夫婦の好み凝縮 庭と居間一体に|(有)真玉橋設計事務所|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

お住まい拝見

お住まい拝見

2015年12月18日更新

夫婦の好み凝縮 庭と居間一体に|(有)真玉橋設計事務所

沖縄本島中部、読谷村の住宅街に建つKさん(46)宅は、リビングと一体感がある夫婦手作りの庭が印象的。ほかにも、前庭や坪庭など、家中でグリーンが楽しめる。家づくりに積極的に関わった住まいで、夫婦は庭いじりや趣味を満喫している。

夫婦でコツコツ 緑随所に

Kさん宅(家族2人 自由設計 補強CB造)


1階LDKを北側から見る。幅約3・7メートルの大きな開口部の奥には、夫婦手づくりの庭が広がる。白が基調の内装は夫婦の要望。「汚れが目立ち、毎日掃除するようになった」と口をそろえる


敷地の南側に自然林が広がり、鳥のさえずりも聞こえてくるKさん宅は、補強コンクリートブロック造の平屋建て。
玄関からホールを抜けると、白を基調とした明るいLDKに続く。印象的なのは南側の大きな掃き出し窓の外に広がるイングリッシュガーデンのような庭。北側の窓からは鉢植えが並ぶ前庭も見える。室内にはグリーンも飾られており、内装の白と、植物の緑とのコントラストが爽やかだ。
南北の窓を開け放てば、大開口で室内と庭が一体化し、外とも中ともつかない空間に。南から北に抜ける風も心地よい。
キッチンや寝室からも庭が見え、浴室には坪庭がある。「家のどこにいても緑が楽しめ、癒やされる」と夫婦も満足げ。
「以前はアパートのベランダで植物を育てていて、広い庭が欲しかった」と話す夫婦。躯体工事が終わる前から、2人でコツコツと庭造りをスタート。夫がれんがを運び、夫人が並べる。レイアウトも自分たちで考えた。
今ではバラやハーブのほか畑で野菜も育てており、自給自足を目指す。収穫したハーブは、ハーブコーディネーターの資格を持つ夫人が料理に活用。Kさんは「晴れた休日は夫婦で草むしり。スローライフはハードライフです」と話しながらも楽しそう。

設備建材は県外で見学
結婚を機に家づくりを考え始めた夫婦は、本島各地で行われていた100件以上の住宅見学会に参加。その際、床を拭くなどのスタッフの細かな気遣いを見て「自分たちの家も丁寧に造ってくれそう」と、設計事務所を決めた。土地は夫人の父から譲り受けた。
家づくりにも夫婦は積極的に関わった。「後悔するよりは」との思いから設備や建材を選ぶ際は、実物を体感するために、県外のショールームまで足を運んだ。
パン作りが趣味で「将来はパン教室を開きたい」という夫人のため、キッチンは広々。大きな作業台もある。「複数での作業もしやすいし、パンを作りながら食事の準備もできる」と使い勝手もいい様子。
住んで2年がたった今も、庭の一角にピザ窯を作る計画がある。庭とともに育つ夫婦の家づくりはまだまだ終わらなさそうだ。


バラを中心にハーブなどを育てる手作りの庭で、庭仕事をする夫人。「摘みたてのハーブは新鮮さが全然違う」と育てて食べる楽しさを満喫している


明るく広々としたキッチン。「料理しながら庭が見えて気持ちいい」と夫人。友人を招いてプチパン教室を開いたこともある


強風が苦手な植物を鉢植えで並べた前庭。南側の庭とは異なる雰囲気


ここがポイント
大開口で内外つなぐ

Kさん宅の敷地は北西から南東にかけて低くなる傾斜地だった。夫婦の「広い庭が欲しい」という要望をかなえるため、建築士の比嘉美幸さんと野里雅樹さんは傾斜を埋めることを提案。野里さんは「南側に約65坪の庭、道路側に6台分の駐車スペースを確保できた」と話す。
南に庭、北に前庭、西に坪庭と、家中で緑を感じられる。特にリビングの南北は引き込み窓にし、南側は幅約3・7メートル、北側は約2メートルの大開口を実現。リビングと庭を一体化しつつ、通風にも一役買う。
夫人がパン教室を開くことを見据え、東にLDK、西に寝室や水回りをまとめて公私の空間を分離。トイレは2カ所に設け、寝室から浴室までLDKを通らず行き来できるので、来客中でも気にならない。
収納は目的別に設置し、すっきりした暮らしを手助け。キッチン隣に約4畳のパントリー、寝室に約6畳のウオークインクロゼットを設けたほか、サービスコートにはアウトドア好きなKさん用に釣りやカヌー道具をしまう倉庫がある。
キッチンのオーブンから石目調の床材まで、設備や建材は、夫婦がショールームで動作音や大きさ、質感を確認して、気に入ったものを購入。 そのほか、施主が建築士の助言を受け、施工会社を選び契約する「分離発注方式」も、「こだわりを持つKさん夫婦にマッチした」と野里さん。


キッチン側からダイニング、リビングを見る。庭に面した大きな開口で室内と屋外が一体的につながり開放感があふれる。「リビングにいながら庭にいるような気分になる」とKさん


サービスコートから、ポーチ、前庭を見る。ポーチでは愛犬の小太郎が訪問客を出迎える


リースが飾られ、クリスマス仕様になっている玄関。左に行くとLDK、右に行くとパントリーにつながる。玄関からパントリーへ直接行き来できる通路は「重い荷物を運ぶときに重宝する」と夫人


寝室からも庭が眺められる。写真手前の空間では夫人がマットを敷いて、ヨガやストレッチをする


暗くなるとライトアップされる外観。中央のヒンプンには、型枠で使ったスギの木目模様が入っており、外観のアクセントになっている

[DATA]
家族構成:夫婦、愛犬
敷地面積:564㎡(約170坪)
1階床面積:145.54㎡(約44坪)
建ぺい率:29%(許容60%) 容積率:21%(許容200%)
用途地域:指定なし
躯体構造:補強コンクリートブロック造
設 計:(有)真玉橋設計事務所 野里雅樹、比嘉美幸
構 造:与儀建築工房
施 工:(有)秀林組
電 気:(有)沖縄総設
水 道:(有)大川電工
キッチン:(株)クチーナ沖縄 その他7社による分離発注 

[設計・問い合わせ先]
(有)真玉橋設計事務所
098-937-2777
http://www.madanbashi.com
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1563号・2015年12月18日紙面から掲載

お住まい拝見

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2122

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る