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2016年8月12日更新
【未来の住まい】 完全オフグリッド住宅|(株)大成開発
時代の最先端を行く「未来の住まい」。さまざまな知恵と工夫を生かしながら、快適に暮らす未来を見つめた住まい作りは進化し続けている。今回は電力会社から電力供給を全く受けない完全オフグリッド住宅を紹介します。
完全オフグリッド住宅を実現 沖縄県豊見城市・Yさん宅
電力自給 工夫で快適に
完全オフグリット住宅とは電力会社からの電力供給を全く受けない住宅のこと。沖縄県豊見城市の高台にあるYさん宅は、外見は赤瓦屋根と太陽光パネルが設置された平屋のごく一般的な戸建て住宅。室内に入っても扇風機が回り、冷蔵庫が動き、電気も普通に使っている。4月から住み始めたばかりというが、特徴は窓。設計・施工を担当した㈱大成開発の寺脇雄三さんは「冷房を設置しない前提での依頼だったため、窓の位置や大きさにこだわった。窓は16カ所で特に多い訳ではないが、建物の四方に設けて風通しと室内の明るさを意識した」と話す。
住宅はYさんの希望でLDKと個室部分を分けた造りに。LDKは天井を高くすることと横4・5mの大きな掃き出し窓で開放感と明るさ、風の通りを確保。屋根に赤瓦を使用したことで遮熱効果をアップさせた。個室部分は3部屋で、寝室も兼ねている。寝苦しさを軽減するために1部屋に複数の窓を設けた。
施主のYさんがオフグリット住宅に興味を持ったのは東日本大震災のころ。原発事故をきっかけに、電力会社から供給を受けない暮らし方を模索。調べていくうちに岡山県で活動するNPO法人「自エネ組」を知り、太陽光発電による電力の自給システムにたどり着いたという。
太陽光で作り出された電気は、市販のバッテリーを使った手作りの蓄電池に送電。蓄電量を表すメーターで現状を把握しながら生活する。蓄電池のメンテナンスもYさん自ら行う。日常生活での工夫はLEDライトや省エネタイプの冷蔵庫の使用と、ガスによる調理や風呂。
「設計から依頼するのでわがままが言えると思ったものの、引き受けてくれるか少し不安だった」とYさん。大成開発の寺脇さんは「施主の方の考えに寄り添うのが当社のスタイル。要望に応えようとしただけ」と話す。設計・施工で風通し、明かり取りなどの工夫をしながら、暮らす側の心地良さを追求し、考える姿勢がマッチした建物となっている。
念願だったという赤瓦屋根
太陽光パネル15枚を設置
リビングの掃き出し窓の側にはハンモックを置き、ゆったりと
寝室の窓から夜空が見え、癒やされるという
省エネタイプの冷蔵庫。横には窓を設け風通し良く
高い天井で開放感もあるリビング
屋外に設けられた独自の蓄電池システム
電気を数値化し、最大量は100で、50を下回るとさらに節電
[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:264.1㎡(約79.89坪)
1階床面積:100.5㎡(約30.4坪)
躯体構造:鉄筋コンクリート造
設計・施工:(株)大成開発
問い合わせ
(株)大成開発
098-884-7905
大成開発の「2世帯同居型住宅」住宅完成見学会が平成28年8月13日(土)14日(日)に沖縄県南風原町山川で行われます
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1597号・2016年8月12日紙面から掲載