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2022年3月25日更新

[沖縄]学生が考えた「社会的建築」|第25回卒業設計展作品選奨

建築系の学生による2021年度の卒業設計の中から優れた作品を選ぶ「卒業設計作品選奨」の審査が3月12日、浦添市で行われた。応募総数13点の中から、最優秀賞には琉球大学の比嘉志緒里さんの作品が選ばれた。

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第25回卒業設計作品選奨の受賞者と審査委員。前列右から3人目が最優秀賞を受賞した比嘉さん=12日、ビジネスデザインハブ沖縄(浦添市)
第25回卒業設計作品選奨の受賞者と審査委員。前列右から3人目が最優秀賞を受賞した比嘉さん=12日、ビジネスデザインハブ沖縄(浦添市)
 

最優秀賞は比嘉さん

「フットワークの軽い学生だからこそ、もっと敏感に社会の動きをとらえて建築に反映させてほしかった」と、少し物足りなさげに総括した審査委員長の漢那潤さん(建築士)。「しかし、賞を取った作品は、自分なりに課題をとらえて建築的な答えを出していた。粗削りながら視点は面白かった」と評した。

最優秀賞を受賞したのは琉球大学の比嘉志緒里さんの作品。「人が水を利用しやすい空間ではなく、地球の水循環の中に生活を組み込んだ」と説明する。中央に穴が空いた住居で、雨水を取り込んで生活用水とし、ろ過して周辺の畑に排水する。

漢那委員長は「壮大な発想で、建物としてまとめるのは相当大変だったと思う。苦労しただけあり、水循環と建築を結ぶ一つの形になっている」と評価した。

比嘉さんは、6月に開催される全国大会に出場する。


空き家問題やエコ考え

優秀賞を受賞した沖縄職業能力開発大学校の平良ゆうさん、山内莉桜さん、越来永遠さんは、空き店舗が増加するコザ銀天街に子ども食堂や高齢者を雇用する食堂を作り、世代をつなぐ提案をした。

同じく優秀賞を受賞した琉球大学の篠原佑衣さんは「エンターテインメント性が強くなった水族館建築に疑問を感じる」とし、海底へ280㍍近く延びる細長い深海魚の水族館を提案。研究や、漁などで揚がってしまった深海魚の保護もできる施設をプランした。

 

 最優秀賞作品|比嘉志緒里さん(琉球大学4年)|「水循環中心主義建築」
斜めになった屋根や、中央に穴が開いたドーナツのような形状で、雨水を取り込みやすくした。想定しているのは農家の住居兼、屋内作業スペース。周辺には畑がある斜めになった屋根や、中央に穴が開いたドーナツのような形状で、雨水を取り込みやすくした。想定しているのは農家の住居兼、屋内作業スペース。周辺には畑がある


受賞作品一覧

【最優秀賞】★比嘉志緒里さん(琉球大学4年)「水循環中心主義建築」

【優秀賞】★篠原佑衣さん(琉球大学4年)「観深海魚室 しんかいうおのぞき」
     ★平良ゆうさん、山内莉桜さん、越来永遠さん(沖縄職業能力開発大学校2年)     
     「きっかけとなる街」
     ★澤岻美星さん(美里工業高校3年)「図書館」

【佳作】★富永清加さん(琉球大学4年)「めくるめく、電波的領域」
    ★手登根琉華さん(専修学校インターナショナルデザインアカデミー2年)「手願」
    ★神谷愛佳さん(美里工業高校3年)「複合施設」


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1890号・2021年3月25日紙面から掲載

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