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2022年9月9日更新

[沖縄・お住まい拝見]20坪の箱 無駄なく楽しむ|アース建設(株)

[中庭や玄関もリビングの一部]比嘉邸は20坪のシンプルな箱型。靴箱のそばにテレビを設置したり、廊下を無くしたりしてリビングの面積を確保。窓は少ないが中庭に視線が抜け、小さいながらも開放的だ。

リビングを広く使いたいと、あえて靴箱のそばにテレビを設置
リビングを広く使いたいと、あえて靴箱のそばにテレビを設置。「おかげでキッチンからもテレビが見やすい」と夫人。ソファは中庭と向かい合う場所に配置


コスト重視も妥協なく

比嘉さん宅
RC造/自由設計/家族3人

「掛けられる予算が決まっていたので、コンパクトでシンプルな家を要望した」と施主の比嘉智幸さん。完成したのは約20坪の正方形、鉄筋コンクリート造の2LK。

窓のない、打ち放しの外観は「倉庫みたいだと言われる」と笑う。しかし室内は、中庭の効果で明るく開放的。「外から見られる心配が無いので、カーテン要らずで生活しています」

比嘉邸には、小さく豊かに暮らす工夫がいっぱい。その一つは、靴箱の隣にテレビが設置されていること。清華夫人は「リビングを広く取りたいと話したら、建築士さんが提案してくれた。おかげでキッチンからもテレビが見やすい」と話す。デッドスペースになりがちなテレビ周りだが、比嘉邸では自転車や愛犬のケージ置き場として活用している。

水回りは、トイレ・浴室・洗面室・脱衣室が一部屋にまとまっている。「浴室とトイレの間は仕切りがあるので生活上、支障はない。水回りの掃除が一気に終わるのも良い」と話す。デメリットは「浴室使用後に、トイレや洗面室に入るとむし暑いこと」

リビングは中庭からたっぷり光が入り、開放感もある
リビングは中庭からたっぷり光が入り、開放感もある。ステンレスのキッチンはスタイリッシュな打ち放しの空間にマッチしている


箱型の外観。窓が一切無いため「来客は、室内の明るさに驚く」と比嘉さん

箱型の外観。窓が一切無いため「来客は、室内の明るさに驚く」と比嘉さん


設備に予算掛け
所有していた土地に新居を建てようと、「あちこちの建築士事務所を回ったがピンとこなかった。知り合いに紹介してもらった建築士さんは、予算を踏まえつつ、希望に沿ったプランをしてくれた」と比嘉さん。

コストとの兼ね合いで予定より小さくなったが、「パントリーなど要望した空間は確保できたし、リビングの天井高が約3メートルあったり、中庭があるおかげで狭いと感じたことはない」。建物のコストを削減できた分、オール電化などの設備にお金を掛けられた。「だから、妥協したという感じはない」と満足顔だ。

中庭にプールを出して遊んだり、玄関土間で愛犬が昼寝をしたり。小さくとも家族の居場所があちこちにある。
 

子ども室も中庭に面していて明るい

子ども室も中庭に面していて明るい。中庭越しにリビングの様子が見える

 

中庭は、上部から日差しが振り注ぐ

中庭は、上部から日差しが振り注ぐ。娘がプール遊びをしたり、愛犬の昼寝の場所にもなっている



ここがポイント
居る時間の長さで
広さを取捨選択

建築コスト減に面積は重要だ。小さいほど、材料費を抑えられる。さらにシンプルな正方形にして「なるべく線を減らしたこともコスト減につながっている」と、比嘉邸を手掛けたティックデザインの清水さんは話す。

20坪を居室に振り分ける際、「居る時間が少ない場所は、割り切った造りにした」

「いわゆる『玄関土間』は設けず、玄関とリビングの間にタイル張りの空間を造り、居室の一部として活用した」。廊下も作らないようプランしたほか「浴室やトイレ、洗面室などの水回りもひとまとめにしたことでコストや面積の削減になった」と説明する。
 

玄関前のタイル張りの空間は、いわゆる「玄関土間」ではなくリビングの一部

玄関前のタイル張りの空間は、いわゆる「玄関土間」ではなくリビングの一部。テレビの設置場所や、自転車置き場としても活用

 

トイレと浴室の間には壁があり、互いの姿が見えないようになっている

トイレと浴室の間には壁があり、互いの姿が見えないようになっている

 

ガラスの扉で仕切られた浴室

ガラスの扉で仕切られた浴室


小さくとも「狭く感じないよう、リビングの天井高を3メートル15センチと高くしたり、中庭への視線の抜けをつくって開放感を演出している。さらに外のアプローチと中庭、室内のリビングは同じタイルを使って、居室が続いているように見せている」

維持費も抑えられるよう配慮。「メンテナンスのしやすさを考えて、配管は表に出しつつ外観デザインとして利用した」。打ち放しの外観に2本ずつ並ぶシルバーの管は、箱型の外観をよりシャープに感じさせる。「1本は雨どいで、もう1本はエアコンの配管を内蔵している」

室内も打ち放しの雰囲気を損なわないよう、無機質でシンプルな設備・照明をチョイス。特にオールステンレスのキッチンは空間をスタイリッシュに彩る。

20坪だからこそ、細部までこだわって比嘉さんの理想の家をかなえた。
 

玄関前のアプローチから室内まで同じタイルを用いて一体感を演出している

玄関前のアプローチから室内まで同じタイルを用いて一体感を演出している


西側外観はあえて配管を表に出し、デザインの一部にした
西側外観はあえて配管を表に出し、デザインの一部にした
 

北側の寝室の窓は必要最小限。「家の収納が最小限なので、下部が収納になったベッドにした」と比嘉さん
北側の寝室の窓は必要最小限。「家の収納が最小限なので、下部が収納になったベッドにした」と比嘉さん



[DATA]
家族構成:夫婦、子1人、犬1匹
敷地面積:157平方メートル(約47.5坪)
1階床面積:66.42平方メートル(約20坪)
建ぺい率:45.39%(許容60%)
容積率:43.18%(許容200%)
用途地域:未指定
躯体構造:鉄筋コンクリート
     壁式構造
設計:ティックデザイン
   清水・大城
施工:アース建設(株) 友寄司
構造:アース建設(株)
電気:新光電設 新城功
水道:(株)石川設備工業

問い合わせ
アース建設
電話098・943・2998
https://earth-kensetsu.jp/


撮影/矢嶋健吾 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1914号・2022年9月9日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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