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2016年6月17日更新

アジアからも注目 沖縄のケンチク力|楽しい!ものづくり 沖縄未来建築塾2016より③

若手建築家の育成を目的に6月30日から始まる「沖縄未来建築塾」。スタートを前に、日本建築家協会(JIA)沖縄支部の當間卓支部長(52)と美濃祐央さん(42)が「沖縄の建築家」の未来について話します。當間支部長は「いまや国内に留まらず、アジアからも私たちの知識や技術が求められている」と活躍の場の広がりを語ります。


沖縄における建築家の未来を語るJIA沖縄支部の當間卓支部長(左)と美濃祐央さん。「仕事の場は広がっているが学ぶ環境が十分でない」と話す

―ズバリ、沖縄の建築家の未来は?
 當間支部長  地方で仕事をしていると、中央(東京)を意識し、中央に向かって発信しようとしがちだが沖縄は別だ。琉球王朝時代から、アジアに目を向けることで繁栄してきた。現代の建築家においても同じことが言えると思う。
日本の建築は、自然の力を利用するという点で世界の先端を走っており、省エネへの考え方が洗練されている。沖縄の建築家は、日本の建築をベースに亜熱帯気候も知り尽くしている。だからこそアジアでも、その力が求められており、仕事の場は広がっている。

―逆に沖縄が不利な点は?
 當間支部長  学ぶ環境が狭い。本土では、建築事務所などのバイト先が数多くある。学生たちは入所したい事務所にバイトに行くが、そこでは他大学の学生と競争がある。コンペも数多くあり自分のレベルを知ることができた。有名な建築家の建てた作品に生で触れられ、直接話を聞くこともできた。
沖縄ではそれがむつかしい。学ぶ環境は決して恵まれていないのにもかかわらず、学生や若手設計者たちはそれを「当たり前」と思ってしまっている節がある。
若者には自分たちが置かれている「不遇な」環境を知ってもらいたいし、私たちは学ぶ環境を整えなければならない。それが「沖縄未来建築塾」を始めるきっかけとなった。

―「沖縄未来建築塾」で磨いてほしいことは?
 美濃さん  沖縄では、例えば講演会などで「質疑応答はありますか?」と会場に呼びかけてもシーンとしてしまう場面が少なくない。特に若い世代は、その傾向が顕著のように思える。講師の話を聞き、自分なりに考えて言葉にし、意見を述べられるようになってほしい。塾では必ず一人一つは発言をしてもらうし、講師と生徒がキャッチボールをしながら授業を進める。
意見を発し、聞くことで自分の考えがまとまっていく。建築家は自分の考えを表現するのも大切な仕事。プレゼンテーション能力を磨いてもらいたい。     


 6月30日から開始「沖縄未来建築塾」 
概要:沖縄の未来を創造する建築家の育成を目的に、JIA沖縄支部会員の建築家や県内、国内外で活躍している著名人を講師として招き、沖縄の建築、まちづくり、ものづくりについて学び語り合う場とする。
内容:6月30日から全8回(各2時間程度)
対象:40歳以下の県内建築系学校に通う学生、建築系設計事務所勤務者、建築系一般就労者、行政就労者が対象。定員は30人。
料金:年間1万5千円(教材費、材料費、見学費含む)

※6月24日までに要申し込み。要綱はJIA沖縄支部のホームページに掲載。
問い合わせはJIA沖縄支部(098-943-8949)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1589号・2016年6月17日紙面から掲載

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