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2017年4月7日更新

社会を造る 壮大な構想|ライトの有機的建築に学ぶ[12]

フランク・ロイド・ライトは1959年に91歳でこの世を去りました。その晩年にライトは建築のみにとどまらない、都市の在り方や社会の構造にまで踏み込んだ提言をしています。

都市の在り方提言 「THE LIVING CITY」(生きている都市)

社会を造る 壮大な構想


都市における新しい移動手段として家庭用ヘリコプターが描かれている

 

真の民主主義を目指し

幾度かの改訂を重ねて1958年に出版されたライトの著書「THE LIVING CITY」(生きている都市)には、各住戸が1エーカー(約4,000平方メートル)の敷地を持ち、ユーソニアン・ハウスに暮らす牧歌的な風景と、高層オフィスビルや家庭用ヘリコプターなどの先端技術が共存する未来社会図が描かれています。
そこでは農業を基盤に、中間業者が搾取する経済構造を排し、生産者と消費者が直接取引できる市場を計画して、真の民主主義社会の実現を目指していました。
著作の中でライトが「映画やコンサートなどはやがて家の中に居て楽しむものになるであろう」と、まるで現代の生活を予見したかのように述べていることには驚かされます。



ヘリコプターだけでなく自動車や船舶までもライトのデザイン

 

都市機能ビルに集中

ライトはまたマイルハイタワーという、高さ1.6キロメートル、528階建てのビルを提案し、すべての都市機能をその中に集約させて、都市が郊外へと無秩序に拡大することをくいとめ、アメリカの豊かな田園風景を保全することも考えていました。
ライト生誕から150年となる今年ですが、彼が設計した建築物はこれからも人々に愛され続け、おそらく百年後も変わらずそこに存在していることでしょう。
それはライトの建築が持つ、大自然に向けられた敬虔なまなざしと、常に住まう人に寄り添う優しい空間、そして次の世紀を見据えた想いが、我々の心を打ち震わせ続けているからにほかなりません。



ドバイのブルジュハリファはこのマイルハイタワーに影響を受けている


※写真は「フランク・ロイド・ライト回顧展図録」より
※次回(5月5日発行号)からはライトの手掛けた家具について紹介します。執筆者は引き続き遠藤現さんです。お楽しみに!

★イベント情報★
第4回フランク・ロイド・ライト展を2017年5月10日(水)~12日(金)、沖縄市役所・1階ギャラリーで開催します。テーマは「ライトの家具」。ライトがデザインした椅子に座ることもできますよ。
 


[執筆]遠藤現(建築家)
えんどう・げん/1966年、東京生まれ。インテリアセンタースクールを卒業後、木村俊介建築設計事務所で実務経験を積み独立。2002年に遠藤現建築創作所を開設し現在に至る。

『週刊タイムス住宅新聞』ライトの有機的建築に学ぶ<12>
第1631号 2017年4月7日掲載

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