建築
2022年1月14日更新
[沖縄]知っトク制度[24]|脱炭素社会に向けた 住宅政策② 「ZEH」
脱炭素住宅の一つとして国土交通省・環境省・経済産業省が補助事業に取り組む「ZEH」。2022年度の補助事業も見込まれている。今回は一戸建て住宅におけるZEHの特徴や種類、補助要件を紹介する。
脱炭素社会に向けた住宅政策②
「ZEH」
省エネ・創エネで収支ゼロ
性能や設備で補助額に差
高断熱・高効率がカギ
「ZEH(ゼッチ)」は、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略語で、大幅な省エネと太陽光発電など再生可能エネルギーの創出(創エネ)で、エネルギーの年間収支を正味ゼロにする住宅のこと。光熱費などのランニングコストが抑えられる、エネルギーを自給自足するので災害の備えになるなどの特徴がある。
大幅な省エネを実現するため、住宅の造りでは外皮(外気に触れる壁・屋根・窓)の高断熱化、給湯器や空調・照明など設備の高効率化などが求められる=図1。ただし、創エネ設備や照明など、ZEHとしては必要だが補助対象要素に含まれないものがある。
同住宅を手掛けるハウスメーカーや設計事務所は、「ZEHビルダー・プランナー」として国に登録しており、環境省・経産省のZEH補助を活用する場合、同ビルダーらによる設計や建築が主な要件となっている。ビルダーの検索は、補助業務を担う団体「環境共創イニシアチブ」のホームページで検索が可能。なお、国交省の補助の場合は、別途認定された地域の中小工務店が手掛けるものが対象となる。
3種類のZEH
家庭の給湯・照明・換気・冷房・暖房で消費するエネルギー量を「一次エネルギー消費量」という。この消費量の削減率やエネルギーの自家消費を高める設備により、ZEHは3種類に分けられる=図2。
まずスタンダードな①ZEHは、一次エネルギー消費量を、建築物省エネ法に基づく省エネ基準より20%以上削減するもの。そのワンランク上の②ZEH+(ゼッチプラス)は25%以上の削減に加え、外皮のさらなる断熱化、エネルギー効率を見える化するマネジメントシステム(HEMS)などの導入が求められる。さらに燃料電池や太陽熱給湯などを導入すると③次世代ZEH+というもうワンランク上の住宅になる。
注文住宅に55万円補助
2022年度の予算概算要求で、環境省はその補助額案を提示。①には一戸当たり55万円、②には同100万円としている。その他、国土交通省は中小工務店が手掛けるZEHに、経済産業省は次世代ZEH+に定額の補助を行うとしている。
POINTS
★ZEHは外皮(壁・窓・屋根)の高断熱化と設備の高効率化で省エネし、太陽光発電などの再生可能エネルギーの創出で、年間のエネルギー収支をゼロにする住宅のこと
★補助の対象となるのは国に登録する「ZEHビルダー」などが手掛ける住宅
★一次エネルギー消費量の削減率や設備により3種類に分かれ、補助額が異なる。
・ZEH:削減率20%以上
・ZEH+:削減率25%以上、ZEHよりエネルギーの自家消費を拡大
・次世代ZEH+:ZEH+からさらに自家消費を拡大
図1 ZEHの特徴
図2 ZEHの種類と補助事業を行う省
※補助事業内容の詳細は今後の国会で決まる
・ZEHビルダー・プランナーの検索「一般社団法人環境共創イニシアチブ」
https://sii.or.jp/zeh/builder/search
・国交省補助対象工務店の検索「一般社団法人木を活かす建築推進協議会」
https://chiiki-grn.kennetserve.jp/
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1880号・2022年1月14日紙面から掲載