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2022年9月2日更新
【沖縄】暮らしにアウトドア(18)
那覇市曙にあるバイク店・沖縄ヤマハの店内で「燈人」というアウトドアグッズコーナーを担当している與那嶺康貴です。今回は、焚き火の必需品「薪」について説明します。
薪割りいろいろ
道具・木材の選び方
適しているのは広葉樹
焚き火の燃料となる木材「薪」は、大きく分けて「広葉樹」と「針葉樹」の二つがあります。広葉樹は平らな形の葉の木で、幹の密度が高く火持ちが良いとされています。針葉樹は細い葉の木で、幹は密度が低く燃え尽きるのが早いとされ、焚き付けに向いています。木に含まれる油分なども関係しますが、針葉樹で焚き付けをして火が安定したら広葉樹で焚き火を楽しむと良いでしょう。県内ではイタジイのほか、台風などで倒壊したモクマオウ(堅くて木炭にすると火持ちが良い)や琉球松(油分多めで高温になるので陶器を焼く際の薪としても使用される)などが流通しているそうです(県森林組合連合会スタッフ談)。
なお、薪は県内のホームセンターで購入できるほか、県森林組合連合会では県産の広葉樹を防腐・防カビ処理をせずにしっかり乾燥させて販売しています。こちらもおすすめです。
変わり種薪として近年人気なのが、丸太に切り込みを入れて燃やす「スエーデントーチ」です。薪より太いのでダイナミックです。
薪や薪割りグッズいろいろ。左上の丸太は、最近人気の「スエーデントーチ」。切れ込みを入れた丸太を丸ごと燃やす
「斧」と「鉈」と「キンクラ」
次に焚き火用の薪を使いやすいサイズにカットする薪割り道具を紹介します。
薪割りの道具。斧、鉈、キンクラは本文参考。ナイフで薪割りをしたいならば、刃の太さが3㍉以上あり、柄の最後まで刃の鋼材が通っている「フルタング構造」のものを選ぶこと
一つ目は「斧」。一般的な薪割りの人気ギアです。全長約38㌢のものが扱いやすいです。刃を薪の木目に沿って軽く食い込ませ、その薪ごと薪割り台の上でトントンとたたくようにしたり、別の薪で斧の上部をたたくと割りやすいです。最後まで割れなくても途中まで刃が入ったら手で裂くこともできます。
テレビでよく見る「豪快に振りかぶってパカーンと割る」は、素人には危険です。振りかぶったときに刃に接触する恐れや、斧がすっぽ抜けることも考えられます。
二つ目は「鉈」。短くて、刃が厚く幅の広い刃物でキャンプギアとして最近、人気があります。
薪割り用に購入するなら「両刃」が良いです。片刃は枝切り用などで薪割りには適しません。使用方法は、ほとんど斧と一緒です。
三つ目は「キンドリングクラッカー(略してキンクラ)」。薪割りをする母親がけがしないようにと、ニュージーランドの13歳の少女が発明した薪割り器です。
刃がついた台に薪を乗せ、ハンマーでたたくと割れる構造です。刃物を振り回さずにすみ、割れた薪も飛び散りにくいので女性や子どもも安心して扱えます。
キンクラでの薪割り(上)と斧での薪割り(下)。どちらもトントンと叩くように割る
最後に、東京都内で昨年、銃刀法違反容疑で摘発された約8割がキャンプや釣りなどで刃物を使用し、車内やバッグに置き忘れたケースだそうです。銃刀法は刃渡り6㌢を超えるナイフや包丁などの刃物について、業務や正当な理由がある場合を除いて携帯を禁止しています。 なので「帰ったらすぐに自宅に保管する」を徹底してください。移動中は保管ケースに収納し簡単に取り出せないようにするのも忘れずに。
ルールを守って楽しく安全安心なアウトドアライフをお過ごしください。
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毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第1913号・2022年9月2日紙面から掲載