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2021年9月17日更新
[沖縄]オーダー家具で 暮らしにピタっと
コロナ禍でおうち時間や在宅ワークが増えるとともに増加している家具需要。既製品を見て回ったがサイズ感やデザインがしっくり来ない時は、オーダー家具も検討してみては? 県内でオーダー家具を手掛ける3社にその魅力を聞いた。
一点ものが生む愛着
オーダー家具の最大の魅力は、サイズの調整がしやすいところ。インテリアンの島袋清成さんは、「スペースの無駄がなく、暮らしにぴったり合った機能もカスタムできる。既製品を探したけれど見つからないという人からの相談は多い」と話す。
多数の物件で造り付けの造作家具を手掛ける島袋さんは、「壁付けなら地震で棚が倒れる心配が少ない。コンセントなどを避けて取り付けるのでメンテナンスのジャマをしない、見た目が統一できるのもオーダーのいいところ」と語る。依頼の際には、自分の暮らしや求めるデザインに近い写真などを持ち込むと、よりイメージに合ったものができるという。職人と共に考え、自分たちのためだけに作られた使いやすい家具なら愛着も一層湧くだろう。
デザインも安全性も
素材を生かしたデザインもオーダー家具の面白み。鉄をはじめ金属を使った家具やキッチンなどを作るリッタイメタルワークスの成田貘森さんは、「金属は細さの割に強度がある。無機質だけどシャープなフォルムの美しさが魅力。曲げ具合や太さなど細かなデザインにオリジナル性を込めている」と話す。
金属は丈夫だが重く、溶接の熱などでひずみが出ることもあるという。「長く使ってもらいたいから、試作しては、デザインに加えて重量や安全性も確認する」と成田さん。持ち運びに適切な重さ、安全性も兼ね備えたデザインを追求している。
SDGsに着目も
コロナ禍で在宅勤務に便利な作業デスク、生活を快適にするキッチン収納やダイニングチェアなどのオーダーも増えたようだ。新しい生活様式へと移り変わるのと同時に求められているのが、SDGs(持続可能な開発目標)の観点だ。
オーダー木工家具を手掛けるインディゴの比嘉亮さんは、ことし8月から県産の琉球松とセンダンを使ったシリーズを展開。「どこで採った木材か分からない家具が多い中で、木材の産地も制作も沖縄という、ルーツが分かる家具を作り始めた。材の調達から制作まで責任を持ちたいという考えがようやくカタチになった」と熱を込めた。
SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の一端を担う作り手の思いが、家具を通してじかに感じられる。もう一端の「つかう責任」は、愛着を持って長く使うことで、資源の無駄な消費を減らすことになるのかもしれない。
1ミリも無駄なし 壁付け収納
キッチン背面の壁付け収納をオーダーで制作。窓の開閉がしやすい奥行きなども考慮する
対面キッチンにL字のカウンターを設け、家族みんなが座れるように。施主の納得がいくまで打ち合わせを重ねた
島袋清成さん
INTERIAN(那覇市)
「壁付け収納はスペースが有効に使える。1ミリも無駄にしない設計を心掛けている」と話すインテリアンの島袋さん。分譲マンションや建売住宅などの「オプションではかなわない、住み手に合った造作家具」を制作する。キッチンやリビングのテレビ周りなど設置場所の採寸を行い、住み手にもイメージがつきやすいよう3D映像で提案。「設置した時の部屋の様子、動線や見た目が確認できるのがメリット」と話した。
◆問い合わせ/インテリアン(☎ 090・6549・9638)
直線と曲線 組み合わせ
オーダーで作成したダイニングテーブル。脚に50ミリ角パイプを使い、黒皮のクリア塗装が直線美を際立たせるスチール丸棒を曲げたオリジナルのブックスタンド。レール状の造形と太い文鎮を基本に、オーダーでさまざまな大きさのものを制作(撮影/大湾朝太郎)
成田貘森さん
LITTAI metal works(宜野湾市)
鉄やステンレスなどの金属で家具、什器、キッチンなどを制作するリッタイメタルワークス。入社1年半、22歳の成田さんは「まだまだ修業の身だが、鋼材やシートメタルなど平面的なものが、溶接や曲げなどで立体になっていく過程が面白い」と話す。直線と曲線で存在感のあるテーブルやいす、ブックシェルフなどのアイアン家具は空間を引き締める。「家具は手に触れるものなので、磨いて滑らかにして塗装することでさびにくさにも配慮。ものづくりの話で盛り上がれる同世代がもっと増えるといいな」と笑った。
◆問い合わせ/リッタイメタルワークス(☎ 098・893・8218)
地産地消の顔が見える家具
ガラス扉で中が見えるタイプのキャビネット。木材はセンダン。外枠は黒のメラミン樹脂、足はアイアンを使い、木目が際立つシャープなデザインがベースになるセンダンを使ったキャビネット。引き出しの左右で木目をそろえて、明瞭だが主張し過ぎない美しさを際立たせる。オーダーに応じてサイズは自由自在。琉球松も可
比嘉亮さん
Indigo(読谷村)
木工家具を手掛けるインディゴの新たなオーダー家具シリーズ「OKINAWA.(オキナワドット)」は、置き型の収納家具やテーブルを完全受注で製作する。街路樹のメンテナンスや計画的な伐採で出た、少量供給される県産材から琉球松とセンダンを使う。「産地と製造者が分かる、いわゆる“顔が見える家具”。特徴的な木目が楽しめ、沖縄の自然をもっと身近に感じてもらえると思う」と比嘉さん。店舗で見本品を展示している。
◆問い合わせ/インディゴ(☎ 098・894・3383)
オキナワドットシリーズの琉球松の座卓。参考価格は13万5300円~
持続可能な職人の働く場支える
県産木材の活用に加え、「県内の家具職人の仕事を守る・維持することも心掛けている」と比嘉さん。技術を持った家具職人はたくさんいるが生かす場が少ないため、インディゴでデザイン設計した家具を、個人の家具職人などに制作してもらうこともあるという。「手間ひまに見合った価格で提供する。自然からお裾分けしてもらった少ない材を使い、大量生産ではなく持続性のある生産体制を目指していきたい」と話した。
編集/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1863号・2021年9月17日紙面から掲載