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2022年1月7日更新

福祉避難所(2)(ガイドライン改定)|みんなの防災計画[33]

高齢者や障がい者など、要配慮者の避難先となる福祉避難所。より避難しやすくするため、福祉避難所の受け入れ対象者を市町村が公示できるなど、ガイドラインが改定された。一方、要配慮者の把握や、外出先での避難などに課題が残る。
文・森田清志

要配慮者が避難しやすく


受け入れ対象者を公示

福祉避難所に直接避難
内閣府は今年5月、全国の市町村に向けて、福祉避難所の運営などに関する「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」を改定しました。

主な改定ポイントは「福祉避難所の指定(指定福祉避難所)を促進」「事前に受け入れ対象者を調整」「人的物的体制の整備」といった、災害時の直接避難等を促進し、要配慮者の支援を強化するというものです。

例えば、「指定福祉避難所の指定およびその受け入れ対象者の公示」では、市町村が「一般避難所」と、要配慮者を受け入れるための基準を満たした「福祉避難所」を分けて指定。その指定福祉避難所への受け入れ対象となる要配慮者も事前に特定します。

これまでは一般避難所に避難した後に、希望者が福祉避難所に移動していましたが、改定によって直接福祉避難所に避難できるよう整備が求められていきます。

対象者把握など課題も

しかし、いくつかの課題もあると考えられています。

まず、受け入れ対象者の把握について。改定されたガイドラインでは、人数とともに現況等も把握し、情報の整備および定期的な確認・更新をすることが望ましいと記されています。

これには行政と関係各機関(者)との連携、そして住民の理解が重要。例えば個人情報の取り扱いなどがあるでしょう。そのため、事業内容は対象者だけでなく、地域みんなに広報し、みんなで理解することも大切です。

次に、法令等で定められた基準を満たす施設、設備、人材を確保するという「整備面」が、しっかりと機能するかどうかです。「備える」とは、ただものをそろえるのとは違い、活用可能な体制づくり、関わる人々の意識づくりがポイント。災害発生時には、そこにいる人があるもので協力しながら生き延びるのが大前提です。事前に取り決めた職員がその場に来られるとは限りませんし、備えた設備が使えるとも限りません。それらを想定しながら、避難所運営訓練を行う必要などもあると思います。

外出先でも受け入れを
最後に、要配慮者も旅行したり外出するという、ごく自然な行動に対する点です。改定に伴い「指定福祉避難所の受け入れ対象者を特定」となっていますが、その方々もさまざまな場所に移動することが十分考えられます。

例えばA市の受け入れ対象者である要配慮者が、県外のB市を旅行中に被災した場合、B市の指定福祉避難所でも受け入れできるような「行政同士の連携」が具体的に考慮されればと考えます。

災害はいつ、どこで、どの規模で起こるかの予測が困難です。そのため、平時からさまざまな取り決めをしようとガイドラインは改定されました。それがしゃくし定規とならないよう、計画においても、現場においても、柔軟な対応を意識することが大切だと思います。

■「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」
   改定のポイント



①指定福祉避難所の指定およびその受け入れ対象者の公示

・市町村などが指定する「指定避難所」について、要配慮者を受け入れるための基準を満たした指定福祉避難所を、指定一般避難所と分けて指定し、公示
・指定福祉避難所の受け入れ対象者を特定。特定された要配慮者やその家族のみが避難する施設であることを、指定の際に公示できる制度を創設


②指定福祉避難所への直接の避難の促進

・地区防災計画や個別避難計画等の作成等を通じ、要配慮者の意向や地域の実情を踏まえつつ、事前に指定福祉避難所ごとに受け入れ対象者を調整。要配慮者が日頃から利用している施設などへの、直接避難を促進する ※従来は一般避難所に避難した後に福祉避難所に移動

③避難所の感染症・熱中症、衛生環境対策

・感染症や熱中症対策について、保健・医療関係者の助言を得つつ、避難所の計画、検討を行う
・マスク、消毒液、体温計、(段ボール)ベッド、パーティション等、衛生環境対策として必要な物資の備蓄を図る
・一般避難所においても要配慮者スペースの確保等必要な支援を行う

④緊急防災・減災事業債等を活用した指定福祉避難所の機能強化

・社会福祉法人等の福祉施設等に対する補助金として、災害に強いまちづくりなどのための地方債「緊急防災・減災事業債」活用も可能に


もりた・きよし/NPO法人防災サポート沖縄所属。社会福祉士、防災士。
沖縄市の「避難行動要支援者避難支援事業」担当経験あり。

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1879号・2022年1月7日紙面から掲載

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