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2024年2月16日更新

家庭菜園(野菜・花)楽しむ 初心者の土づくり

沖縄は、今が春植え野菜・花の植え付けシーズン。今回から2回にわたり、初心者向けの家庭菜園づくりを紹介する。初回は、わかば種苗の照屋清司さんに土作りの基本を教えてもらった。

よい土の条件とは

「作物や花を育てたいなら、なによりも土が大切! しっかり耕して空気を入れることで地中の微生物が活性化し、良い土になります」と照屋さんは話す。

ちなみに良い土の条件は「保水性」「排水性」「通気性」が良いこと。目安は土をギュッと握ると固まるが、それを指でつつくとほろほろ崩れる程度がベスト。固まらなければ保水性が悪く、崩れなければ通気性や排水性が悪い。

良い土にするには、しっかり耕すことはもちろん、土壌改良材を入れて整える。土壌改良材には、植物由来の「腐葉土・バーク堆肥(樹皮)・ピートモス(泥炭)」、動物由来の「牛ふん堆肥・鶏ふん堆肥」、鉱物由来の「バーミキュライト・ゼオライト・パーライト」などがある。排水性を高めるためはパーライト、保水性を高めるにはバーミキュライトなど、それぞれ適性がある。「ただし、土の状態はさまざま。現状と、どう改良したいかをホームセンターや種苗店のスタッフと相談して選びましょう」と照屋さん。

最も手軽なのは市販の培養土を使うことだ。「培養土は最初から、土壌改良材や肥料がバランス良く入っている。初心者にもってこいです」。


土壌の酸性度も重要

また、土の「酸性度」も植物の生育に大きく影響する。「沖縄の土は酸性になりがち。酸性だと育ちにくい作物も多いので、中性~アルカリ性土壌にするためには苦土石灰などをまきましょう」。

そして肥料。「市販の肥料は袋にどんな植物に適しているか書いてあるので、それに添って購入しましょう。袋にはアルファベットや数値も書いてありますが、これは成分比率です。各成分の働きも頭に入れておくと、より選びやすいと思います」と話した。

 

プランターの場合

 
培養土とは、最初から肥料や土壌改良材などがバランス良く混ぜ合わせられた土。初心者におすすめ

市販の培養土を購入するのが最も手軽。培養土は、土壌改良材や、植物を植え付けてから1カ月程度の成長を補えるほどの肥料が入っている(肥料が入っていない製品もあるので、購入時に確認を)。

1カ月後に、植える野菜や花に合わせた肥料を入れる(追肥)。目安は一株につき一握り。

最近の肥料は、袋にどんな野菜・花に適しているか書いてある。分からなければ店員に相談を!
 


プランターの土の再利用

①土に残っている植物や根などを取り除く
土に残っている植物や根を取り除く。できればふるいにかけて、細かくなり過ぎた土を取り除くことをすすめる。

②土をビニール袋に入れてよく日の当たる場所に1週間ほど置き、太陽光消毒する
土を日に当てて、悪い菌も良い菌もすべて消毒する。

③新たに堆肥、肥料などを混ぜる
土にいる菌を②ですべて消毒したので、堆肥や肥料を入れて良い菌を増やす。



野菜と土壌の関係
※土壌のpH値…酸性(4.0~6.5)、中性(7.0)、アルカリ性(7.5~10.0)

酸性土壌に弱い(最適pH6.5~8.0)…ホウレンソウ、アスパラガス、エンドウ、シュンギク、サラダナ

酸性土壌にやや弱い(最適pH6.0~7.5)…インゲン、レタス、カリフラワー、ゴボウ、カラシナ、セロリ

酸性土壌にやや強い(最適pH5.5~6.5)…カボチャ、キュウリ、落花生、ピーマン、トマト

酸性土壌に強い(最適pH5.0~6.5)…スイカ、カンショ、ジャガイモ、サトイモ



 

畑の場合


①畑を耕す
耕すことで土に空気を含ませ、水はけが良くなり、作物が根を伸ばしやすくなる。また、酸素が入ると土壌の微生物も活動しやすくなる。


②堆肥を投入(植え付けの2週間前)し、土と堆肥を混ぜ合わせる
植え付けの2週間前に堆肥を投入し、耕して土に馴染ませる。
 

堆肥と肥料は違う!

堆肥は、家畜のふんや落ち葉などの有機物を腐熟させたもの。土の中の微生物を活性化させ、良い土壌にすることを目的に入れる。堆肥には牛ふん、鶏ふん、腐葉土などがある。

肥料は、植物を大きく丈夫に育てる目的で使用する。堆肥にも肥料成分は含まれているが、肥料に比べると少ないため、大量に入れる必要がある
 

③苦土(くど)石灰を入れる(植え付けの約1週間前)
沖縄の土は酸性に偏りがち。酸性度が高過ぎると野菜や花木が育ちにくくなるため、石灰をまいてアルカリ性よりの土にする。


④元肥(もとごえ)をまく
畑に肥料を入れる。市販の肥料には適した作物が書かれているので、植える作物に合ったものを選ぼう。

元肥、追肥(ついひ)とは

元肥とは植物を植える前に土に加えておく肥料。追肥とは植物が育ってきてから加える肥料。

基本的には、元肥は効果が長い緩効性や遅効性のものを、追肥は速効性のあるものを選ぶ



⑤畝(うね)立て

 
畝とは、畑の土が盛り上がった部分で、そこに作物を植える。水はけが良くなり、日光もよく当たる。また、通路との区別もできる。





肥料の三要素

窒素(N) 葉や茎を伸長させる。作物の生育と収量に最も大きく関わる。


リン酸(P) 開花や結実に関係することから花肥、実肥とも呼ばれる。


カリウム(K) 根の発育を促進する。

ほかにも、耐病性や土壌の酸度を調整するカルシウム(Ca)、葉緑素の形成に不可欠なマグネシウム(Mg)、タンパク質やアミノ酸やビタミンなどをつくるイオウ(S)なども大切な栄養素だ





【教えてくれた人】

てるや・きよし/創業約70年の老舗「(有)わかば種苗(那覇市樋川)の種苗部長。野菜ソムリエの資格も持つ。
わかば種苗/電話=098・832・5422
https://www.wakabaseed.com

取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1989号 2024年2月16日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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