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2021年7月16日更新

換気で快適な空間づくりを|介護を支える 住まいの工夫 ④

介護が必要な人も、介護をする人も、安心して安全に暮らせる住まいの整え方を紹介するコーナー。今回は作業療法士の金城知子さんが「換気」についてアドバイスします。

介護を支える住まいの工夫

換気快適な空間づくりを


コロナも熱中症も対策

長かった梅雨が明け、本格的な夏が到来した沖縄。この時季はコロナ対策を続けながら、熱中症の予防にも気を付けたい。

高齢者などが屋内で熱中症になる事例はこれまでも多く起きている。作業療法士で「おもと会から介護を変えていくプロジェクト」リーダーの金城知子さんは、「冷房を使いたがらない高齢者は多い。その上、コロナ禍で密を避けようと、危険な暑さでも窓を開放するだけの対策を取る人がいる」と指摘。「高齢者や介護が必要な人がいる家庭では、冷房を活用して室内を快適な温度に調節しながら、換気をすることが大事」と話す。

厚生労働省は、人体から発生されることで室内に充満する二酸化炭素濃度は1000ppm以下であることが望ましいとしている。コロナ禍で「換気」についての関心が高まる中、換気のタイミングを可視化する「CO2モニター」=写真=に注目が集まっている。

「CO2モニター」は、閉鎖空間における二酸化炭素(CO2)濃度を測定できるセンサー機器。県内では福祉施設をはじめ飲食店や企業などでの導入が先行しているが、県内ホームセンターでも購入でき、一般家庭にも徐々に広がってきているという。「自宅や職場でも使え、換気のタイミングが個人の感覚に頼らず、客観的に測れるので環境管理に役立つ。また、空間の状態が一目で分かりやすく安心感につながる」と金城さん。また、さまざまな感染症は、空気中に浮遊する小さな病原体を口や鼻から吸い込んで感染するため、「在宅介護の環境づくりで十分な換気をすることは1年を通して大切なことの一つ」と話す。

エアコン使用中もこまめに換気をしよう



管理し日常を取り戻す
長引くコロナ禍で、高齢者の食欲低下、会話の減少、元気がなくなっていくなどの様子を見受けることが多いという金城さん。「密を避けた生活を続けてきたことで、触れ合いがなくなり、孤独感を抱いたり、生きる張り合いまで失ってしまう場合がある」と危惧する。

金城さんは「ワクチン接種やリモート面会の推進、CO2モニターなどプラスワンの道具を活用しながら、管理をすることで、失った日常にも取り戻せる部分がある」と語る。感染防止に慎重になるあまり、必要な訪問介護サービスに不安を抱く声が届くこともあるが、「適切な室温調整と換気、手洗いやマスクなど感染対策をしっかり行って、双方が安心できる環境を整え、身体の機能維持や心の健康につなげてほしい」と話す。


室内のCO2濃度を可視化

閉鎖空間における機器周辺の二酸化炭素(CO2)濃度を測定できるCO2モニター。さまざまな種類があるが、一般的にはディスプレーにCO2濃度がリアルタイムで表示され、濃度が高くなるとアラートなどで換気を促す。
 おもと会では、施設の一部でCO2モニターを活用。持ち運びができるタイプなので、介護サービス担当者会議や施設内での勉強会、研修会にも活用している。(おもと会提供)


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Hさんの悩み
病気の後遺症で車いす生活の義母を在宅介護。訪問リハビリの介護サービスを週3回受けています。訪問リハビリの日は、朝から準備に積極的だったり、表情も明るく、気持ちが前向きになったり、生活の張り合いになっていると思います。本人も家族もコロナに感染しないよう、対策をしっかり頑張っていますが、長引くコロナ禍に疲れ気味。これからの猛暑を考えると、冷房は必要だと思いますが、義母にも訪問してくださる職員の方々にも安心して過ごしてくれるようにどうすればいいか不安に感じることがあります。

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きんじょう・ともこ/社会福祉法人おもと会本部おもと会から介護を変えていくプロジェクトリーダー、作業療法士


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1854号・2021年7月15日紙面から掲載

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