お住まい拝見
2017年3月10日更新
中古一新!モダンに変身|間+impression
Tさん(39)は、那覇市に建つ中古住宅の「立地が気に入って」購入。建物の骨組みだけを残し、ほぼ全面改修した。浮いた骨組みの費用を建材のグレードアップに充て、モダンに一新させた。
立地気に入り購入 全面改修
Tさん宅 鉄骨造/全面改修/家族5人ダイニングとキッチン、合わせて約40平方メートルある。キッチンの裏側は約10平方メートルのパントリーがある。改修前は空間が細切れになっていたが、壁などをすべて取り払いほぼ全面を改修。写真左側の大開口も新たに設け、明るく開放的な空間に生まれ変わった
広さを生かして
「広過ぎるかな、とは思ったのだけれど」と夫人(37)は語る。購入した中古住宅は、1階、2階合わせて床面積が約384平方メートル。迷ったが、国道に近い那覇市の一等地にあること、すぐに入居できるところが決め手となった。
広いものの個室が多く、せっかくの空間が細切れになっていた。「暗さや通風の悪さも気になった」と、友人に紹介された建築士に依頼。骨組みだけを残し、ほぼ全面を改修した。
床や壁にこだわり
新たな開口部も設け、伸びやかに生まれ変わったTさん宅。広さを生かしたぜいたくな間取りが特徴。
玄関を入ると、広々とした約13平方メートルのホール。2階の天井まで続く約7メートルもの吹き抜けがすがすがしい。愛犬や愛猫が外に出ないよう、1階居室との間には大きな扉があるが、ガラス張りだから開放感を損なわない。
ガラスの向こうには、小上がりになった和室、ダイニング、キッチンが連なる大空間がある。天井や床、柱はシャープな直線を多用。すっきりしたラインが広さをより印象付ける。
室内はTさん好みの「モダンスタイル」を反映し、茶や白など落ち着いた色が基調。キッチンなど、要所の黒が印象を引き締める。特に際立っているのはリビング。壁と天井は木のルーバー、床はグレーのタイル張り。昼はテラスからの光が注ぐが、夜は一変。間接照明の柔らかな光が、ホテルのラウンジのような雰囲気を醸す。
夫人が「ここだけは私の趣味で!」と、こだわったのはパウダールームと長女の部屋。パウダールームは床材を斜めに張った「ヘリボーン」の床が自慢。二つの部屋ともシャンデリアや壁面装飾で彩り、憧れの「モダンクラシック」を形にした。
中古住宅といえど、新築同様に手をかけ、立地も住み心地も両立。賢い選択で理想の住まいを手に入れた。
改修前は曲線状だった上がりかまちや2階の廊下を直線にしてシャープな印象にした。吹き抜けに面した扉や仕切りはガラス張りだから、開放感を邪魔しない。造り付けの靴箱は外し、約11.5平方メートルの大きなシューズクロークを設けた
夫人のこだわりで、パウダールーム(上写真)と娘の部屋(下)は「モダンクラシック」な空間にした。パウダールームの床は憧れだった「ヘリボーン」張りのフローリング。壁面装飾「モールディング」やシャンデリア使いが女心をくすぐる。夫人は「やっぱり女性受けが良い。お友達に見せると、うらやましがられる。だけど、ウチの男性陣はあまり関心がないみたい」と笑う
キッチン側からリビングを見る。改修の際、床下にあった空間を無くして南側のテラスと一続きにし、内外のつながりを持たせた
ここがポイント
スケルトンリフォーム
外観も室内も大胆に改修したTさん宅。「早く入居したい」「開放的な間取りに」との要望を受け、間+impressionの一級建築士、儀間徹さんはスケルトンリフォームを提案した。「築10年ほどで、まだ骨組みがしっかりしていたし、この大きさの家を新築するのに比べ、費用も工期も半分で済んだ」。自由度は高いが、余計な費用をかけないよう工夫。
階段や玄関の位置を変えるとコストと時間がかかり過ぎるため、位置はそのままでデザインだけ変更。エレベーターはシートを貼って雰囲気を変えた(下写真)。
骨組みの費用分は、建材のグレードアップに充てた。壁や床、トイレや洗面台などの水回りも上質なものを使い、「細部に至るまで、モダンな空間造りができた」と話す。
外観は黒を基調に、モダンな雰囲気に生まれ変わった。以前は緑が茂っていた庭だが「手入れが大変そうだったのでタイル張りにしてもらった」と夫人
2階のトイレ。バルコニーに面し広々。ぜいたくな空間使い
【高低差やガラス扉で空間にメリハリ】和室から玄関ホールを見る。和室は小上がりになっている。壁で仕切らず、ガラス扉や高低差で仕切ることで開放感を損なわずに、空間にメリハリを付けた
★スケルトンリフォームとは?
住宅をスケルトン(骨組み)だけの状態にして全面改修すること。通常のリフォームより費用はかさむが、間取りや設備機器もすべて一新できる。
改修前
[DATA]
敷地面積:463㎡(約140坪)
1階床面積:187㎡(約56坪) 2階床面積:197㎡(約60坪)
築 年 数:約10年
躯体構造:鉄骨造
工 期:約5カ月
設 計:間+impression 儀間徹
施 工:(株)大修建設
電 気:榮電舎
水 道:(有)丸栄電気水道工業
[設計・問い合わせ先]
間+impression
098-892-3635
http://ma-impression.com/
写真/高野生優/フォトアートたかの撮影 編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1627号・2017年3月10日紙面から掲載
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。