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2021年12月3日更新

■福祉避難所(1)(定義・対象者)|みんなの防災計画[32]

文・森田清志
高齢者や障がい者などの要配慮者を対象とした「福祉避難所」。社会福祉士の森田清志さんが今回から数回に分けて解説していく。初回は定義や対象者、必要性が叫ばれる背景などについて。

基準満たした指定福祉避難所


基準満たした指定福祉避難所

ケア必要な人のため
みなさんは「福祉避難所」をご存じですか? 「普通の避難所ならわかるけど…」という声が聞こえてきそうですね。

まず福祉避難所とは「特に配慮を要する方々のために設置される避難所」のこと。一般的な避難所での生活が困難な方々が安心して避難できるように、必要な設備や物資を備えている避難所です。

広義では市町村と協定を結んだ施設なども含まれますが、今回は法令等の基準に適合したものとして、市町村が指定する「指定避難所」の中の「指定福祉避難所」についてお伝えしていきます。


有資格者による支援も
指定避難所には、指定福祉避難所とは別で「指定一般避難所」というものもあります。

では、これらの違いは何でしょうか。それは最初に述べた「特に配慮を要する方々のために設置」できる基準をクリアしているかどうか。指定福祉避難所には「要配慮者」についての項目があるのです。

「災害対策基本法施行令第二十条の六」では、要配慮者を「高齢者、障がい者、乳幼児その他の特に配慮を要する者」と定義しています。そしてその文中の「その他の特に配慮を要する者」とは、妊産婦、傷病者、内部障がい者、難病患者、医療的ケアを必要とする者等を想定しているとのことです。

そのため、施設の受け入れ対象者によって違ってきますが、ベッドや医療機器などが備えられている場合や、医療従事者、社会福祉士といった有資格者が支援にあたる場合などが考えられます。

つまり、「福祉避難所」とは受け入れ対象者が「要配慮者」であり、適切な援助や支援を受けて避難生活が送れるようにと市町村が指定し、設置される避難所のことです。

犠牲者の大半は高齢者
法令等でこのような取り決めをするようになったのは、過去の大規模災害においての教訓を生かすためです。

これまでの大規模災害で多くの人々が命を落としたり、被害に遭いました。その中で「要配慮者」の避難に関する配慮が必要であることが分かってきました。

例えば東日本大震災では、犠牲者の過半数を高齢者が占めました。さらに、障がいがある方の死亡率は、被災住民全体の死亡率と比較して約2倍程度に上ったという報告もなされています。

また、近年の災害における全体の死者のうち65歳以上の高齢者の割合は、令和元年の台風第19号では約65%、令和2年7月の豪雨では約79%に上ったとのことです。障がいがある方の避難が適切になされなかった事例も確認されました。車いすの方が避難した際に「あの人だけ広く場所を使っている」などと言われ、壊れて危険な自宅に戻った事例もあります。

非常事態でみんなが大変な思いをして余裕がないことは分かりますが、「要配慮者」への適切な援助、支援も重要な課題であることが分かり、『福祉避難所』の設置改善につながっているといえるでしょう。


■福祉避難所のイメージ

物的資源の整備・確保

・建物自体が受け入れ対象者にとって過ごしやすい造り(バリ アフリーやユニバーサルデザインなど)
・ベッドや医療機器、薬用品といった医療関連品などが備えら れている
・介護等に必要な機器が備えられている
・受け入れ対象者の食生活を考慮した食料が備えられている
・非常用の電源や燃料が備えられている


人的資源の整備・確保

・医療従事者や、助言・相談ができるスタッフがいる(普段から その施設に従事しているスタッフや社会福祉士、介護福祉士、 精神保健福祉士など有資格者による支援体制が充実している)

※あくまでも一般的な想定であり、市町村と各施設との調整によっては上記と異なる設定や体制となる場合がある

■福祉避難所の受け入れ対象となる人(一例)

・高齢者
・障がい者
・妊産婦
・難病患者
・傷病者など



もりた・きよし/NPO法人防災サポート沖縄所属。社会福祉士、防災士。
沖縄市の「避難行動要支援者避難支援事業」担当経験あり。

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1874号・2021年12月3日紙面から掲載

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