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防災

2018年8月31日更新

[9月1日は防災の日]建築で工夫する

災害が起こったとき、命を守るのはもちろんだが、財産であり、その後の生活の場となる住まいへの被害も軽減したい。台風と地震に対する、さまざまな設計上の工夫の例を紹介する。

策をこらし住まい守る

台風
開口部の守りが要
雨戸設け二次被害防ぐ

沖縄で暮らす上で最も身近な災害とも言える台風。県建築士会の元調査研究委員長で、冊子「わが家の台風対策」の監修に関わった大城通さんは、「台風から住まいを守るには、開口部の守りが要」と強調する。

実際、台風による被害は、窓やドアなどの開口部で多く発生している=下棒グラフ。「ガラスなどを使う開口部は、外壁に比べてどうしても強度が低く被害を受けやすい。そこが破壊されると、家の中に雨風が吹き込み、甚大な二次被害にもつながる」。

対策としては、主流になっている剥き出し状態のガラスを使った開口部に、雨戸や防風スクリーンなどの設置を挙げる。飛散防止フィルム=下に例=を貼っておくのも有効だという。

設計段階から風の入り口と出口を設けておくことも大事。「万が一、開口部が破損した場合、反対側の開口部を開けることで被害を最小限に抑えられる。木造などの場合、吹き込んだ風で屋根が飛ばされる心配もなくなる」。

室外機は軒下を避ける
屋根瓦は飛ばされると凶器になることも。そのため「瓦をビスやしっくいで固定する。下から吹き上げる風に耐えるため、軒の先端部だけでもしっかり固定しておきたい」。

エアコンの室外機は倒れたり破損して使えなくなるほか、外装パネルが飛ばされることがある。「金具で固定」「風の影響が少ない場所に設置」して対策するのに加え、大城さんは「軒のない場所への設置」を提案する。軒下だと、台風時は塩分を含んだ雨風が吹き付けるが、普段の雨では濡れないので塩分が洗い流されず、金属の外装パネルはサビが発生しやすくなるためだ。

大城さんは「軒下に設置する場合、台風後に洗い流すなどの手入れが肝心。ほかの部分も含め、日頃から劣化状況の確認もしておこう」と呼び掛けた。

◆主要箇所の台風被害発生状況(大同火災調べ)

※2011年台風2号・9号、2012年台風17号の被害より

◆窓・ドアなどのガラスを保護
雨戸や防風スクリーン、ネット、シャッターで窓ガラスなどを守り、飛来物や風圧によって破壊されるのを防ぐ。飛散防止フィルムやあわせガラスも有効。飛散したガラスでのケガや、室内への被害など、二次災害を防ぐことにつながる。防犯にも役立つ。

▼雨戸


▼防風スクリーン

取り付け例。写真はいずれも「わが家の台風対策」(監修:県建築士会、発行:大同火災海上保険)より

◆屋根瓦の飛散を防ぐ
屋根瓦を1枚1枚ビス止めしたり=下写真、しっくいで固定する。軒の先端部だけしっかり固定しておいても、吹き上げる風への耐力は増す。


◆室外機を破損から守る
転倒や強風による破損を防ぐため、金具やワイヤーで固定したり、強風が直接当たらない場所に設置する。普段から雨に濡れやすい場所に設置することで、台風時に付着する塩分を洗い流せる。


転倒防止のため金具で固定した例



軒がなく、強風も直接当たらない場所に設置した例

「わが家の台風対策」は県建築士会のホームページ(shikai.or.jp)から確認できる

地震
躯体へのダメージ 耐力壁で分散
基準より高い数値で計算

地震は建物の躯体そのものにダメージを与える。そのため被害の大きさによっては、倒壊する危険性も出てくる。日本建築構造技術者協会九州支部沖縄地区会の小波津和也代表幹事は「沖縄は建物の耐震基準が全国で最も低く設定されている」と話す。

