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2015年12月11日更新

肌触りよく軽やか 家族みんな元気に|スペース ラボ

沖縄本島中部、車の往来が激しい住宅地に建つGさん宅。住宅内に入ると通りの騒々しさから一変、窓先に緑が広がり穏やかな雰囲気に包まれる。「仕事で疲れても家に帰ると、ホッとして疲れが抜けていく。家事の手伝いも楽しくできます」と笑うGさん。家族3人、住み心地は抜群だ。

疲れ癒やし家事も楽しく

Gさん宅(家族3人 自由設計 RC造)

穏やかな陽光が広がるLDK。自然塗料を施したスギの床は「足触りがいいし、程よく柔らかい」とGさん。畳間横に置かれた三線は、Gさんの親戚が実家にあったクロキで製作。新築祝いにプレゼントしてくれたもの


平屋建てのお宅は、家中ぐるりと回れるコンパクトな造り。床面積30坪とそれほど広くはないが、家中に陽光が広がり奥行きを感じさせる。
家族が1日の大半を過ごすLDKは、隣地に茂る緑を借景に外とオープンにつながる。リビング隣のデッキテラスは憩いの場にもなっている。「昔ながらの縁側。隣に住む母がユンタクしによく来たり、夕方にはここに腰掛けてのんびりできる」とGさん。
共働きで忙しい生活にゆとりをもたらしているのが、水回りの機能性だ。キッチンから浴室や洗面室、物干し場まで一直線に並べて動線を短く。さらに開口の工夫で風通しも良いため、雨の日でも家中がサラリとしているという。
「触り心地がいい家にしたくて、素材選びは気を使った」と夫人。浴室の坪庭に組み込んだガラスブロック、ペンダントライト、引き出しの取っ手に至るまで、心地よく感じるものを一つ一つ慎重に選んだ。足裏に触れる木の床や珪藻土の壁、建具にしつらえた花柄模様のフローラルガラスなどが光を受け、柔らかであたたかみのある表情を見せる。「建具には夫の実家にあった古いガラスをはめ込んでもらいました。家が出来上がった時から既にあちこちに思い出がある家です」。

みんなで造った家
「ここに住みたい」と願った今の敷地は、実家の隣地で生活にも便利な環境。当時、空き家があったが売りに出ておらず、5年の年月をかけて取得することができたという。設計はシンプルであたたかみのある空間づくりが気に入った建築士に依頼した。
家造りをスタートしてから仕事や子育てであまりに忙しくなり諦めかけた時もあったが「建築士や工事担当者に助けてもらいこの家が実現できた。細かい要望にも丁寧に対応してもらった。みんなで造った家」と夫妻。
何よりの喜びを感じるのが「住み始めて家族が元気になったこと」だ。「クリスマスツリーはハロウィーンが終わった数日後に飾りました。気が早いかもと思いましたが、自然に花や季節の飾りがしたくなる」と夫人。住むほどに楽しみが増していくよう。


写真左側、幅広のデッキテラスとつながるリビング。ダイニング横にも坪庭が設けられ、優しい陽光が広がる。ソファは床の色に合わせてオーダー。テーブルはGさんの手作り


デッキテラスの花ブロックの壁が、視線を緩やかに遮り風や光を通す


洗面室、トイレも爽やか。壁には調湿作用のある珪藻土が塗ってあるので空気もサラリ。キッチン近くに勝手口も設けてありゴミ出しがスムーズ


ここがポイント
坪庭、窓の配置工夫 穏やかな空間確保

Gさん宅の敷地は、北西側に車や人の往来が激しい道路、北東とその逆側には隣家が建つ。建築士の上地史郎さんは、夫妻から要望された家相をベースに、建物の配置や開口部の造りを工夫。トップライトや坪庭を効果的に配置することで、外部の悪条件を緩和しつつ、明るく開放的に過ごせる空間構成を提案した。
北西側には目隠しの壁を設け、内部は坪庭を挟んで居室を配置することで通りからの視線や音を遮り、明るさと視線の広がりを確保。緑地がある東南側は大きく開放し、デッキテラスからLDKまでオープンにつなぎ、風や光をふんだんに取り込んだ。
「家事がしやすい造りに」との要望には、「水回りを中心に家事動線を短くしたほか、建物奥に物干し場、キッチン近くに勝手口を配置して回遊性のある造りに配慮しました」と上地さん。掃除のしやすさを考えた収納の造りもポイント。玄関横は約2畳の収納スペースにして大容量を収められるようにしたほか、雑多なテレビの配線は、壁を通して収納側に引き込むことですっきり。メンテナンスもしやすい。
床は天然オイル仕上げのスギ、壁は珪藻土など、できるだけ自然素材を取り入れてあり、素足で過ごしても腰に負担が少なく、湿気もこもりにくい。健康的に過ごせる住まいになった。

 


天井にスピーカーが取り付けてあり、気軽に音楽が楽しめるダイニングとキッチン。「掃除の時にかけるテーマ曲を決めていて、それを聞くと妙にやる気になります」と夫人


ダイニングスペースからキッチン、洗面室、トイレ、浴室、その先の物干し場まで一直線につながり、家事がスムーズにこなせる


明るい洗面室。写真右上のように、暗くなりがちな部分には随所にトップライトが設けられ、光がほどよく行き渡るよう工夫されている


浴室とトイレの間の坪庭には、夫人が希望したガラスブロックを配して日差しを和らげ、趣のある雰囲気に

[DATA]
家族構成:夫婦、長男
敷地面積:335.39㎡(約101.45坪)
1階住居床面積:100.51㎡(約30.4坪)
建ぺい率:43.67%(許容50%) 容積率:31.29%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式構造
設 計:スペース ラボ 上地史郎
構 造:U‐An建築設計 當山 聖
施 工:(株)フレームワーク 安次富長一郎
電 気:(有)開成電設
水 道:(有)名設
キッチン:(株)クチーナ沖縄

[設計・問い合わせ先]
スペース ラボ
098-958-1588
Spaceslab.ti‐da.net
写 真/比嘉秀明撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1562号・2015年12月11日紙面から掲載

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