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2015年11月27日更新

吹き抜けでつなぐ 家族の気配身近に|建築工房 亥

沖縄本島中部、宜野湾市内のスーパーや病院などが集まる地域にあるSさん(40)宅は、鉄筋コンクリート造2階建て。土地のこう配に沿ったスキップフロアとし、吹き抜けを中心に各部屋がつながる。どこに居ても家族の気配を感じ、会話が楽しめる。

デッキで空間 より広く

Sさん宅 (家族4人 自由設計 RC造)


吹き抜け上部の高窓が印象的な1階LDK。デッキテラスに続く掃き出し窓を開け放すと、LDKから奥の和室までが一体的に使え、友人や親戚などが大勢集まったときにも対応できる。吹き抜け上部左手は2階寝室となっており、窓からは1階や、南側にある子ども室の様子が分かる


Sさん宅は宜野湾市の住宅街にあり、周囲に高い建物が少なく、どこからでも日が当たる。東から西に傾斜した地形を利用したスキップフロアで、コの字形の1階の上に、直方体が載っているような外観デザイン。夫人(40)、長女(7)、長男(3)と暮らす。
目を引くのは、高さ5・3メートルの吹き抜けが開放感をもたらすLDK。大きな高窓からの光で室内は明るい。「流れる雲をのんびり眺める。中秋の名月もきれいに見えた」とSさんは高窓からの景色を楽しむ。
リビングの南側に子ども室、2階北側に寝室がある。それぞれリビングに向かって開口部があり、吹き抜けでつながる。夫人は「どこに居ても家族と会話でき、様子が分かる」と喜ぶ。キッチンからは子ども室で長女が勉強する姿も見える。
東側には、芝庭へと続くデッキテラス。デッキ側の掃き出し窓を開け放てば、リビング、和室、デッキがつながり、子どもたちがグルグルと走り回る。「一つの大きな空間として使えるので、バーベキューなど人が集まるときに重宝する」とSさん。さらに、「室内とデッキが平らになるよう、サッシ部分にはめ込む板を大工さんに作ってもらったので、つまずく心配がない。車いすも大丈夫」と夫婦は安心する。

効率良い洗濯動線
長女の就学前にと家づくりを決意したSさんは、自分が生まれ育った場所ということもあり、同市内で土地を求めた。設計は、友人宅のシンプルでモダンな雰囲気が気に入り、同じ設計事務所に依頼した。
夫婦が要望したのは「家族を身近に感じること」のほか、共働きということから「家事のしやすさ」。建築士は、吹き抜けで各部屋をつなげたほか、水回りを北側に集約。「洗濯機がある洗面室の隣に干し場があり、乾けばその隣の和室で畳む。畳んだものは洗面室の収納に片付けるので、効率良く作業できる」と夫人。
庭での家庭菜園も計画しているSさん。「リビングに大きなクリスマスツリーを飾りたい」と、楽しみでいっぱいな様子だ。


キッチン側から見た1階リビング。吹き抜けのため、約2メートルの植物を置いても窮屈さを感じない。正面の壁は、奥の子ども室とつながるよう一部を開けた


庭から見たデッキ部分。子どもたちは、デッキからそのまま素足で庭に飛び出していくこともあるという


野球好きのSさんの要望で設けた階段脇の飾り棚。Sさんは「2階に行くときなどにふと見ると、元気とやる気が湧いてくる」

ここがポイント
傾斜地生かし階段状に

設計の際、建築士の伊佐強さんがまず考慮したのは、東西に最大約2メートルの高低差がある敷地をどう生かすか。そこで「一番低い西側に車庫、その上に子ども室を配置。1階から子ども室、子ども室から2階へとスキップフロアでつなぎ、平屋に近い感覚で、どこにいても家族の気配が近くに感じられるようにした」と話す。
「家族を身近に感じる空間」という要望に対してはスキップフロアだけでなく、吹き抜けも一役買う。子ども室とリビングの間の壁を大きく開けたほか、2階の寝室にもリビング側に窓を設け、子ども室の様子が分かる造りになっている。
風通しにも配慮。南東から吹く風がLDKや水回りを抜けるように、リビングや階段など北西側にも窓を設置。吹き抜け上部にも小窓があり、熱気は上から抜けるようになっている。
夫婦は将来、足腰が悪くなったときを見据え、1階の和室を寝室にすることを考えていた。そのため、最小限の動線で家事ができるように、キッチンや水回りを和室の近くにまとめた。
玄関や洗面室、ウオークインクロゼットなど大きな収納を随所に設置。キッチン横にはパントリーがあり、「ごみを置いておくのにちょうどいい」と夫人が喜ぶサービスコートへとつながる。そのまま駐車場脇を通り、道路までごみ出しも行ける。

 


中2階子ども室で積み木遊びをする子どもたち。個室が必要になったときには、奥の可動式収納で二部屋に仕切れるようになっている。子どもたちが巣立った後も、再びワンフロアに戻しやすい


キッチンから和室を見る。和室は将来的に夫婦の寝室となる


玄関。中央の仕切りの両側は扉で閉じることができ、急な来客でも、雑多になりがちな靴箱を簡単に目隠しできる


外観。写真右から左へと低くなっており、傾斜地にあるのが分かる

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:234.12㎡(約70.82坪)
1階床面積:125.47㎡(約37.95坪) 2階床面積:55.77㎡(約16.87坪)
建ぺい率:59.89%(許容60%) 容積率:64.60%(許容100%)
用途地域:第1種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式構造
設 計:建築工房 亥 伊佐強、久場勇作
施 工:米元建設工業(株)
電 気:屋宜電気工事
水 道:(有)ライフ工業

[設計・問い合わせ先]
建築工房 亥
098-896-0390
http://gai‐okinawa.com
写 真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編 集/週刊タイムス住宅新聞編集部

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1560号・2015年11月27日紙面から掲載

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