インテリア
2018年3月9日更新
住空間プロデューサーの上原牧子さんが暮らしを楽しむインテリア「伝統工芸品をもっと気軽に」
[文]上原牧子さん(住空間プロデューサー)Vol.12
私たちが暮らすこの沖縄には多種多様な素晴らしい工芸品が脈々と受け継がれています。最終回となる今回は、ライフスタイルに取り入れやすい工芸品について紹介。やちむん、漆器、紅型、琉球ガラスまで、アイテムやデザインの選び方次第で、もっと気軽に楽しめますよ!
現代風なデザインも多く登場!
やちむん・漆器・紅型・琉球ガラスまで
沖縄の工芸品の中でも、焼物(やちむん)などは日頃から気軽に使えるものとして生活に密着しています。その一方で、紅型や漆器などは普段の暮らしに取り入れるには、敷居が高いと感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、暮らしに取り入れやすい現代風にアレンジされた伝統工芸品をピックアップします。
①彩を添える漆器(写真1、2)
伝統工芸品の琉球漆器は贈り物やお祝いなど特別な時に使われる印象がありますが、シンプルなデザインであれば和でも洋でも日常使う器と組み合わせて、違和感なく使うことができます。また、最近では現代の暮らしやスタイルに合ったモダンな東道盆(トゥンダーブン)なども製作されています。料理やお菓子はもちろんですが、小物入れなどとして、もっと自由な発想で楽しんでみてはいかがでしょう。
②ポップな紅型アート(写真3、4)
琉球王府の時代から伝統的な染織技法のひとつとして沖縄を代表する紅型ですが、その紅型をモダンアートとしてインテリアに取り入れてみるのもおススメです。
写真3、4は沖縄県認定工芸士・金城宏次さんの作品ですが、伝統的な紅型を沖縄独特の図柄でポップに表現しているところが斬新です。高価なイメージのある紅型ですが、アートとしてインテリアに取り入れることで、より身近に感じられるのではないでしょうか。
③シックなシーサー(写真5)
沖縄ではおなじみのシーサー、魔よけとして家の門や屋根の上に置かれることが多いのですが、最近のモダン住宅ではシーサーを置かないケースも多くなりました。
わが家もそうなのですが、インテリアの一つとして室内で飾れるシーサーが欲しいと思い探していました。壺屋やちむん通りの「Kamany」さんでみつけたモダンなシーサーは黒でシックなデザインなのでわが家のインテリアともよく合い、とても気に入っています。いろいろなデザインのシーサーがあるので、それぞれのお宅に合う一体を探し歩くのも楽しいかもしれません。
④琉球ガラスのペンダントライト(写真6)
赤や青、緑など色とりどりで独特な味わいをもつ琉球ガラスは、グラスやお皿など沖縄のどの家庭でも親しまれているのではないでしょうか。インテリアとして取り入れるならば、ダイニングテーブルなどで使うペンダントライトのランプシェードがオススメです。
写真6は沖縄県認定工芸士・屋我平尋さんの作品ですが沖縄の空や海を連想させるような爽やかなブルーが空間のアクセントになり沖縄らしいですね。明かりをつけた時と消した時の表情も両方楽しめます。素晴らしい伝統工芸品の数々、暮らしに取り入れることで今後も受け継がれていくことを願います。
1年を通して連載させていただいたこのコーナーも、今回で最終回となりました。暮らしの中でインテリアを楽しむヒントが少しでもお届けできましたら幸いです。これまでお読みいただき、ありがとうございました。
<1>シンプルな漆器は和洋スタイルどちらにも重宝します。ガラスや銀食器などと組み合わせるとモダンなテーブルコーディネートに仕上がります
<2>現代風にアレンジした東道盆(トゥンダーブン)は、器として使うのはもちろん、小物入れとして活用してもすてきです
<3>「TULIP」金城宏次作。沖縄でおなじみの缶詰をモチーフにした紅型アート。ユーモラスでポップな図柄はインテリアも楽しくなりそうです
<4>「蝶にハイビスカス」金城宏次作。色鮮やかで大柄なハイビスカスの紅型。沖縄の生命力と色彩の豊かさを感じさせ空間でひときわ映えそうです
<5>壺屋やちむん通りで見つけたシーサーは、シックな色とデザインがモダンなインテリアにもぴったり。沖縄の家にはやっぱりシーサーがあると落ち着きますね
OFF
ON
<6>「雷雲 ルリ」屋我平尋作 琉球ガラスのペンダントライト。
沖縄をイメージさせるブルーの鮮やかなシェードは空間のアクセントにも最適です。点灯時は空間にゆらゆら浮かぶ雲のようにも、消灯時は沖縄の青い空と海を連想させ十分楽しめますね
写真2 東道盆(トゥンダーブン)
問い合わせ先:NPO法人 アートリンク
TEL:050-1561-6478
写真3、4、6 紅型アート、ペンダントライト
問い合わせ先:BONDokinawa
TEL:098-800-1808
上原牧子さん(住空間プロデューサー)
うえはら・まきこ/(有)ムーブプランニング専務取締役。住空間プロデューサー。インテリアコーディネーター、二級建築士、アートライフスタイリスト、ライティングコーディネーターの資格を持ち、トータルで空間をプロデュースする。
◆上原牧子 オフィシャルWEBサイト
http://move-makiko.com
◆(有)ムーブプランニング
098-860-3202
http://move‐planning.com
暮らしを楽しむインテリア
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1679号・2018年3月9日紙面から掲載