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2019年10月25日更新

青の濃淡で自然模す 沖縄らしさ感じる内装|HOTELに習う空間づくり[6]

当連載では県内のホテルを例に、上質で心地良い空間をつくるヒントを紹介する。

ロワジールホテル 那覇(那覇市)
客室コンセプト「海・水・花・風」


(写真1)最上階にある「ロワジールコーナーキング」。青を基調とした内装が印象的。窓の外には那覇港の景色が広がる

海や空イメージした客室
青と白という、爽やかなマリンコーディネートなのに深みも感じる。ロワジールホテル 那覇で最も格の高い「ロワジールコーナーキング」のインテリアコーディネートだ=上写真1。凪(な)いだ水面のような壁紙に、白波やサンゴがあしらわれたカーペット。真っ白なシーツの上には海のグラデーションを表したようなエメラルドブルーや濃紺のアイテムが置かれている。深み、温かみも感じさせるのは、濃淡さまざまな青色や、そこに描かれたゆらぎ模様が海・空など〝自然〟をイメージさせるからだろう。

同ホテルのレベニュー&マーケティング部の係長・小板佳裕さんは「客室は『海・水・花・風』をコンセプトに2015年にリニューアルしたほか、16年には新客室を増室しました」と説明する。

同ホテルは那覇港を望むロケーションだが、ビーチリゾートの雰囲気も内装で演出する。「客室だけでなく、ホテル全体で南国のリゾート感を演出し『今、沖縄にいること』を実感していただけるしつらえにしています」

思い切った面積を青色に割いているほか、沖縄の工芸品も積極的に使っている。例えば、客室「デラックスツイン」=下2=のヘッドボードには紅型や琉球絣(かすり)のモチーフが飾られている。青を基調にしつつ、随所の黄色が鮮やか。カーペットは東シナ海をイメージしたターコイズブルーだ。

ヘッドボード上部に飾られているアートは、海や古民家など沖縄らしい風景。あえてモノトーンなのが洗練された印象を醸す。


2.紅型や絣のモチーフが印象的な「デラックスツイン」。この部屋も随所に「青」が配されており海をイメージさせる。その中に飾られているモノクロのアートも目を引く (下写真)各客室に置かれているインフォメーションブックも、ヘッドボードのモチーフと同じ柄で作られており、沖縄らしさを強調する





.角部屋で、海に面した2面に大きな開口部が設けられている「パノラミックコーナーキング」。奥には床が約60センチほど下がったサンルームがある。大きな窓と高低差のおかげで床面積以上の広さを感じる


都会的な景色も楽しんで
次に案内してもらったのは「パノラミックコーナーキング」=上3。海に面した2面に大きな窓が設けられている。ベッドルームの隣には、床高が約60センチほど下がった「サンルーム」があり、この高低差でベッドからは見下ろすように海が見え、景色をよりダイナミックに感じることができる。

この部屋も、青を基調とした内装で、外の景色と融合している。照明には琉球ガラスのペンダントライト、枕には琉球絣が用いられ、沖縄の伝統工芸品が客室のアクセントになっている=下4。



.パノラミックコーナーキングの洗面台。青い琉球ガラスが彩りを添える

白い流木があしらわれたスタンドライトもビーチリゾートの雰囲気を演出する=下5。室内は、「沖縄らしさや自然を感じさせる」ことを大事にしつつ、都会的なベイビューの景色も楽しんでほしいと言う。「昼は船や飛行機が行き交い、夜景も幻想的。動きがあり、移ろいゆく景色はずっと見ていても飽きません。この大きな窓から、それも味わっていただきたい」

〝自然〟を感じる演出は、1階のバンケットルームにも見られる。客室と合わせてリノベーションする前は窓が無い宴会場だった。今でも窓は無いものの、天窓を模した自然光のような照明と景色が描かれたピクチャーウインドーを用いることで、圧迫感を払拭(ふっしょく)した=下6。

同ホテルは那覇市内でも有数のリゾートホテル。都心にあるにも関わらずリゾートを感じられるのは、随所の演出の賜物(たまもの)だった。


.客室には流木をあしらったスタンドライトが置かれており、青い内装と相まってビーチリゾートのような雰囲気を醸す



.1階のバンケットルームに窓は無いが、天窓を模した照明と景色が描かれたピクチャーウインドーのおかげで圧迫感は感じない
 

取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1764号・2019年10月25日紙面から掲載

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東江菜穂

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週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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