これは、地震の発生率などを基にして国が定めた「地域係数」によるもの。一般的な頻度で地震が発生する地域の係数が1.0なのに対し、沖縄は0.7となっている。つまり、地震に対する強度を計算する際に、1.0の地域よりも3割低い数値で耐震基準をクリアできることになる。

国の基準はあくまでも最低基準であるため、より大きな災害を想定して備える方法として、小波津さんは「より強度を高めるにはまず、地域係数の数値を上げて構造計算すること」を挙げる。ただし、数値を上げる分、必要な鉄筋の数が増えるなどしてコストが上がることも知っておきたい。


◆構造計算の際、地震地域係数よりも高めに数値を設定
地震に対する強度を計算する際、「地震地域係数」の分だけクリアすべき基準が割り引かれ、法律上必要な耐震強度が低減される。地震の発生率などを基にしているが、沖縄は歴史的な背景もあり、全国に比べて低く設定されている。この数値を高めに設定して計算しクリアすることで、より高い強度となる。




地震に強い壁式構造
沖縄に多い鉄筋コンクリート造の場合、「線で支えるラーメン構造よりも、面で支える壁式構造の方が地震の力を分散させやすい」と小波津さん。

壁式では、建物を支えるための耐力壁をバランスよく配置することもポイントとなる。トイレや浴室に壁が集中し、大きな開口部などでは少なくなりやすいためだ。そうなると、地震が起きた際に開口部が崩れて、水回りだけが残ることになる。「耐力壁を満遍なく配置することで、建物全体の強度が上がる」=下イメージ図。

そのほか、2階建て以上の場合は、各階の耐力壁の位置をそろえ、より大きな面として地震の力を分散させるなど、「施主の要望に沿ったデザインと必要な耐震強度の両立が図れるよう工夫を重ねている」という。


◆耐力壁をバランス良く配置する
壁式構造の場合、耐力壁で建物を支える。耐力壁の量は同じでも1カ所に集中するより、バランス良く配置することで建物の強度を全体的に上げられる。ただし、壁式構造はラーメン構造に比べて地震に強い一方、壁を多くとる必要があるため、デザインや開口部の大きさなどが制限されやすい。


1階に耐力壁を多く設け、バランス良く配置した例。赤線が耐力壁、青線が開口部を表す




1階に耐力壁が少なく、配置バランスもよくない例。右側に壁が集中している一方、左側は開口部が多く強度が低い



商品紹介
フィルムで台風対策 適切な施工で十分に効果発揮

台風の際は、強風で飛ばされたものが当たり、窓ガラスが割れて飛び散ってしまう被害が多い。その対策として有効なのが、「飛散防止フィルム」だ。

(有)クリーン企画代表取締役の又吉茂さんは、「ガラスは透明で光を取り入れる身近な建材ですが、割れるのが欠点。飛散防止フィルムは、ガラスの透明感を損なうことなく、割れても飛び散ることがありません」とその性能を話す。フィルムは室内側から貼るので、室内、床にガラス破片が飛び散らず、素足で歩いても安全。台風時だけでなく、地震などの災害時の対策にも有効で、避難路の安全を確保する。また、雨戸の取り付けができない場所にも有効だという。飛散防止に加え、UVカット、遮熱、断熱など省エネ効果を兼ね備えるフィルムも。

飛散防止フィルムが貼られたガラス。割れてもフィルムが保護するので素手で触れてもけがしにくい

同社は、県内でも数少ないというガラスフィルム一級技能士が施工する=下写真。「ガラスは熱で割れることもある。ガラスそのものの特性を理解し、それに合ったフィルムを選ぶことができるのも、技術のひとつ。技能士が施工することで、フィルムが持つ効果を十分に発揮させることができます」と又吉さんは話す。

同社では、飛散防止フィルムのほかにも、超飛散防止、防犯対策、目隠しフィルムの施工を行っている。問い合わせは、098-945-0233まで。


ライター/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1704号・2018年8月31日紙面から掲載

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