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2018年6月22日更新

応援!おきなわ技能五輪・アビリンピック2018|配管[2]

11月に沖縄で初開催される「おきなわ技能五輪・アビリンピック2018」。管材料に切断・曲げ・接合などの加工をして配管設備を組み立てる「配管」競技で、3度目の技能五輪出場が決まった屋宜宣好さん(19)は「楽しみながら金メダルを狙う」と意気込む。サポートする会社の下地光吉専務取締役(60)は「自由に水を使うのに、配管は不可欠な仕事。社を挙げて応援する」と話す。

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管組み立て水スムーズに
屋宜宣好さん(19)/三栄工業

技能五輪挑戦の意気込み
たくさんの応援に応えるためにも、狙うは金、最低でも銅! めったにないチャンスを楽しみます。

-屋宜さんに聞きました
■配管を始めたきっかけは?

高校の実習で。それまでは配管と聞いても「水が流れるんだろうなぁ」程度しか分かりませんでした。でも、手を動かして作業するのが好きでしたし、1本の管をカットながら寸法通りに組むなど難しい課題をクリアするのが楽しくて、のめり込んでいきました。技能五輪に出た先輩の作品が学校に飾られていたのも、「自分にもできるかも」という刺激になりました。

■仕事のやりがいは?
普段は設備工事の監理や図面の手直しなどをしていますが、配管は生活に直結する大切な部分。排水の勾配が少し違うだけで、流れなかったり、逆流する恐れもあります。建物が完成したときに、水が漏れることなくスムーズに流れるとホッとするし、やりがいも感じます。

■技能五輪に向けて意気込みを
もちろん狙うのは金、最低でも銅メダルですね。2年前に初めて出場したときには敢闘賞、昨年は銅メダルでした。なので3度目の出場となる今回はさらに上位を目指し、仕事面や資金面でバックアップしてくれる会社、練習場所を提供してくれる人たちなど、たくさんの応援に応えたいです。

そのためにも、徹底的に練習します。自分で練習メニューを考えたり、職人さんに技術を教えてもらうこともあります。効率よく作業を進めるために、1分ほどで設計図を把握し記憶するなど細かい工夫も欠かせません。

溶接時や銅管を曲げるときなどに火を使うので、安全に気をつけながら、めったにないチャンスを楽しもうと思います。

■どんな技能士になりたい?
技術については職人にはまだまだかなわない。でも、監理という仕事柄、職人に指示する際に配管作業の知識は必要ですし、苦労も分かっておかなければなりません。例えば、管と管をつなぐ継ぎ手を少なくすれば、職人の手間や時間を減らせて、コストカットにもつながります。職人の仕事を楽にする方法を考えるためにも、自分の技術を磨いていきたい。



「当たり前」支える裏方
下地光吉さん(60)/三栄工業

応援する会社の専務から
金メダルを目指すため、社を挙げてサポートします。技術者としてさらに大きくなることも期待!


-下地さんに聞きました
■配管業界の現状

建設ラッシュで物件が多過ぎるため、職人が全然足りていません。わが社の場合、マンションや空港などさまざまな建物の配管工事を手掛けていますが、近年特に増えているのがホテル。全国的に見ても沖縄はバブル状態だと言えるでしょう。

さらに建設業全般で言えることですが、若手が育たず、職人が高齢化しているのも要因の一つ。かつての鉄製パイプが今は軽い塩化ビニール製になるなど作業しやすくなっているものの、ものづくりに興味を持つ若者が減っている印象です。

■仕事の面白さ・厳しさ
建物の隅々まで水を運ぶ配管は、人間の体で例えると、栄養や血液を運ぶ血管の役割。血管が詰まると病気になるように、配管が詰まると水が使えず生活ができなくなります。

しかし、表からは見えにくい部分ということもあり、その重要さを知らない人が多い。大きな建物であればあるほど配管も複雑になり、さまざまな技術も必要。水が使えるという「当たり前」の生活を支える裏方として、なくてはならない仕事です。

一方で、もしも水漏れが起こると、壁や天井がぬれてはがれてしまうため、壊さなければなりません。そうなると、時間もお金もかかってしまいます。

■技能五輪に出場する屋宜さんに、激励の一言を!
昨年は銅メダルだったので、今年はぜひ金メダルを取ってほしいですね。そのために、練習に集中できる時間や環境を整えたり、材料や道具をそろえたりと、熱心な社長を中心に社を挙げてサポートしていきます。

また、屋宜君は技能五輪に出てから、誰に対しても物おじしないなど、人間として大きくなったようにも感じます。技術を理解している分、現場に出ても飲み込みが早いですし、職人の大変さも分かっている様子。

今回は地元開催ということもあり、応援団を引き連れていく予定。屋宜君には、ロシアでの世界大会出場を目標にしながら、技術者としてまた一回り大きくなってもらえたらと思います。



大会マスコットキャラ 「ワジャサー」


「おきなわ技能五輪・アビリンピック2018」
ことし11月2日(金)~5日(月)に「おきなわ技能五輪・アビリンピック2018」が開かれる。

技能五輪とは、23歳以下の若手技能者が全国から集まり、技を競う大会。配管や造園、ウェブデザイン、洋菓子製造など42職種を予定。また、アビリンピックとは、全国障がい者技能競技大会で、15歳以上の障がいのある方が技能を競い合う。表計算や洋裁、機械CADなど22種目を予定。

いずれも年1回開催されており、沖縄での開催は初めて。競技は那覇市民体育館や沖縄コンベンションセンターなど各地で開かれ、無料で観覧できる。配管は沖縄市立総合運動場で開催予定。詳細は「おきなわ技能五輪・アビリンピック2018」のホームページ(http://www.okinawa2018.jp)でチェックできる。

 


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1694号・2018年6月22日紙面から掲載

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