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2019年8月30日更新

輪作・混植で元気に成長|ハルサー×野菜ソムリエ[2]

文・奥間美佐江
夏野菜と秋冬野菜の端境期。野菜を育てるところから食べるところまで楽しむ野菜ソムリエの奥間美佐江さんは、種選びを楽しむ一方、病害虫対策にも工夫を凝らす。ポイントは「輪作」と「混植」。台風対策の方法も紹介する。


ナスの葉の裏にアブラムシが付いていないか確認する奥間さん

種の準備と病害虫対策
まだまだ暑い日が続いていますが、畑ではカラシナやアマランサス(ヒユ科)がこぼれ種からいつの間にか成長して、季節の変化が感じられます。

沖縄では9月から5月までの間が野菜を育てやすい季節。立秋を過ぎた頃から種苗店やインターネットで、種の入った袋の裏に記載されている野菜の特徴や育て方、発芽率などを確認しながらの種選びが始まります。

ですが、レタスの仲間だけでもサニーレタス、サラダ菜、エンダイブ、チコリと品種が多く、何を植えようかワクワクしてつい買い過ぎ、植える場所に困る事も。

育苗ポットへの種まき、植え付け、間引きなどで忙しくなりますが、苗が成長してどんどんにぎやかになり、畑を散策するのも楽しくなります。

これからまく種。袋の裏面に野菜の特性、栽培方法、種まきから収穫までの期間、発芽率などが記載されている。収穫するまで袋を保管して栽培の参考にする

作付け記録を付ける
野菜を育てる時に虫がついたり、病気になると、成長が阻害されてしまうので、できるだけ病害虫を少なくするために気をつけている事があります。豆↓根菜↓果菜↓葉菜というように違う品目を植える「輪作」と、相性の良い野菜やハーブを一緒に植える「混植」です。

輪作をせずに毎年同じ場所に同じ野菜を育てると、成長に必要な土の中の栄養分(窒素、リン酸、カリウム)が偏ったり、ミネラル不足になり、元気に育ちにくくなります。例えばサトイモは5年、ダイコンは3年くらいの期間をあけて作付けするのが良いと言われています。

またジャガイモの後に同じナス科のトマト、ピーマン、トウガラシを植えるとミネラル不足で病気しやすくなります。いつ・どこに・何を植えたのかを記録し、次に植える野菜を決めています。

混植は、病原菌を抑えたり虫を寄せつけないなど、互いに助け合う植物を一緒に植える事=下写真。コンパニオンプランツとも言います。代表的な組み合わせに、ニラ+トマト、キュウリ+長ネギ、ナス+パセリ、ニンジン+エダマメなどがあります。


レタスとカーボロネロ(黒キャベツ)の混植。モンシロチョウがキク科のレタスを嫌い、大好きなアブラナ科のキャベツなどに近づきにくくなると言われている

そのほか、アブラムシや小さな葉ダニは防虫ネットをすり抜けてしまうので、葉を一枚ずつめくって取り除きますが、大量発生すると防除が困難に。そのため日当たりの良い場所に植え、枯れた葉はすぐに取り除き、風通しを良くすることで発生を抑えています。



育てるポイントとおすすめレシピ
ツルムラサキ
カルシウム、鉄分、βカロテンを含む緑黄色野菜。皮膚や粘膜の保護に役立ちます。とても育てやすい熱帯アジア原産の野菜で、一年中収穫できます。種まきは3月以降で、高温多湿の時期には4日ほどで発芽し、挿し木で増やすことも可能。繁殖力は強いですが、夏場は乾燥しないように水をたっぷりと与えます。


地面に這(は)わせて育てると、ツルが絡み合ってわき芽が少なくなるので、30センチほど伸びたら支柱を立て、ネットに誘引して育てる。泥もつかないので、洗う手間も減る


ツルムラサキのキムチ炒め。さっとゆでた後にキムチと炒めるだけ


カワラヨモギ(ハママーチ)
日本、中国、フィリピンなどに分布しているキク科の多年草で、挿し木で増やすことができます。半日陰で栽培することができ、草丈は1㍍ほどになります。松葉のような形状をしていますがキク科で、加熱するとヨモギの香りがします。スコパロンという成分を含み、若い茎葉が利尿・利胆の生薬に用いられます。


直射日光の当たる場所で育てると、硬く短く香りの強い葉になる。食べやすく柔らかな葉に育てるため、半日陰に植えている



カワラヨモギのかき揚げ。独特の香りとほろ苦さはビールとの相性が良い。生の若葉を刻んでドレッシングやしゃぶしゃぶのタレに加え、香味にしてもおいしい

台風対策
いろいろと工夫をしてせっかく育てた野菜も、台風が通過すると大きな被害が出てしまうので、できるだけ防風対策をします。

ツル性の野菜は棚に張ったネットを緩めて地面に降ろし、台風後に棚にかけ直します=下。また、塩害で葉が枯れないように草木の表面についた塩分を真水で洗います。

ですが、大きな台風では諦めて植え直すしかありません。育苗ポットやトレーの幼苗はしっかりと守っておき、すぐに植えられるように準備しています。


                     

ツル性のものはネットを緩めて地這(ば)いにしておき、風が収まったらネットを張り直す。敷き草などで泥はねも防いでおく



ナス、パパイア、トマトなどはネットで二重に覆い、葉が傷つかないようにする


ローゼルは強く揺さぶられると枯れてしまうので、株元にしっかりと土寄せする。元肥を控えめにして樹勢を抑え、蕾(つぼみ)がつき始めたら鶏糞を追肥する


この時季の手入れ(種まきのポイントなど)
種は発芽する時に光を必要とする好光性と、反対に光を遮るため厚めに覆土をする嫌光性があります=下。それぞれの野菜の特性や育て方については袋の記載を確認したり、本やインターネットでも調べています。どの野菜も種まき後は毎日水をかけて乾燥しないように管理し、発芽率を高めます。
  • 好光性種子(覆土を薄く)
    キャベツ、ニンジン、ミズナ、コマツナ、シュンギク、レタス、ハクサイなど
  • 嫌光性種子(覆土を厚く)
    サヤエンドウ、ソラマメ、ダイズ、トウモロコシ、カボチャなど
 ニンジンの種まき 

浸水と水切りを半日ずつ、3日ほど繰り返して芽出しをしてから種まきをすると、発芽がそろいやすい。写真は水に浸している状態。種まきの際は、種がぬれているとくっついて扱いにくいので、砂や草木灰と混ぜてすじまきし、乾燥しないように管理する

 レタス類の種まき 

3時間ほど浸水した後に種まき用の土に2~3粒ずつまく。種が細かいので、水かけの時に流れてしまわないように気を付ける

 種ジャガイモ 

数種類のジャガイモを植えて味比べをするのも家庭菜園の楽しみのひとつ。種イモを購入したら分割する前に風通しのよい半日陰に広げ、芽出しをしてから植える

 ニンニクの植え付け 

葉ニンニクとして収穫する時は9月下旬に植えて1月に収穫。球ニンニクは大きめのりん片を11月に植えて3~4月に収穫する。土の表面が固まらないように敷き草や中耕(株と株の間を耕す)をすると根が長く伸びてよく育つ

 ナスの枝をつるす 

枝が下がらないように、ひもでつるす。元気がなくなった枝は剪定(せんてい)して新しい枝が再生するのを待つ。肥料切れと乾燥に気をつけて管理すれば長期間収穫が可能


 


おくま・みさえ/野菜ソムリエプロ、沖縄野菜プロジェクト協同組合理事


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1756号・2019年8月30日紙面から掲載

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