「マンションの固定資産税」|マンション売買そうだんfile

文・友利真由美 (株)エレファントライフ代表
タワーマンションと言われる高層マンションが沖縄でも増えており、その眺望や居住性から人気を集めています。そしてさらに、節税商品としても注目を集めているようです。今回はそのカラクリと利用の注意点についてのお話です。

60メートル超は階数で差

相談内容
相続税対策でタワーマンションの高層階の購入を勧められましたが、高層階だと税金が高くなるという話も聞きました。購入しても大丈夫でしょうか。

タワマン節税のカラクリ
マンションの建物部分の相続税評価額はほとんどの場合、固定資産税評価額と同額となります。マンションの固定資産税は、一度建物全体の固定資産税評価額を計算し、それを各戸の専有面積に応じて案分(割り振ること)します。同じ専有面積の部屋であれば階数に関係なく同額の固定資産税となります。
一方、売買の現場では、同じ専有面積でも2階と30階では実勢価格が1.5~2倍ほど変わるため、その不均衡を利用して節税する方がいらっしゃいます。タワーマンションの場合、実勢価格が高額な高層階になればなるほど固定資産税評価額との乖離(かいり)が大きくなることから、それを相続税対策として利用するようになったのです。



税制改正で不均衡を是正
この不均衡を小さくしようと2017年度の税制改正により是正が入りました。高さ60メートルを超えるマンションは「居住用超高層建築物」と定義され、一般的なマンションの固定資産税の案分に対し、階数に応じた補正率を乗じることで固定資産税の不均衡が小さくなるようになったのです。
これにより、40階建てのマンションで1階と40階を比べた場合、同じ専有面積であっても固定資産税評価額は40階の方が10%程度高くなります。


県内でも人気のタワマン
ちなみに高さ60メートルは階数にすると大体21階建ての建物となるので、それ未満のマンションは階数に限らず、これまでの固定資産税の計算方法が適用されます。
沖縄県内ではまだ全体の一部ではあるものの、居住用超高層建築物とされる21階建て以上のマンションが建築されています。その人気は高く、新築時と同額、またはより高値で取引されている事例も少なくありません。また、前述の是正が適用されたとしても低層階と高層階の実勢価格の差は10%以上の開きがあることから、そういった意味でもその人気は今後も続くと思われます。

相続税対策での購入は慎重に
しかし、実はこの相続税対策が国税庁から否認されるケースが出ています。マンションの高層階など相続税評価額と実勢価格が大きく乖離し、相続税対策のための購入・所有が明らかだとみなされた場合は、実勢価格を相続税評価額とされる事案も出ているのです。
購入の際に「自分や家族が住むため」など目的を明らかにする、相続後すぐに売却しないなど、相続税対策ではないとはっきり捉えられるような対応が必要です。

■こんなタワマン購入は否認されやすい
・相続発生直前の購入
・購入時の被相続人の判断能力に問題がある
・相続時に誰も利用していない
・相続後、すぐに売却する


 友利の結論 
・マンションは階数に関係なく、広さが同じであれば固定資産税はほぼ同額
・現金よりも不動産を購入した方が相続税評価額は低くなる
・明らかな相続税対策での購入は国税庁に否認されることも!
・節税目的で購入するならしっかりとした計画と対策を!



ともり・まゆみ  (株)エレファントライフ代表。「沖縄マンション.jp」主宰。不動産専門ファイナンシャルプランナーとして不動産と相続の困ったを解決する日々を送る。 電話098・988・8247

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1803号・2020年7月24日紙面から掲載

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