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2021年11月5日更新

世代を超えて2度目の改修|親から継ぎ全面改修・築43年・一戸建て・RC造

[こだわリノベ|親から継ぎ全面改修]親から継いだ、築43年の実家に一人で暮らす佐藤禎康さん(47)。33年前の改修で増築した部屋を撤去し、全体を白くすることで、明るく開放的な空間にリノベした。床下など見えない部分に予算をかけ、長く住み継いでいける住まいとなった。

2階から見た1階ダイニングと中2階リビング。全体を白く塗装し、窓ガラスに貼られていた日射調整のブラウンフィルムもはがしたことで「明るい空間になった」と佐藤さん。「犬の毛など汚れも目立ちやすいので、掃除をするきっかけにもなっている」という
2階から見た1階ダイニングと中2階リビング。全体を白く塗装し、窓ガラスに貼られていた日射調整のブラウンフィルムもはがしたことで「明るい空間になった」と佐藤さん。「犬の毛など汚れも目立ちやすいので、掃除をするきっかけにもなっている」という

▼リノベーション途中の様子




改修前のお悩み
「水漏れなど傷みが出始めていたほか、使っていない部屋もあった」

▼リノベーション前
現在吹き抜けになっている部分には、前回のリノベで部屋が設けられていた。写真は中2階リビングから見た解体途中の様子
現在吹き抜けになっている部分には、前回のリノベで部屋が設けられていた。写真は中2階リビングから見た解体途中の様子
           
中2階のリビング。吹き抜けにあった部屋を撤去したことで、圧迫感が軽減した
中2階のリビング。吹き抜けにあった部屋を撤去したことで、圧迫感が軽減した

中2階リビング。吹き抜けを中心に家全体がつながっていることが分かる
中2階リビング。吹き抜けを中心に家全体がつながっていることが分かる

1階犬スペース。滑りにくいタイルを敷き、防水処理も施した。エアコンもある
1階犬スペース。滑りにくいタイルを敷き、防水処理も施した。エアコンもある

中2階リビングにある手形。竣工時につけたもので、佐藤さん「壁板をはがして出てきた時はみんなで懐かしんだ」中2階リビングにある手形。竣工時につけたもので、佐藤さん「壁板をはがして出てきた時はみんなで懐かしんだ」


部屋を撤去し開放的に

コンクリート打ち放しの外観や、吹き抜けを中心に家全体がスキップフロアでつながる造りは、43年前の竣工時と同じ。しかしこの家がリノベーションを経験するのは今回で2度目だ。

竣工時からここで育ってきた紀建設専務取締役の佐藤禎康さんは「33年前の改築は、自分や弟、妹が成長したことによる、庭や吹き抜け部分への部屋の増築がメインだった」と話す=3面・1988年平面図。加えて、壁の漆喰や床板の上から、新たに板を張って、木のぬくもりを感じられる雰囲気に変わったという。

現在は佐藤さんが1人で暮らしていることもあり、今回は吹き抜けに設けた部屋を撤去。その上で、内装は壁だけでなく床も天井も真っ白にした。再び開放的になった吹き抜け空間に、1階ダイニングから中2階のリビング、2階へと続く、階段の真っ赤な手すりがよく映える。「とても開放的で明るくなった」と佐藤さん。

庭を増築した部分は、犬2匹、猫2匹のための空間として整えた。「ここで犬たちと戯れている時間が好き」


先の世代に住み継ぐ

佐藤さんが家を引き継いだのは10年前。弟や妹が巣立った後、両親も小さなマンション暮らしを始めたのがきっかけだった。

それから最初の改築をした状態のまま暮らしていたが、水漏れなど建物に傷みが見えてきた。「最初は防水工事だけの予定だったが、床をはがしてみると床下も朽ちたりしていた。使わない部屋もあったし、リノベすることにした」

設計は佐藤さんの父で、同社会長の圭吾さんが手掛けた。施工中、リビングの壁板をはがすと、現れた漆喰に竣工当時つけた家族の手形が出てきた。圭吾さんはそれを縁取り、絵画のように生かすことに。

