住まいに関するQ&A
2018年1月12日更新
アパート空室率・収益性に地域差|気になるコト調べます!㉛
(公社)県不動産鑑定士協会は2017年12月、県内の地価や不動産取引の景況感をまとめた「第7回不動産市場DIレポート」を公表した。県内全体で上昇傾向を示す中、本島中部ではアパートの空室率が高く、収益性も計画を下回る割合が高かった。
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第7回不動産市場DIレポート
県不動産鑑定士協会が景況感を調査
本島中部で空室多い
不動産市場DIレポートは毎年5月と11月、県不動産鑑定士協会が、県内不動産関連業者へのアンケートをもとに地価や不動産取引の動向を調べるため実施している。今回公表したのは2017年11月1日時点の結果。アンケート発送数1483通、有効回収数291通、回収率19.62%だった。
今回のトピックは、相続税対策など土地の有効活用を目的に建てられたアパートの「空室率」と「収益性」。県内全体の空室率は「5%以下」が48.9%と比較的安定した状態を示した=グラフ1。地域別にみると、「5%以下」が那覇市小禄地区で64.3%、離島部で83.3%となった一方、本島中部は「10%以上」が22.6%で、地域差が見られた。
収益性では、県内全体で「計画通りに収益を得られている」という回答が51.9%だったが、稼働率が低かったり賃料を下げることなどによる「計画以下」の割合が37.2%という結果=グラフ2。特に本島中部では「計画以下」が54%を占めた。
本島中部について、アンケートでは「供給過剰」「新築・築浅物件が多く、利回りを優先して家賃設定が高めのケースが目立つ」「需要がマンションに移行している」といった意見があった。同協会の村山哲志業務委員長は「区画整理で地価の上がった土地における税金対策としてのアパート建築が、供給過剰や賃料設定の計画に影響しているのではないか」と分析した。
県内地価 7期連続で上昇傾向
調査時点の過去半年間の実感と今後半年間の予測について、「上昇」か「下降」かの回答を指数(DI)化=右下囲み=した調査では、住宅地の地価動向で県内全体の実感値がプラス61.0となった=グラフ3。7期連続で、地価上昇を実感している回答者が多かった。地域別では、小禄地区と那覇市周辺部において一服感が見られた。予測値は県内全体がプラス38.5で、今後半年は上昇感が継続しつつも和らぐと予測された。
県内全体の取引件数の実感値は、宅地12.2、マンション9.8、戸建住宅13.8で、いずれもプラス=上表。共同住宅の賃料と稼働率の実感値も、それぞれプラスの10.7と5.4。予測値も住宅に関するものは軒並みプラスだった。
そのほか詳細は同協会のホームページ(http://www.fudousan-kanteishi.okinawa)で確認できる。
「DI」は、不動産動向が「上昇」「やや上昇」という回答と、「下落」「やや下落」という回答の割合を基に指数化した値。例えば、地価動向のDIがゼロ以上であるほど、地価動向について前向き(上昇傾向)に考えている回答者が多いといえる。
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編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1671号・2018年1月12日紙面から掲載
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「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。