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2024年11月22日更新
安全ピン 詩的に再構築|アートを持ち帰ろう(44)
文/本村ひろみ
安全ピン 詩的に再構築
アバンギャルドな制作姿勢で空間際立たせ
空間を演出するインスタレーション「VALUE 2022」は、明るい時間に見る印象と日が落ちてからでは、その様相が違った。辺りが暗さを帯びてくると、会場は照明を落としピンスポットで作品の影をあたりに投影させる。作品の影も濃さを増すからか、作品はうごめいているようであり増幅しているようでもある。陰影がかもしだすものまでがインスタレーションだ。
![](/_files/commons/0001/22551/1732081932.jpg)
![](/_files/commons/0001/22551/1732081943.jpg)
「VALUE 2022」
価格(要相談)
![](/_files/commons/0001/22551/1732081958.jpg)
「VALUE 2022」
![](/_files/commons/0001/22551/1732081958.jpg)
「VALUE 2022」
素材 安全ピン 8万円(税込み)
H30×W15×D15cm
H30×W15×D15cm
音にも語らせる
作品の素材は安全ピン。それをつないで空間に鋭角な光の鉄のラインやフラジャイル(繊細)な塊を構成している。身近にある素材の再構築で詩的な美しさを表現。そして静謐(せいひつ)な展示空間に音楽が鳴り響く。立ち止まっていた体のシルエットは次第にグルーヴして妖艶な場になっていく。美術家・花城勉は音楽にも作品を語らせる。“アートと音や他領域とのコラボを継続して展開している”という彼の作品は刺激的だ。野外のインスタレーションも音と光と影が結界となり、聖域のような空間を作り出していた。
展示会場で会った花城は黒い服を身にまといスタイリッシュないでたちだった。「コム・デ・ギャルソン」が好きだという彼の制作姿勢はアバンギャルドだ。「ズラしたり、斜めに見たり、歪(ひず)みを与え、つなげてみることで、日常の何げない瞬間や環境を特別なものに。空気を削るような美しいものを」と、作品のコンセプトを話してくれた。空間を際立たせる思索的な美しいインスタレーションをこれからも期待したい。
![](/_files/commons/0001/22551/1732081951.jpg)
「VALUE 2023」
素材 ホチキス 12万円(税込み)
H12×W60×D12cm *作品はサイズ調整可能
H12×W60×D12cm *作品はサイズ調整可能
![](/_files/commons/0001/22551/1732081972.jpg)
「VALUE 2023」
素材 ホチキス
価格(要相談)
美術家・花城勉
https://www.instagram.com/tsutomu_hanashiro/
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2029号・2024年11月22日紙面から掲載
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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。