佐藤さんは「自分も子どもができたら引き継ぎたい」。親から子、子から孫へと、家族の状況に応じて形を変えながら住み継いでいく。


 佐藤さんがリノベを選んだ理由 

当初は防水工事のみの予定だったが、見えない部分が予想以上に傷んでいた。躯体は大丈夫だったし、長年住み慣れて思い出も詰まっていたのでリノベを選択。鉄筋コンクリート住宅で長く住み継いでいく事例にもなればと思う。




▼リノベーション工事中
リノベーション工事中
           
1階から見た吹き抜け。犬や猫たちの様子が見えるよう、犬スペースとの間には掃き出し窓用のサッシを設置。普段はオープンにしている
1階から見た吹き抜け。犬や猫たちの様子が見えるよう、犬スペースとの間には掃き出し窓用のサッシを設置。普段はオープンにしている


 佐藤さん宅 リノベのカギ 

床下など見えない部分に注力し、建物が長持ちするようにした。仕上げは簡素にして、コストバランスを図った。


裏側に注力し建物長持ち

リノベーションの設計を手掛けたのは、もともとの家主でもある、紀建設の佐藤圭吾会長。そのため「建物がどんな改装をしてきたかの履歴はよく知っているし、躯体の状態も良かった」として、「建物をより長く使えるよう、見えない部分に予算をかけた」という。

中でも力を入れたのは防水工事。前回のリノベでは、古い床の上に新しい床を張っただけなので、床下部分の確認などをしていなかった。そこで今回は見えない部分を徹底的に調査。さびた配管を交換したり、防蟻処理も施した。「躯体に比べて配管や設備は寿命が短い。できれば10~20年の家族のライフスタイルが変わるタイミングなどで、見えない配管類を確認しながら少しずつリノベしていくのがオススメ。そうすれば使い勝手もインフラも良い状態が続き、建物も長持ちする」

見えない部分に予算をかけた分、仕上げはローコストに。床は塩ビタイルを敷き、壁は板壁をはがして出てきた漆喰の上から白いペンキを塗装した。壁の端は漆喰で太い縁を付けて真っすぐなラインを強調。「当時の施工技術だとどうしても生じていた、コンクリートのわずかなゆがみを直線に見えるようにした」

また、「この家は当時、同僚だった高増和明氏と利田允祥氏が設計したもの。2人が将来の可変性も考慮してくれたから、2度の改築に耐えられた」と圭吾さん。

その高増さんは「設計時、吹き抜けを設けて容積にゆとりを持たせたほか、流行に左右されないデザインや間取りにもこだわった。そうすることで、住む人に合わせて柔軟に対応でき、長く住み続けられる家になる」と話した。
 

2階寝室。この部屋のみ、壁や天井はペンキではなく調湿効果のある漆喰を塗った2階寝室。この部屋のみ、壁や天井はペンキではなく調湿効果のある漆喰を塗った


▼リノベーション工事中

           
2階クローゼット。1人暮らしに必要な分だけ残し、残りは撤去した
2階クローゼット。1人暮らしに必要な分だけ残し、残りは撤去した

壁面は、もともとあった琉球漆喰の上から白いペンキを塗装。独特な質感が残る。端は新たに真っ白な和漆喰で縁取りをし、見た目もシャープな印象に
壁面は、もともとあった琉球漆喰の上から白いペンキを塗装。独特な質感が残る。端は新たに真っ白な和漆喰で縁取りをし、見た目もシャープな印象に
 

[DATA]
家族構成:本人、犬2匹、猫2匹
躯体構造:鉄筋コンクリート造
築年数:43年
1階床面積:62㎡(約18.7坪)
2階床面積:63㎡(約19坪)
工期:約3カ月
設計:㈱紀建設 佐藤圭吾
施工:㈱紀建設
実施設計:高増和明(1977年)
基本設計:利田允祥(1977年)


[問い合わせ先]
(株)紀建設
098-890-6225
http://www.ki-kensetsu.jp/


撮影/泉公(ララフィルム) 取材/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1870号・2021年11月5日紙面から掲載

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出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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