防災
2019年3月1日更新
知恵を備える① 身近なモノが変身 工夫凝らして使う
2011年3月11日に東北地方を襲った東日本大震災からやがて8年。防災グッズを備える人が増えてきたが、同時に備えておきたいのが災害を乗り切るための「知恵」。缶詰や湧き水など身近なものの活用法や、少量の水で洗濯する方法など災害時における工夫を紹介する。
身近なモノが変身 工夫凝らして使う
知恵を備える①地域住民の防災意識を高めるため、防災訓練や避難所運営などのワークショップ活動を行う長堂政美さん(69)。今回は沖縄市で地域の防災リーダー育成に奮闘する「ちむわざの会」のメンバーの協力も得て、段ボールやレジ袋など身の回りにある物を使って、避難時や避難所生活で役立つ生活用品の作り方を教わった。
▲NPO防災サポート沖縄代表・長堂政美さん
身近な物を工夫して使う“ひらめき”のきっかけに。自助・共助に役立ててほしい
「防災は奥が深く専門的なことも多いけど、誰でもできることもある。防災、災害時に役立つ知恵を知ってほしい」と話す長堂さん。災害時は、水や電気などのライフラインが断たれ、限られた物資の中で生活しなければならないこともある。
そこで大切なのが「工夫次第で身の回りにある物が生活用品に代用できることを知る」ことだという。例えば、ラップが包帯に、水が使えなくても大きめのレジ袋をトイレにはめれば用が足せるなど、身の回りにある物で代替できる。500ミリリットルペットボトルを4~5本連ねて洋服の中に入れ、キャップを服の上から締めてひもなどで縛った浮具を作り、海水浴で試してみるなど、実際に体験することで覚えや気付きにつながるという。
「一つ知っておくと、そのほかの物を工夫して使うひらめきのきっかけになる。知っておくことは、自分を助けるためでもあり、誰かを助ける手立てにもなる」と長堂さんは話す。
ひとりひとりが知恵を備えるのに加え、「地域の防災リーダーの育成も不可欠」。そうしたリーダー育成につなげようと「ちむわざの会」は、会員2人が防災士試験を受けるため3月に大阪へ行く。個々人の知恵とリーダーの指揮が、スムーズな避難につながるだろう。
毛布+木棒で簡易担架
担架でけが人を運ぶときは、頭部を保護するため足を進行方向に向ける。乗せる時は頭を布部にしっかり乗せ、膝から先は布部から下ろす。木棒など支柱の強度が十分でない場合は、中央部にも配員し、6人で運ぶ
1毛布の長辺を4:6に割る位置に木棒を1本置く
2短い方を折り曲げ、人幅ほど開いて木棒を置く
3木棒を隠すように毛布を1枚ずつ折り曲げる
4木棒を包むように折ることで、人を乗せた時に布団がずれ落ちにくくなるのだそう
レジ袋+ハンカチで簡易おむつ
1コンビニでもらうレジ袋(小)が表裏で開くように、袋の脇の谷になった(マチ)部分と手提げ部分の継ぎ目を切る
2赤ちゃんにハンカチまたはタオルをあて、お尻から前に包むように、レジ袋をかぶせる
3赤ちゃんの脇腹のあたりで前後の手提げ部分を結ぶ。脚の付け根あたりに隙間ができないようにすると、汚物がもれるのを防げる。赤ちゃんの体に対してレジ袋が大きい場合は、レジ袋を内側に折り込むようにしてサイズを調整する
キッチンペーパー+輪ゴムで簡易マスク
1キッチンペーパー1枚を蛇腹に折り曲げる。子ども用は蛇腹に折った後、両端を折り曲げて顔に合うサイズに調整する
2耳に掛ける部分を輪ゴムで作る。子ども用は輪ゴム一つ、大人用は二つをつなげる。キッチンペーパーの端に輪ゴムを添えてホチキスで2カ所留める
3輪ゴムを耳に掛けてから、蛇腹を開いて鼻から顎までを覆う
段ボール箱で簡易トイレ
▲便器の四隅を補強
1段ボール箱のふたを内側に折り曲げて便器にする。角の補強のため、段ボールの切れ端を箱の角の上から当てて内側に折り=上写真、角に沿って印を付ける=下写真
2印の対角線(赤破線)に沿ってはさみで切り落とす。これを型にして同じものを三つ作り、印を谷折りにして1の段ボール箱の角に当て、四隅に貼り付ける
▲便器の長辺を補強
3さらに段ボールの切れ端を三角の筒状にして箱の長辺中央に貼る
▲便座
4段ボール板を上に乗せ、3の三角の筒の角が隠れる幅で穴を開ける
▲便座の縁
5新聞紙を縦長に丸め、コの字型に折り=上写真=、二つ貼り合わせる
▲ごみ袋で便器を保護
6便座の縁の穴からごみ袋を入れ、口を便座の縁に丸め込む
7吸水シートの代わりに、ごみ袋の中に四つ折りの新聞紙を敷き、ちぎった新聞紙を適量入れておく
知恵を備える②
知恵を備える③
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1730号・2019年3月1日紙面から掲載