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2017年3月24日更新

RC造編④ 長く快適に住み続けるために|構造のはなし[12]

家づくりの代表的な構造体について、専門家が分かりやすく解説する。RC造の4回目は、長く快適に住み続けるために必要なメンテナンスの考え方について。建築士の根路名安史さんは、「メンテナンスは建物の耐用年数に大きく影響する。数年置きに塗装や設備の点検を」と話す。

メンテナンスで長寿命化


メンテナンスをこまめに行っている米軍基地の建物。60年たってもひび割れなどが見られない

【中性化と塩害防ぐ】
外壁は水洗いと塗装


鉄筋コンクリート住宅の主な弱点は、中性化と塩害です。サビやすい鉄筋をアルカリ性のコンクリートが守っているのが健全な状態ですが、コンクリート表面から中性化が始まり鉄筋まで届くとサビやすくなります。中性化でコンクリートの強度は変わりませんが、水分等の浸透によりサビへとつながります。
また台風のたびに、飛来した塩分が外壁面に付着を繰り返すことで濃縮され、雨水等にとけ込み、コンクリート内に進入していきます。特に雨が当たる軒先、庇(ひさし)、バルコニーなどの水切りの部分は、塩化物が濃縮されていきます。
建物のメンテナンスとして、台風通過後には、その塩分を洗い流すために建物の水洗いが必要です。窓ガラスだけではなく、建物全体を洗うことが望ましいです。
そして、コンクリートのひび割れはその部分の中性化や塩害を助長するので早めに埋める必要があります。プロの補修工事はもちろん効果的ですが、素人が行う応急的な対応としてはテープを貼る等も有効です。ひび割れに水や空気が進入するのを抑えることが大切です。
米軍基地内の建物は、数年置きに塗装しています。そのメンテナンスの違いが、建物の耐用年数に大きく影響しています。今後、住宅だけではなく公共の建物も、数年置きに塗装や設備の点検をするメンテナンス計画が必要です。メンテナンスしやすい建物の設計の考え方も必要になります。人間で例えると、病気になる前の定期検査や、早期治療が建物の長寿命化へとつながるでしょう。


メンテナンスをしていない団地のベランダや、庇。こまめなメンテナンスが必要である​


【地域への愛着を育む】
まちの新陳代謝は遅く


セメントの生成時には、日本のCO2総排出量の4%程度が排出されています。地球環境や省エネを考慮すると、品質の良い耐久性のあるコンクリートを造り、全ての建築物を長生きさせる必要があります。それは、私たちの大切な山や海の資源を大事に使うことにもなります。
建物の長寿命化は、まちの新陳代謝を遅くします。それが地域の愛着へとつながっていきます。


施主が自ら行うメンテナンス。コンクリート表面に水ガラスを塗布


【旧大宜味村役場にみる】
今後のコンクリート


今後は、添加する混和材によって、品質や耐久性が高まる混合セメントの使用率が高くなるでしょう。緻密で耐久性に優れているフライアッシュや、耐海水性や化学抵抗性に優れている高炉セメント等を用い、水養生を十分に行う施工をすることです。
国の重要文化財に指定された旧大宜味村役場も、国梓としひで著書「風に立つ石塔」によると、八幡製鉄所の高炉セメントが使用されたようです。海岸沿いの過酷な環境の中で、90年間あり続けた建物。そのコンクリートの骨材やセメント、鉄筋等の分析、その施工方法は、これからの品質が良く長寿命なコンクリートづくりの取り組みへの布石となるでしょう。


八幡製鉄所の高炉セメントが使用された旧大宜味村役場


(おわり)



執筆者
文/根路銘安史(建築士、アトリエ・ネロ代表)
ねろめ・やすふみ/アトリエ・ネロ代表。一級建築士、専攻建築士。高品質なコンクリートづくりに取り組む。

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1629号・2017年3月24日紙面から掲載

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