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2023年8月25日更新

[企画]もめない遺言書 愛情と理由を書く

相続でもめないためには「愛情のこもった遺言書を残すことが大切」と、沖縄県相続診断士会の崎原敏子会長。その書き方を教えてもらった。

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「ウチは資産が少ないからもめない」は大きな間違い。2017年に遺産分割でもめて裁判所に持ち込まれた案件のうち総額1000万円以下が約32%、5000万円以下が約43%。合計すると8割近くに上る。「県内だけで見ると、もっと少ない遺産でもめていると思う。極端な話、預貯金はゼロで自宅(古い家と土地)しかないケースでももめる」と崎原会長は話す。

「建物を壊して土地を売り、そのお金を分ければいい」という人も多いが、「『思い出の詰まった家だからやっぱり売りたくない』という相続人が出てきたり、誰が取り壊し費用を出すかなどで〝争続〟になることもある」

そうならないために遺産分割について記した遺言書(※1)を残すことは極めて重要。「ただ書くだけでなく、家族へ〝最後のラブレター〟だと思って、愛情を込めて書き記すことが大切。具体的には感謝の気持ちだったり、分け方の理由を『付言事項(※2)』に書きましょう」



(※1)遺言書は、自分の財産を死後どのように処理してほしいのか意思を記す書類。

遺言者が自分で書く「自筆証書遺言」と遺言者が公証人に遺言を伝え、それに基づき公証人が作成する「公正証書遺言」がある。掲載しているのは自筆証書遺言の例。「自筆-」は手軽に作成できるが、必ず手書きでなければならない(財産目録を除く)ことや、形式不備などで無効となる恐れがある。「公正-」は専門家が作成するため不備が起きにくいが作成に手間と費用がかかる。崎原さんは、「自筆・公正どちらも考えをまとめたり、必要書類の準備などがあり、一人で書くのは難しい。書こうと思ったら相続診断士などの専門家に相談することをすすめる」と話す。


(※2)付言事項とは遺言者の気持ちや想いを遺族に伝えるための「手紙」のようなもの。法的効力を持たない記載事項。「相続人への感謝の気持ちや、なぜこのように分けたのか、金額に差があっても愛情の差はない旨を付言事項に書き記しておくことで“争続”を回避できる」と崎原さん。



「付言事項」で絆守る

例えば左記のように、長男に家・土地・墓・現金100万円を残し、長女と次女には現金50万円ずつ、というふうに遺産を分配した場合、いくら遺言書に書いてあっても、長女や次女から不満が上がる可能性は否めない。

そこで、「長男には家や墓の維持管理までお願いしたいから多めに残す旨や、愛情に差はないことを付言事項に書いておく。そうすることできょうだいの絆を守ることができる」と崎原さん。「遺言書は、財産や相続人を把握する必要があり、一人で書くのは難しい。相続診断士などの専門家に相談してほしい」と話した。

 

沖縄さん宅の家系図と遺産分割

※父はすでに亡くなっている。今年、母(花子)が亡くなり、遺言書には3人きょうだいで、このように分けるよう記されている





さきはら・としこ/県相続診断士会会長。沖縄特有の相続事情に精通し、遺言書や相続についてアドバイスする「相続サポートくくる沖縄」を運営。電話=098・936・4691

(同)不動産 崎原 https://r.qrqrq.com/lyRQbkjs




毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1964号・2023年8月25日紙面から掲載

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