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2022年2月11日更新

[沖縄]知っトク制度[25]|脱炭素社会に向けた住宅政策③ 「LCCM住宅」

建築から解体まで、住宅の生涯でCO2収支をマイナスにするLCCM住宅は、脱炭素住宅の中でも最高ランクといわれている。その普及に向け、国土交通省が補助。住宅の特徴や補助内容を紹介する。

脱炭素社会に向けた住宅政策③
「LCCM住宅」

住宅の生涯通じCO2ゼロ
22年度も国交省が補助実施

SDGsの観点から注目

LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅は、居住時に加え、建設時、解体時や廃棄まで、住宅の生涯にわたってCO2の収支をマイナスにする住宅のこと=図1。環境負荷低減を考えた住宅であるため、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも近年、注目を浴びている。

CO2収支をマイナスにするとは、建設・居住・解体時の排出量よりも、居住時のエネルギー創出による削減量を多くすること=図2。そのため、太陽光発電などの創エネはもちろん、住宅の省エネ化や長寿命化、建材や運搬の省CO2化などが必要になる。

建設時の省CO2対策としては、成長過程でCO2を吸収する木材を使用する、地域でとれる材を使って運搬経路を短くする、高炉スラグ(製鉄の残りかす)を混ぜたコンクリートを使い資源の循環を図るなどが挙げられている。

住宅の省エネ性はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に相当。給湯や照明、冷暖房などによるエネルギー消費量を、建築物省エネ法の基準より20%以上削減。高断熱な窓や高効率な設備などで省エネ性を高めるため、初期費用はかかるものの、創エネでランニングコストを抑えられるといった特徴がある。


図1 LCCM住宅の考え方



図2 CO2収支のイメージ


住宅の生涯のうち、最もCO2排出量が多いのは居住時。エネルギー使用によるところが大きいため、省エネ化は欠かせない。LCCM住宅は、建設時などの省CO2化も図ることで、住宅の耐用年数内でCO2収支を0以下にする。

従来は木・鉄骨造が主

国交省はこれまで「サステナブル建築物等先導事業LCCM住宅部門」で補助を行ってきた。補助対象は同住宅の条件を満たす新築の建売住宅や注文住宅を手がける建築事業者で、その事業者が住宅の購入者や建築主に補助額相当を還元する仕組み。2021年度に補助を受けたのは48社(認定戸数792戸)で、主に大手ハウスメーカーや工務店が手掛ける木造や鉄骨造が認定された。

1戸当たりの補助額は、性能評価などにかかる費用と省エネ・省CO2対策にかかる工事費用を合わせた額の2分の1以内、上限は125万円。

住宅の生涯で排出するCO2量は、専用の算定ソフト「CASBEE(キャスビー、建築環境総合性能評価システム)」によって五つ星で評価。三つ星以上を獲得すると補助対象となる。

国交省は22年度も補助実施を決定。補助額などの詳細は未発表だが、「LCCM住宅整備推進事業」を創設するとしている。

POINTS
★LCCM住宅は、建設・居住・解体・廃棄で排出するCO2量よりも、居住時のエネルギー創出で削減するCO2量が多く、住宅の生涯にわたってCO2収支が0以下になる住宅
★ZEH相当の省エネ化、長寿命化、建材や運搬などの省CO2化が求められる

 


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1884号・2022年2月11日紙面から掲載

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