オーバーローンで任意売却|離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル[5]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2021年2月19日更新

オーバーローンで任意売却|離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル[5]

年間の平均気温23度と1年を通して気温が安定している亜熱帯地域の沖縄にも、ちゃんと冬はあるんですよね。事務所の壁に描いた東アジアの地図を眺め「沖縄っていい場所にあるよな、うん」と実感しつつ寒さのあまり猫で暖を取るこの頃です(余談ですが、猫好きの猫アレルギーです)。

オーバーローンで任意売却|「実は…住宅ローンの返済が止まっていた」




住宅ローン4カ月滞納が判明

さて、本題。今回のケースはK男さんとA子さんご夫婦、共に40代、高1と中2のお子さんとの4人家族です。「職場の同僚からの紹介」と最初はK男さんからご連絡をいただきました。「降格、減給、出費が重なり銀行の住宅ローンを4カ月滞納している、このことを家族は知らない」とのこと。「ずっとおひとりで抱えて、それはつらかったですね」と声をかけると、K男さんはため込んでいた感情を涙しながらブォオオオオオオオオオオッとたくさん吐き出してくださいました。
特に男性の場合、おひとりで抱え込んでいるケースが多いのです。抱え込まずに「人に話す」ことはとても大切です。

返済に困った時こそ早めに相談

住宅ローンの残高と実際の市場価格を比較すると、市場価格より住宅ローンの残高が大きい「オーバーローン」であることが分かりました。この場合、私の専門分野「任意売却」に該当します。任意売却とは、ローンの返済が滞りそのままでは競売に移行してしまう物件を、債務者(売り主)、債権者(銀行)、専門不動産会社の3者が協力して売却する方法です。

銀行から何度も連絡がきていたのにどうしていいか分からずに無視をしていたK男さんは、銀行との信頼関係も構築できていませんでした。ここがポイントで、住宅ローンの返済に困った時こそ、早めに銀行へ相談することをお勧めします。銀行の担当者も連絡の取れる=誠意ある顧客には多角的にアドバイスしてくださるものです。

夫婦で方向性を決める

K男さんと私でA子さんへ現状をお話ししたところ、「最近、彼が何を考えているのか分からなかった」とのこと。降格からもろもろの事態にショックを受けていましたが「来年受験の子もいるので力を合わせて乗り越えたい」ということで落ち着きました。夫婦の絆は大丈夫そうでよかったな、とホッとしました。このようなケースではすでに別居・結婚生活が破綻しているケースが多いのです。

その後、数年分の固定資産税の滞納が発覚したり、奥さまのカードローンの借り入れが発覚したり、紆(う)余(よ)曲折ありましたが、銀行、(保証会社)ご家族の協力もあり、希望価格で新しい買い主が見つかりました。

売却後の残債務(残った住宅ローン)に関してはK男さんが月々無理のない金額で支払っていくことで債権者(保証会社)と合意。私たち不動産会社もK男さん一家の新しい生活に向けて賃貸物件をご紹介したり、売買代金で精算する引っ越し費用の立て替えなど精神面、金銭面、手続き面であらゆるサポートしながら任意売却を進めました。

「大きくなったら不動産の仕事に興味があると子どもが話している」とA子さんから聞いたときは、背筋が伸びるとともに胸が熱くなりました。子どもは環境を把握してちゃんと学ぶんですよね。めでたし、めでたし、と思いきや…「え? 入居申し込みが2カ所?」…荷物とともにK男さんが断捨離されていました。

任意売却のプロに相談を

最後に大切なアドバイスを。住宅ローンの返済に困っていてどうしたらいいか分からない時は、ぜひ、競売不動産取扱主任者・任意売却エージェント・任意売却不動産コーディネーターなどの有資格者がいる不動産会社へご相談ください。銀行(場合によっては法律家)との間に入り、難しい言葉、状況を通訳のように分かりやすく伝え、あなたを守るエージェントになってくれるはずです。

任意売却のスキルのない会社、担当に頼むと、価格・スピード・解決力に雲泥の差が出ることもあります。知識の違いで結果が違うのです。私たちエージェントは「すべてはお客さまの笑顔のために」常に学び続けています。

次回は「競売か任意売却か離婚か離婚を思いとどまるか」です。See you~


執筆者 川端ゆかり(かわばた・ゆかり)
1971年、浦添市出身。短期大学卒業後、那覇空港地上職・地元情報誌編集・建設会社不動産部勤務を経て1999年(有)とまとハウジング設立。趣味は猫とお酒と読書、仕事が絡まないゴルフ。https://www.tomato-okinawa.com/rikon/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1833号・2021年2月19日紙面から掲載

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