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2025年6月6日更新

梅雨時期こそカビ知らず ホコリ知らずの家に|ラクに片付く=ラクに戻せる|家と心理㊴

空間デザイン心理士Ⓡで一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが、空間を心理的に解析。今回は、梅雨時期の片付けの重要性を説明します。「カビの栄養源となるホコリを減らすためには、モノを減らして掃除をしやすくすることが大切。片付けを面倒に感じる人は、脳の片付けスイッチをオンにしましょう!」と話します。

梅雨時期こそカビ知らず ホコリ知らずの家に
ラクに片付く=ラクに戻せる

空間デザイン心理士Ⓡで一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが、空間を心理的に解析。今回は、梅雨時期の片付けの重要性を説明します。「カビの栄養源となるホコリを減らすためには、モノを減らして掃除をしやすくすることが大切。片付けを面倒に感じる人は、脳の片付けスイッチをオンにしましょう!」と話します。


ホコリ断ちカビ防ぐ

沖縄の梅雨は、湿度80%超えが当たり前です。ジメジメした日が続くとカビの発生が気になりますよね。

カビは湿度×温度×ホコリ(栄養源)の3点セットで爆発的に増殖します。湿度と温度は季節柄、どうにもなりませんが、栄養源であるホコリを防げばカビは育たないわけです。

ところが、床にモノが置かれていたり、モノが多かったりして掃除しにくい場所があると空気の流れが止まり、湿気がたまり放題に。そこが「ホコリの巣」になりがち。カビ予防のためにも梅雨シーズンこそ「片付け」が大切なのです。

つまり、モノを減らして戻しやすくする→掃除がラクになる→ホコリが減る→カビが繁殖できない! というわけです。

今回は、脳へのアプローチで「ラクに片づく=ラクに戻せる仕組み」をお伝えいたします。


探しモノせずに済む家

私たちは1日に平均して5〜10分、カギやリモコンを「捜索」していると言われます。年間にすると約30時間になります! 探す行為こそストレス&時間のムダ遣いと認識し、「探さなくて済む家」をゴールに設定しましょう。

探さなくて済むためには「モノの帰る場所」を決めることが大切です。モノの定位置を決めて、その都度、片付けるようにすれば良いのですが、それがなかなか難しいという方も多いのでは?

それは人間の脳が「先延ばしの達人」だからです。片付ける場所が遠かったり、手間がかかるようだと脳は「面倒」だと思い、片付けを先延ばしにしてしまいがちです。そんな脳の負担を減らし、片付けスイッチをオンにする方法をいくつか紹介します。

◆使う場所の3歩以内に収納
モノは使う場所の3歩以内の位置に置きましょう。また、座ったまま使うモノは、腕を伸ばして届く位置に置きましょう。

◆「ワンアクション収納」で戻し率100%へ
扉を開ける→引き出しを引くというたった二つの動作(アクション)でも、脳は「面倒」と感じるため、動作を一つでも減らすのがこつです。例えば服はハンガーラックに掛けるだけなど、手間を省くと「戻し率」が格段にアップします。

◆5分の片付けセレモニー
片付けの腰が上がらない場合は、タイマーを5分でセットして片付けをセレモニー化してみましょう。人は始めてしまえば、約70%がそのまま続行できるとされます。タイマーが鳴ったら即終了。片付けのハードルがどんどん低くなります。

◆散らかるエリアは「とりあえずボックス」で瞬間回収!
「家族の文房具がリビングをさまよう」のは子育て世代のあるある。対策として、リビングにA4くらいの「とりあえずボックス」を置き、とりあえずモノをそこに戻すようにします。ボックスがいっぱいになったら中身を本来の定位置へ戻すことで、「いちいち片付けるのは面倒」という抵抗を消し、小さな達成感を積み重ねます。

◆「定位置写真」で見比べ
仕上げは「視覚リマインド」。片付いた状態を撮影し、「定位置アルバム」を作成。散らかったときにその写真と現実を比べることで、脳が差を認識し自動的に修正行動を促します。

 
 脳の「片付け」スイッチをオンにする方法 
使う場所の3歩以内に収納
使うモノは使う場所の近くに置くのが鉄則。できれば3歩以内の位置に置きましょう。座ったまま使うモノは腕を伸ばせば届く位置に置きましょう。包丁やまな板はシンク周りに立って手が届く位置、ソファの周辺にスマホなどの充電ケーブルを置いておくとサッと片付くので面倒さが激減し、自然に定位置に戻せるようになります。
 
 
5分の「片付けセレモニー」
片付けを始めるまでに時間がかかる人は「5分だけ」と決めてやってみましょう。タイマーをセットし、その5分間だけを「お片付けセレモニー」にします。タイマーが鳴ったらセレモニー終了。達成感を脳に刻むことで、次からのハードルがどんどん低くなります。
 
 
ワンアクション収納
面倒くさがりな脳の負担を減らすべく、なるべくワンアクションで収納できるようにしましょう。
例えば…
洗面所/フェースタオルは畳まず「丸めて投げ入れ」できるバスケットへ
玄関/鍵は壁に掛けたり、小物入れにポイッ
クローゼット/洋服ハンガーやフックに「掛けるだけ収納」を増やすと、「戻し率」が格段に上がります。

 
 
定位置写真と見比べる
片付いた状態を撮影し、「定位置アルバム」を作成。散らかったときにその写真と現実を比べることで、脳が差を認識し自動的に修正行動を促します。視覚比較で脳を動かすアプローチです。
 
 
「とりあえず箱」に回収
リビング・ダイニング・洗面所など、散らかりがちな場所にはモノの一時的な保管場所「とりあえずボックス」を置いて、モノを瞬時に回収! ボックスが一杯になったら中身を本来の定位置へ戻します。これは心理学の「スモールウィン効果(※)」で、「いちいち片付けるのは大変」という抵抗を消し、小さな達成感を続ける仕組みです。

※新しい取り組みや変革において、小さな成功(Small Win)を積み重ねることで、全体のモチベーションや成果を向上させる効果のこと。

 今日からできる3ステップ 

①モノの場所が3歩以内かチェック
まずは、毎日よく使うモノを3歩以内の場所に置いてみましょう

②ワンアクション収納を1ヵ所導入
まずは玄関や洗面所から始めてみて。

③とりあえずボックスを設置
散らかりがちな「モノのたまり場」にとりあえずボックスを置いてみましょう。
 

◆   ◆   ◆


片づけは「戦い」ではなく、住まいの「循環」づくりです。「モノが帰る場所」を整えれば、湿気シーズンでもホコリは最小限。カビを寄せつけないクリーンな空気が、家族の心の余裕まで守ってくれるでしょう。梅雨が明ける頃には、探し物ゼロの住まいを目指しましょう♪


まえうみさきこ
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。
http://ielie.net


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2057・2025年06月06日紙面から掲載

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