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2022年3月18日更新

【沖縄】離婚時の思いのせて合意へ |離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル[17]文/川端ゆかり

突然ですが「離婚した」と話してくれた相手にあなたはどのような声かけをしますか?
離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル文/川端ゆかり

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2人で築いた資産 どう分ける?

離婚時の思いのせて合意へ


突然ですが「離婚した」と話してくれた相手にあなたはどのような声かけをしますか? 私はケースにもよりますが、ほとんどの場合声のトーンは変われど「おかえり」と返すことが多いです。おかえりの言葉の中に「大変だったね」「つらかったね」「おつかれさま」の気持ちも込めていたり…そうすると少し間があきますが、お互い「プっ」と笑ってしまうことが多いです。「おかえり」が使えるのはある意味、経験者の特権?! なのかもしれません。少し肩の力が抜ける言葉たちをこれからも開拓していきたい所存です。

何が言いたいかというと「離婚」という結果と現状を本人も周りも受け入れられる社会や会社であることは大切だな、と。フィリピンなど離婚が許されない国もある中、日本人は選択する自由がある。ある意味ラッキー。とはいえ、協議、調停であれ離婚までの道のり(正確には離婚から2年経過するまで)は、当事者はズタボロだったはずです。そうなりながらも立ち上がった目の前の人をどうぞ、エアーハグで受け入れていただけましたら幸いです。そして、離婚を経験したあなたへは「過去は前世、相手も自分も許すこと」「女は30・バツイチから」という言葉を送ります
(^^)/

不動産投資で6千万円の売却益

今回のケースは協議離婚予定のA子さんからのご相談。「お互い考え方が変化し、大切なところで意見がまったく合わない。きっと、このままずっと平行線。協議離婚を予定している」とのことでした。A子さんのお気持ちにゆるぎない意志を感じ取ることができましたので、具体的なアドバイスへ。

資産は9世帯のアパート1棟、軍用地が1筆、一戸建ての自宅。どれも夫婦共同名義で所有しています。それぞれに借り入れがありますが、現在の市場で売却しローンを返済してもアパートで3千万円、軍用地で2千万円=上の表参照=、自宅で1千万円、合計6千万円ほどの利益が見込めることに。ここ数年の沖縄の地価上昇のたまものでもありますが、公務員と専門職という属性と低金利を生かし少ない自己資金で不動産投資を行ってきたことが幸いでした。

「え? 借り入れもあるのにそんなに!!」とA子さんもうれしい誤算。

借金には今回のA子さんたちのように融資を受けることでレバレッジをかける(融資を利用することで、少額の自己資金で大きな利益が期待できる)ことのできる「質のいい借金=投資」とパチンコや賭けごと(一部のプロ除く)のようなダダ漏れ「ただの借金=投機」に分かれます。結婚してからお2人で築いた資産は6千万円ものキャピタルゲイン(売却益)を生んでいたのです。
 


資産の売却が縁の切れ目に

アパートは修繕の時期を迎える前に売却をおすすめしました。

「この売却が終わると離婚の話ができるかと思うと少し穏やかになる」というA子さん。どちらかといえば守ってあげたいタイプに見えたA子さんの強さを感じるとともに、こちらの距離感は近くなり「すべてが落ち着いたらシャンパンで乾杯だ」を合言葉に売却話はトントンと進みます。A子さんに離婚の意思があることを知らないままのB男さんの協力も経て弊社顧客へスムーズに売却。B男さんにも喜んでいただけました。

離婚時の資産分割

その後、A子さんからB男さんへ離婚の意思を伝えてふたりは協議離婚することに。自宅はこれを機に、B男さんおひとりの名義とすることとし、B男さんはアパート売却で得た利益の一部を自己資金にして、住宅ローンの借り換えをしました。そして軍用地に関してはふたりでの「共有」を個人個人への「単有」に分筆し登記を変更。自宅名義をB男さんとしたこととのバランスを考えA子さんの面積を大きく分けることで合意しました。

現金や軍用地のように分けられる(分けやすい)資産と違い、土地建物のような不動産はケーキのようにきれいに切れない、でも2人で築いた資産を離婚の際の思いを乗せて分けていけるように! 私たち不動産売買エージェント×Re:コンサルは知恵を絞ります。

1年半続いたRe:コンサルコラムですが、惜しまれながら(誰に?)最終回となりました。紙面を介して出会えたあなたに感謝します。=おわり

 

執筆者 川端ゆかり(かわばた・ゆかり) 1971年、浦添市出身。短期大学卒業後、那覇空港地上職・地元情報誌編集・建設会社不動産部勤務を経て1999年(有)とまとハウジング設立。趣味は猫とお酒と読書、仕事が絡まないゴルフ
執筆者 川端ゆかり(かわばた・ゆかり)
1971年、浦添市出身。短期大学卒業後、那覇空港地上職・地元情報誌編集・建設会社不動産部勤務を経て1999年(有)とまとハウジング設立。趣味は猫とお酒と読書、仕事が絡まないゴルフ。https://www.tomato-okinawa.com/rikon/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1889号・2022年3月17
日紙面から掲載

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