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2025年12月19日更新

在宅介護での入浴介助、負担や不安を軽くするには? 入浴・リハビリに特化した事業者が提案|介護を支える 住まいの工夫(52)

多くの人が負担や不安を感じている在宅介護中の「入浴介助」。沖縄県西原町で入浴とリハビリに特化したデイサービスを運営する渡久地一太郎さんに入浴の重要性と安全な介助のポイントについて話を聞いた。

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心と体の健康を保つ「入浴」
事前の相談と福祉用具活用を


入浴を諦めないで

「浴室での転倒が怖い」「お風呂に1人で入るのが不安」「裸を見られたくない」など、在宅介護をする多くの家庭が入浴に関する悩みを抱えている。中には「入浴そのものを諦めてしまっている」ケースも少なくない。渡久地さんは「入浴ができない状況が続くと、深刻な健康問題を引き起こしかねない」と注意を促す。

「床ずれや傷があると不潔な状態が感染症の原因になる。特に女性は尿路感染症を起こしやすく、発熱から敗血症に至る危険性もある」と指摘。入浴はこうした病気を予防するだけでなく、リラックス効果など生活の質も向上させる。

まずは「福祉用具を活用し、本人の“できる”を引き出すこと。福祉用具は進化し続けており、本人が持つ能力を最大限に生かす強力なサポーターになる」と話す=下記参照。

これらの福祉用具は介護保険の「特定福祉用具購入」対象で、年間10万円を上限に、費用の1割(所得に応じて2~3割)負担で購入できる。ただし、購入後の申請は認められないため、必ず事前にケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談することが必要だ。

次に「デイサービスの活用で環境を変えること」も選択肢の一つ。渡久地さんの施設でも実際に、長期間入浴していなかった高齢者に対し、無理強いせず、足を洗ったりタオルなどで体を拭いたりすることから始め、少しずつアプローチしていき、「今では入浴タイムを楽しみにしていて、表情も明るくなった」と喜ぶ。また、「みんなが入っているからという環境も本人の入浴拒否を解消するきっかけになっている」と言う。施設には、ストレッチャーやリフトもあり、寝たきりの人も入浴できる。


悩みを発信する力を

在宅介護は、病気やけがによる入院からの退院を機に始まることが多い。退院後の自宅は、段差や狭い浴室など、病院とは環境が異なる。そのため、「入院中から病院のソーシャルワーカーやケアマネジャーと連携し、理学療法士などから本人と住宅環境に合った介助方法や必要な福祉用具についてアドバイスを受けることが重要」と渡久地さん。「介助法に限らず、経済的なことや家族の関係性など、介護に悩みはつきもの。それは決して恥ずかしいことではなく、1人や家族で抱えこむものではない」とし、「困っている、と声に出して発信すれば、ケアマネジャーや地域包括支援センターの専門家がより的確なサポートを提案でき、知らなかった選択肢が見つかることもあります。まずは、身近な窓口に相談して」と呼びかける。


 進化する入浴用の福祉用具 「できる」を引き出す 

折り畳めるシャワーチェア

折り畳み式で軽く、要介護者が片手でも作業しやすい。軽くても足元はしっかりと安定するので安心感がある。介護保険の特定福祉用具購入対象。

入浴用車いす

立ち上がりが難しい人の場合、部屋で着替え、車いすに乗ったまま浴室に移動できる。座ったままで陰部を洗いやすい座面形状になっているので、自分で「できる」ことが自己効力感や安心感にもつながる。介護保険の特定福祉用具購入対象。移動の際はバスタオルなどで体を覆うなど配慮することも忘れずに。

「他にも、狭い浴室で便利な回転式、立ち上がりを助ける肘掛け付きなど、利用者の状態や住環境に合わせて驚くほど多様化しています」と渡久地さん。

手すりや浴槽台

手すりと浴槽をまたぐ動作を助ける浴槽台を組み合わせることで、転倒リスクを大幅に削減できる。手すりは、賃貸物件でも設置可能な浴槽の縁に固定するタイプもある。浴槽台は、浴槽の中にも入れて使うことができる。介護保険の特定福祉用具購入対象。

浴槽用リフト

浴槽用リフトはボタン操作で座面をゆっくりと上下させることができ、浴槽への出入りを安心して楽に行うことができる。介護保険でレンタル可能。「沖縄はシャワー浴が多い」と言われるが、「最近はお湯に浸かる習慣がある人が増えている」と渡久地さん。入浴は体が温まり、血行促進やリラックス効果も高まる。




とぐち・いちたろう/(同)ひとえ代表ケアマネジャー。介護事業を広く展開している。ことし、西原に半日型デイサービス「湯~らっくす ひとえ」を開設
取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2085号・2025年12月19日紙面から掲載

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